【体験談】教員が保護者対応で意識すべきことは保護者のケアだった。

PR

【体験談】教員が保護者対応で意識すべきことは保護者のケアだった。

保護者対応があるから今日は帰れないし、理不尽なこと言われるから精神的にもダメージが・・・。

保護者対応をストレスに感じている教員は少なくありません。
最近では、メディアでも報道されているため、徐々に明るみになってきた問題でもあります。

以下のグラフからもわかる通り、教員がストレスに感じる内容の上位5つの項目にも入っています。

平成29年度 過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業より作成

また、「教員が定時以外で業務を行う理由」に関するアンケートでは、以下のような結果になっています。

小学校中学校高校
1位業務量が多い(72.1)業務量が多い(68.9)業務量が多い(62.2)
2位突発的な業務の発生(53.8)突発的な業務の発生(56.0)突発的な業務の発生(52.7)
3位時間外にしか行えない業務(47.4)時間外にしか行えない業務(54.7)時間外にしか行えない業務(52.1)
平成29年度 過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業より作成

「突発的な業務」というのは、保護者対応における、緊急な事案が発生していることが予想されます。

「時間外にしか行えない業務」というのは、遅くくる保護者対応や家庭訪問と捉えることができます。

「保護者対応」が教員の精神的・時間的に大きく負担を与えているのは間違いなさそうです。

僕の周りでも保護者対応で精神が疲弊していく教員が何人もいます。

しかし、僕は保護者対応での悩みが他の教員より多くありません。今回は、保護者対応の本質を解説していきます。

この記事を読むメリット

  • 保護者対応での悩みが減る
  • 保護者対応がうまくなる

保護者対応の本質を知る

保護者対応が上手になるには、保護者の悩みの本質を理解していく必要があります。

保護者対応の本質は、「保護者のケア」です。

なぜ、保護者が理不尽なことを言うのかを理解しましょう。

なぜ理不尽なことを言う保護者が多いのか?

まず、保護者が学校・教員に対して、理不尽な要求をする理由を理解する必要があります。

この問いに対する結論は、”この子には私しかいない”という使命感が強いから、です。

母親の責任が増していく社会

いきなり壮大なテーマになりそうですが、お付き合いいただけたらと思います。

子育ての歴史について解説させてください!

江戸時代の子育て

江戸時代まで家族というのは、ほとんどが農家でした。

農家では、親から子に家業が受け継がれていきます。

そのため、家の仕事(農作業)などは、父から子へ教育されていきました。

江戸時代は終わり、明治時代になりました。

明治時代からの最近の子育て

江戸時代が終わり、明治時代になると、次第に子どもは家を出て、サラリーマンとなり、都市に就職していきます。

そのような社会では、父が子に教育することはなくなっていきます。
サラリーマンになるための教育は、学校が担っていくようになりました。

一人前の農家になるには、村で、父を含めた色々な人が子どもを見守ることになります。

しかし、サラリーマンになるのに村は必要ありません。

子どもの教育責任は、次第に「母親」にのみ依存していくようになります。

次第に男性は職業、女性は家庭という風習ができあがり、今も慣習として残っているところは多いです。

当然、母親には子育てに対するプレッシャーや息苦しさが現れます。

”この子には、私しかいない!”

今は、「子育ては母親」という考え方は見直されてきたんじゃないの?

つくね
つくね

見直されてきている変換点が1番苦しいんだよ!「現代は女性は社会に進出して当然」という見方がある一方で、まだまだ「女性が育児」という考えが残っている!

つまり、母親は昔より、「子育てにプレッシャーがかかっている」ことを覚えておきましょう!

プレッシャーから来る言動がクレームに表れる

”この子には自分しかいない”というプレッシャーが理解できない保護者の言動や行動につながっています。

  • 「この子には私しかいない!」
  • 「身近に相談できる人がいない!」
  • 「このままで子どもはきちんと育ってくれるか不安!」

このような不安や焦りが、視野を狭め、自分の子どもを優先する態度をとってしまいます。他人のことが見えなくなっている状態です。

保護者はわからないから不安

保護者が不安を感じている部分はどこなのでしょうか?

