研究授業・教育実習で使える学習指導案の書き方。記入例つきで全項目解説

PR

研究授業・教育実習で使える学習指導案の書き方。記入例つきで全項目解説

初めての指導案を前に、Wordが真っ白なまま閉じてしまった経験はありませんか。

指導案は毎日書くものではないので、書き方を忘れるのが普通です。教育実習生なら、そもそも初めてです。

私は教育学部の大学教員のもとで指導案を学び直してから、書き方で迷うことがなくなりました。学校で見てもらっても、誤字脱字以外の指摘はほぼ受けません。

この記事では、学習指導案の「型」を、私が実際に書いた高校社会科の記入例つきで解説します。

読み終わる頃には、全部の項目が埋められるようになっています。最後には、作業を1日で終わらせるためのAIプロンプトも置いておきます。

学習指導案の様式と項目の全体像

まず、指導案に何を書くのかを一望します。細部で迷子にならないために、先に地図を持ってください。

学習指導案は、大きく2つのパートでできています。

前半が「単元設定の理由」。なぜこの授業が必要かの説明で、生徒観・教材観・指導観の3つを書きます。

後半が「計画」。単元目標、評価規準、単元計画、本時の目標、本時の展開の5つです。

学習指導案の様式の全体像。前半は単元設定の理由(生徒観・教材観・指導観)、後半は計画(単元目標・評価規準・単元計画・本時の目標・本時の展開)の合計8項目で構成される図

つまり項目は合計8つ。多く見えますが、順番につながっているので、頭から書けば迷いません。

なお、様式そのものは学校や大学から必ず配られます。テンプレートを探し回る必要はありません。配られた様式に、何をどう埋めるか。この記事で扱うのはそこです。

学習指導案の書き方は型を覚えるのが最短

指導案を早く書くコツは、決まった「型」を知り、型どおりに書くことです。

もっと楽な近道を期待した方には申し訳ないのですが、指導案については、型どおりに丁寧に書くことが一番の近道です。

行き当たりばったりで書くと、途中で手が止まります。書き上げても、指導教官から大量の指摘を受けて書き直しになります。結局、型どおりが最速なのです。

型が身につくまでは時間がかかります。でも一度わかってしまえば、スラスラ書けるようになります。

その型とは、ひとことで言えば「なぜその授業が必要なのかを、順番に説明すること」です。

・誰に(生徒観)

・何を使って(教材観)

・どのように(指導観)

この3つがつながっていれば、指導案の文章は一貫します。次の章から、記入例つきで1つずつ埋めていきましょう。

単元設定の理由の書き方。生徒観・教材観・指導観

前半パートです。ここは「作文」ではなく、3つの問いに順番に答えるだけです。結論から言うと、生徒の課題を1つ決めれば、あとは芋づる式に書けます。

生徒観の書き方。生徒の実態と課題を書く

生徒観には「どのような生徒を対象としているのか」という実態を書きます。

ポイントは、性格の描写ではなく、何が得意で、何が課題かを書くことです。特に課題が重要です。授業は、生徒の課題をクリアするために存在するからです。

私が実際に書いた記入例です。

生徒観の記入例。高校社会科で、生徒ができていること(文章を読む)と課題(歴史を現代と結びつけること)を書いた実例

生徒はこれまで意欲的に授業に参加しており、少しずつ読める文章も増えてきた。しかし、歴史を現代と結びつけることを苦手としており、歴史を学ぶ意義については懐疑的な生徒が多い。

できていることは「文章を読む」、課題は「現代と結びつけること」。この課題が、このあと全部の項目の軸になります。

「◯歳なんだからこのくらいできないと」と書く人がいますが、それは目の前の生徒を無視した書き方です。現状の生徒に「+1」する視点を忘れないでください。

教材観の書き方。課題を解決できる教材を選ぶ

教材観には「なぜその教材が、生徒の課題解決に適しているのか」を書きます。

教材というと地球儀やiPadのような物を思い浮かべますが、扱う「内容」も教材に含めます。社会科なら「産業革命」、数学なら「一次方程式」です。

記入例です。

教材観の記入例。18〜19世紀の経済的分業が現代の国際問題として残っている点を、生徒の課題解決と結びつけた高校社会科の実例

18〜19世紀は世界の結びつきが広まることによって、経済的分業が成立していく。成立した分業関係によって、拡大した格差は現代社会においても、さまざまな国際問題として残っている。