それは、「自分では答えがわからない」ところです。そして、答えがわからないことにも様々なケースが存在します。

◯ケース1:保護者が自分の経験に正解を持っていないケース

  • 保護者が勉強してきてこなかった
  • 保護者が人生において様々な苦労をしてきた
  • 自分の子どもには苦労させたくない
  • だけど、自分が経験していないからどうしていいかわからない

と、自分の経験から正解がわからないから困っているケース。

◯ケース2:保護者が時代についていけず正解を持っていないケース

  • 現代の進むスピードで何をさせればいいかわからない
  • けれど仕事が忙しくて勉強している時間がない
  • 自分の子どもには苦労させたくない
  • どうしていいかわからない

と、現代の価値観や仕事やお金事情がよく見えていなくて困っているケース。

◯ケース3:保護者が自分の子どもをよくわかっていないケース

  • 子どもが反抗期である
  • 何を考えているかわからない
  • 子どもの望むものがわからない
  • どうしていいかわからない

と、自分の子どもが何を考えているかわかっていないのに、全部「管理・監視」したくて困っているケース。

◯ケース4:保護者が子どものまま大人になってしまったケース

  • 自分のことしか考えない
  • 言いたいことはずっと言ってきた
  • 欲求のままに行動してきた
  • 自分の子どもの少しでも損になることは許せない

と、長期的にものごとを考えられず、自分の人生がうまくいってきたものだと思っているケース。

◯ケース5:自分の人生と子どもの人生を重ねすぎなケース

  • 保護者自身の失敗を子どもで払拭したい
  • 保護者自身の通ってきた正解を子どもに歩ませたい
  • けれど、どうしてもそうじゃない方向にいってしまう

と、保護者の人生を子どもに重ねすぎているケース。

つくね
つくね

いずれのケースについても、保護者が心の底では「悩んでいる」というのはベースになってきます。

学校が保護者の不安の吐き出し口

極論、保護者はみな、不安なのです。

しかし、保護者自身が悩みを暴露したり相談したりする場所は、身近にありません。

「悩んでいる」というだけでも、育児放棄だと思わえることに怯えています。

そんな保護者はどうするか?

焦りや不安を抱えているけど、相談できない保護者は、自分の話を聞いてくれる”学校”に駆け込むのです。

不安や焦りから来る言動は、すでに理性を失っています。

  • 子どもが下校中にケガをした
  • 子どもの箸の持ち方が変
  • 子どもが◯◯ちゃんと仲が悪くなった

などと、整理できていない自分の不安は、変な方向へ行ってしまうのです。

どのように保護者対応を行えばよいか

では、どのように保護者対応をすればいいのでしょうか?

結論、「保護者の不安を解消する」が正解になってきます。保護者のケアこそ、保護者対応で最も重要な考えです。

具体的な対処方法を解説していきます。

保護者対応で重要な考え方

ここでは、保護者対応で重要な考え方や気構えを解説していきます。

  • 保護者と対等に話さない
  • 必ずチームで対応する
  • 自分に余裕がないときは無理しない

保護者と対等に話さない

保護者対応において、最も重要なのは、「対等に話さないこと」です。

相手の保護者が冷静でないと判断したときは、「言っている欲求」と「本当の欲求」が異なる、と理解する必要があります。

保護者が、

「お箸の持ち方を教えろよ!」

と言ってきたときは、この保護者は「どこからか、まともな子どもに育てる圧がかかっている」と判断します。

お箸に関しては、適切に対応しつつ、長期的な対応は「保護者の圧を軽くする」と認識する必要があります。

よって、保護者の欲求をそのまま聞くのではなく、客観的に事象を把握する必要があるため、保護者と対等に話してはいけないのです。

必ずチームで対応する

保護者対応において、あなたが最も頑張るべき相手は、「保護者とのお話」ではなく、「同僚とのお話」です。

保護者に対して、

  • なんやねん!あの保護者!
  • どう育ったら、あんな言い方になるねん!
  • あの言動が子どもを苦しめてるって理解しろよ!

などと、保護者に対して矢印を向けている場合ではありません。自分が矢印を向けるべき相手は「同僚」です。

同僚に対して、保護者の不安を解消するプロセスをどのように組んでいくのかを話し合うべきです。

自分に余裕がないときは無理しない

保護者に理性的に対応する、といっても、教員側も人間です。

  • 自分が追い詰められているとき
  • 職場の上司が面倒なとき
  • プライベートで嫌なことがあったとき

などは、相手の家族を考えている場合ではありません。そんなときに冷静な判断も下せません!

自分が冷静に判断できる状態かどうかを確認して、もし無理そうなら、心を無にして、とにかく「やり過ごす」というのも立派な戦法です。

つくね
つくね

絶対に自分の心が最優先です!

具体的な保護者対応方法

ここからは、具体的な保護者対応の方法をお話します。

これまでの前提がわかっていないと、うまく方法を使えないので、前述した内容は心に染みるまで繰り返し読んで、理解してください!

具体的な保護者対応は以下の通りです。

  • 話を聞いてやり過ごす
  • 保護者が安心できる材料を提示する
  • 信頼関係を構築する
  • 権力や権威を提示する

です。順を追って、説明します。

話を聞いてやり過ごす

もし、保護者が怒っていたら、まずは話を聞きましょう。

学校はそのへんは得意ですね。ここでの残業は仕方ないかなと思います。それよりも、今まで思っていたことを全部、吐き出させることが重要です。

保護者が何かを不安がっているので、こちらもまずは話を聞きましょう。ここは、なんとか「やり過ごす」フェーズです。

「話をするだけで何も対応してくれなかった」と、となると矛先が別のところにいったり、保護者の中で信用が失墜したりします。

「ここは○○にしておいて、様子を見てみます」など、で乗り切る他ないでしょう。

注意!
不安がっている保護者は安心するまで、会話を終えようとしません。「次に○○が控えていますので」と言って、切り上げましょう。

保護者が安心できる材料を提示する

何度も言っている通り、保護者対応の本質的な解決策は、保護者を安心させることです。

保護者が怒っていて、学校に乗り込んだり、電話をかけてきたりする前に平常時で、保護者を安心させましょう。

いくつか具体例で解説します。

子どもが我慢強くない!

保護者の中には、「子どもが嫌なことからすぐに逃げる」という不安抱えている人がいます。

こういうタイプの保護者には、「我慢」という言葉の解像度を少し上げます。

「確かに我慢ができないのはよくないですね。ですが、我慢の先に何があるのかって大事ですよね!僕の知人に入社後すぐに転職した人がいます。2つ目の会社ではうまくいっているみたいで、『必要のある我慢なら耐えられる、というかむしろ楽しい!』と言っていました。我々も、我慢できる我慢と我慢できない我慢があり、必要な我慢なら自然と覚えていくものですよ!」

と言って、少し安心して帰られた保護者がいます。ここでは我慢強くない知人が成功しているケースを紹介できたのが、良かったです。

うちの子はどんくさい!