生徒の課題が「現代と結びつけること」だったので、現代と結びつけやすい教材を選んでいます。生徒観とつながっているのが分かるはずです。

正直に言うと、実際は教科書の進度で内容が先に決まっていることがほとんどです。それでも「この内容は課題解決にこう使える」と言葉にするのが教材観です。

指導観の書き方。課題解決までの手立てを書く

指導観には、生徒の課題を解決するまでの手立てを書きます。先ほどの教材を、どのように使うのかです。

記入例です。

第1時から3時では、18〜19世紀に拡大した思想の中でも「遅刻」「国民」「人権」などの生徒に身近なものから関心を誘う。

「現代に結びつける」という課題に対して、生徒の生活で聞いたことがある言葉を導入に使う、という手立てです。

ここまでで前半は完成です。生徒観→教材観→指導観が「だからこそ」でつながっているかだけ、読み返して確認してください。

単元目標と評価規準の書き方

後半パートに入ります。方向性が決まったので、計画に落とします。まず大きな目標と、その達成基準です。

単元目標の書き方。1つの流れを3観点に分ける

単元目標には、複数の授業をかけて何を達成するかを書きます。現行の学習指導要領では、高校も3観点で書くのが標準です。

  • 【知識・技能】知ること・読み取ること
  • 【思考・判断・表現】考えること・表現すること
  • 【主体的に学習に取り組む態度】自らの学びを振り返ること

作り方は簡単で、先に1つの流れを決めて、それを3観点に振り分けるだけです。

記入例です。「19世紀の『人の暮らし』『国家』の変化」という流れを決めて、こう分けました。

単元目標の記入例。19世紀の人の暮らしと国家の変化という1つの流れを、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3観点に振り分けた表

【知識・技能】19世紀の「人の暮らし」「国家」の変化を資料から読み取り、理解することができる。

【思考・判断・表現】19世紀の「人の暮らし」「国家」の変化は現代にどのように関連しているか説明できる。

【主体的に学習に取り組む態度】19世紀の「人の暮らし」「国家」の変化と現在の自分の生活を照らし合わせ、自身の生き方について振り返ることができる。

単元の評価規準の書き方。目標をABCに分ける

目標を決めたら、達成の基準を作ります。評価の観点がない指導案は、「生徒の役に立ったか興味がない」と言っているのと同じです。

難しく考える必要はありません。目標を観点別にABCの3段階に分ければできあがります。

【知識・技能】

A評価: 変化を資料から読み取り、根拠を持って説明することができる。

B評価: 変化を説明することができる。

C評価: 変化を説明することができない。

「人の暮らしは理解できているが、国家はイマイチ」のように、内容で評価をずらす書き方でも構いません。

単元計画と本時の展開の書き方

最後は時間割への落とし込みです。ここは実習生が一番つまずく場所なので、丁寧にいきます。

単元計画の書き方。複数の授業で目標を割り算する

単元計画には、単元目標を達成するまでの授業の流れを書きます。

ポイントは、1つの授業で全部を達成しようとしないことです。適当に組むと「知識・理解」だけの授業が並びがちです。3観点が単元全体のどこかで回収されるように、複数の授業に割り振ってください。

先ほどの例なら、第1〜3時で身近な言葉から関心を引き、中盤で資料読解、終盤で現代との接続と振り返り、という配分になります。

本時の目標の書き方。単元目標の「今日の分」を切り出す

本時の目標は、ゼロから考えるものではありません。単元計画を立てたときに考えた「今日の分」を、そのまま文章にするだけです。

たとえば本時が単元の導入なら「身近な言葉を手がかりに、19世紀の変化に関心を持つことができる」。資料読解の回なら「資料から変化を読み取ることができる」。単元目標の言葉を使い回すのがコツです。新しい言葉を発明すると、単元目標とのつながりが切れて、そこを指摘されます。

本時の展開の書き方。導入・展開・まとめを時間で区切る

本時の展開は、50分をどう使うかの計画表です。導入・展開・まとめの3区分で、それぞれ「教師の働きかけ」と「予想される生徒の活動」を書きます。

本時の展開の記入例。50分の授業を導入10分・展開30分・まとめ10分に区切り、教師の働きかけと予想される生徒の活動を書いた表

導入10分で身近な話題から問いを立て、展開30分で資料を読んで考えさせ、まとめ10分で本時の目標に戻って振り返る。この骨組みに、自分の授業を流し込んでください。

授業のイメージができていれば、ここは書けます。逆に書けないなら、展開表ではなく授業の構想がまだ固まっていないサインです。

指導案で指摘されるポイントは指導する人で変わる

型を押さえたところで、身も蓋もない現実の話をします。

指導案で「毎回これを指摘される」という定番はありません。指導してくれる人がどこに重きを置いているかで変わります。形式を重んじる人は形式を、授業の中身を見る人は指導案をほとんど見ません。

ただし、どんな人でも突かれやすい項目はあります。「本時の目標」と「単元の目標・評価の観点」です。ここだけはしっかり考えておいて損はありません。

そして、私の持論です。指導案は芸術点が高い書類です。

どんな生徒に、何が足りないのか。だからこそ、この教材で。だからこそ、この指導で。だからこそ、この計画で。その一部が本時であり、達成できたかをこう見る。

この「だからこそ」が最初から最後まで一本につながっていれば、それだけで評価されます。逆に、どこか1か所でも切れていると、そこを突かれます。

完成度の目標も、目的で変えて構いません。とりあえず乗り切る指導案と、研究会で称賛される指導案は、かける時間が違って当然です。全部を全力で書く必要はありません。

なお、書き方の型は小学校・中学校・高校で大きく変わりません。高校に上がるほど形式より専門的な中身が見られる、という違いがある程度です。

指導案は、発問から書くと迷わない

様式の説明をしてきましたが、書く順番の話をします。ここでつまずく人がいちばん多いところです。

資料から作ると、終わらなくなる

上から順に埋めようとすると、たいてい教材研究で止まります。理由ははっきりしていて、情報は無限に足せるからです。

どこまで調べればいいのかが決まらない。調べるほど「これも入れたい」が増える。気がつくと、単元計画に手をつける前に時間が終わっています。原因は、たいてい発問が決まっていないことです。

発問が決まると、残りは自動で決まる

最初に決めるのは、板書でもスライドでも資料でもなく、発問です。

発問が決まると、その問いに答えるために必要な情報が決まります。必要な情報が決まれば、板書もスライドも、単元計画の中身も自動的に決まっていきます。発問は、授業全体の骨組みです。

発問を作るときは、生徒がいま持っている常識から逆算してください。「遅刻をしてはいけない」ことを生徒は知っています。だから「なぜ、遅刻をしてはいけない世界になったのか」と問う。知っていることの理由を問われると、人は考え始めます。

「〇〇なのに、なぜ△△なのか」。この型は、多くの単元でそのまま使えます。指導案の項目を埋める前に、この1行を決めてください。そこから書くと、迷う時間がなくなります。

学習指導案を早く書くためのAIプロンプト

最後に、時間の使い方の話をします。

構想さえ頭にあれば、指導案を文章に起こす作業はAIに任せられます。私が実際に使っている手順とプロンプトを、そのまま置いておきます。

手順は2段階です。まず、学校で配られた見本の指導案をコピーして、AIにこう指示します。

以下は、私が参考にすべき学習指導案です。この指導案の書き方・語彙・文体・項目の粒度を学習してください。特に、各項目でどの程度の詳しさで書かれているか、どんな言い回しが使われているかに注目してください。まだ何も作らなくて構いません。読み込んだら「了解しました」とだけ答えてください。

(ここに見本の指導案を貼り付け)

次に、頭の中の構想を箇条書きで打ち込んで、こう指示します。

先ほど学習した指導案のトンマナ・形式を守って、以下の構想で学習指導案を作り直してください。

・単元名:

・対象:(学年・科目)

・生徒の実態:(できていること/課題)

・使う教材:

・この授業でできるようにさせたいこと:

・本時の流れ:

・評価の方法:

生徒観から評価の観点まで、「だからこそ」で一本につながるように書いてください。

肝は、先に見本を学習させることです。これをやらずに書かせると、学校の形式から外れたものが出てきて、直す手間の方が大きくなります。

構想を考えるのはあなたの仕事、文章に起こすのはAIの仕事。この分担ができれば、指導案は1日で終わります。AIでの作り方は学習指導案をAIで作る手順の記事でさらに詳しく解説しています。

生徒が特定できる情報は、AIに入力しないでください。氏名、クラスと出席番号、家庭の事情は「この生徒」「A」に置き換えれば済みます。

お勤めの学校や自治体に、生成AIの取り決めがある場合はそちらを優先してください。使ってよいツールと、入力してよい情報の範囲は、学校ごとに違います。

まとめ。学習指導案の書き方は型と記入例で身につく

学習指導案は、生徒観・教材観・指導観で「なぜこの授業か」を説明し、単元目標・評価規準・単元計画・本時の目標・本時の展開で計画に落とす書類です。

軸になるのは、生徒の課題ひとつ。そこから「だからこそ」で一本につなげば、誰にもケチのつけられない指導案になります。

様式は学校からもらえます。埋め方はこの記事の記入例のとおり。文章化はAIに任せられます。

面倒に見えますが、丁寧に1つ作った経験は、授業づくりの土台として一生使えます。良い授業を作るコツは、頭の中で指導案を書けるようになることだからです。

あわせて読みたい

AIに書かせると、「AIが書いた文章」になります。
そうではなくて、自分が書いたような文章をAIに作らせる方法をnoteにまとめました。
過去の自分の文書を読ませて、自分の書き方のまま作る。そのまま使えるプロンプトが入っています。

指導案の5時間が、30分になります

noteのサブスクで、質問し放題にしています

記事は私の状況で書いているので、読んだあとに「うちの学校だと、どうなんだろう」で止まってしまうことがあると思います。そこを直接聞ける場所を作りました。

  • Chatworkで質問し放題(回数の制限はありません)
  • 基本はその日のうちに、遅くても2営業日以内に必ず返します
  • 画面を見ながら相談できるZoom会が月1〜2回(基本、顔出しなし)
  • AI・働き方・転職・副業・お金・人間関係、どれでも構いません

つくねの相談室/月780円。自分で判断できるようになったら、解約してください。

つくね教員ラボを見る