保護者の中には、「うちの子は1人では、なんにもできない!だからなんでも見てあげないとダメ!」という不安を抱えている人もいます。

こういうタイプには、意外と成長していっている一面を紹介します。

「確かに、大人から見ていると少々不安なところってありますよね〜。目が離せないというか・・・。でも、国語の時間なんかは、グループを引っ張って、発言しているような場面もあるみたいです!周りの子が結構、頼りにしていて。その証拠に、徐々に点数が上がってきているんですよ!」

と言って、「ほんまですか?」と驚きながらも安心して帰られた保護者がいます。ここでは、保護者が確認していない生徒の成長を、数字とともに示せたのが良かったです。

これらのように、保護者の不安が少しでも和らぐような、ことを日常の中で伝えられると、保護者の中で安心感が出てきます。

保護者は自分が不安であると、自覚していないケースが多いです。保護者の欲求をそのまま、受けとめることが可ならずしも正解ではありません。

それって、生徒についてよく見ないといけないってこと?

つくね
つくね

まぁ、それはそうなんですが、生徒のちょっとした様子と現代の社会の状況をちょっとでもつなげられると安心されるケースが多いです。

信頼関係を構築する

保護者と信頼関係を構築するのは、当たり前ですが、「信頼関係」とは何でしょうか?

学校における保護者と教員の信頼関係の構築とは、「この先生の下した判断なら、納得できる」という状態を作ることです。

保護者が

  • 自分は理解できないけど、この先生が言うのだから任せてみよう
  • 間違っていると思うけど、この先生が言うなら賭けてみよう
  • 少し疑問が残るけど、この先生に任せて、ダメなら諦めよう

このように保護者に思ってもらえると、余計な対応を減らすことができます。

もちろん、一朝一夕ではいきませんが、これが最も本質的な保護者対応であり、働き方改革です。

つくね
つくね

信頼はコストを減らすのです!

働き方改革の土台には、長い年月がかかります。

権力や権威を提示する

保護者と信頼関係を築くのに、「権力」や「権威」を提示するのも、おすすめです。

つくね
つくね

結構、グレーな手法ですが、効果はあります!

保護者の中には、「よく分かっていない人」が多いです。この先、時代はどうなるのか?この社会はどうなるのか?

こういったときに、安心させる材料として、「資格や実績」は効果を発揮します。

  • ファイナンシャルプランナー資格
  • 英検
  • 社会人経験・ビジネス経験
  • 教育における賞
  • 大学での実績
  • 心理学用語

など、ちらつかせれば、「この人は私より詳しい」と保護者に思ってもらえる可能性があります。

実績や資格は、クレーム気質な人ほど、刺さる可能性があります。

会話の中で、サラッと混ぜるのが大事です。くれぐれも「心理学的には〜」とか「僕は◯◯の資格を持っていて」とかではなく、会話の流れでソッと入れましょう。

つくね
つくね

資格などは、聞かれた時など、自然な流れで言うのがおすすめです!

ハロー効果
1つの分野に「すごい!」と思ってもらえると、「きっと他のこともすごいんだろうなぁ」と思ってもらいやすい。これを「ハロー効果」と言う。

このように「ハロー効果」と言えば、あなたも「この人は他にも心理学に詳しいのかな?」と思ったはずだ!
注意!
中身が伴っていないと、バレる可能性があるので、関係構築を加速させる材料くらいに認識しておきましょう!

クレームのない日が一番大切

保護者対応は、何か事件が起こってからでは対処できません。

嵐が過ぎ去るのを待つだけです。

いかに何にもない日に保護者の信頼関係を積み重ねていくのか?が大事です。

  • なんでもない日にこちらから電話する
  • 生徒との信頼関係を構築する
  • 読書していき知識をつける

など、日常的なスキルアップを心がけましょう!

スキルアップに関しては、このサイトで紹介しています!

注意!
これらの話は相手に合わせるべきです。電話を嫌がっている保護者に、こまめの電話しても逆効果です。生徒と同じで、保護者ごとに合わせたコミュニケーションをとりましょう。

まとめ

この記事では以下のことを解説しました。

  • 保護者はプレッシャーを感じている
  • 保護者は不安や焦りを学校にぶつけている

ここから、わかる保護者対応の真髄は

  • 保護者の不安を日常的に解消する
  • 事件が起こったときは嵐が過ぎ去るのを待つ

です。