【これだけ!】研究授業・教育実習で使える学習指導案の書き方

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【これだけ!】研究授業・教育実習で使える学習指導案の書き方

指導案ってイマイチ何を書いていいのかわからないんだよなぁ・・・。

指導案は、毎日書くものではないため、毎回毎回何を書けばいいか忘れてしまいますよね。

Wordを開いては、何も進まず閉じてしまい、「また明日!」となるのは教員あるあるかもしれません。

私もそのうちの1人でしたが、教育学部の大学教員のところで学び直したところ、指導案について悩むことはなくなりました。
また、学校の人に見てもらうときに、誤字・脱字以外の指摘をもらうこともなくなったんです!

この記事では、学習指導案の書き方について迷わなくてもいいように、指導案を書く上での「型」を解説していきます。

具体例として、高校社会科で私が作った指導案から一部抜粋しています。

早く作るコツは、「型」を覚えること

指導案を早く書くコツは、決まった「型」を知り、忠実に型通りに書くことです。

もっとすぐ書けるコツみたいなものを教えてくれるんじゃないの?

残念ながら指導案については、真面目に丁寧に書くことが一番の近道です。

なぜなら、行き当たりばったりで書いても途中で何を書くか迷ってしまい、時間がかかったりするからです。
また、行き当たりばったりで書いた文章は結局、指導教官などに多くの指摘を受け、書き直す羽目になり、余計な時間がかかりやすいからです。

「型」が身につくまで、時間はかかりますが、わかってしまえば、それほど苦痛ではなくスラスラと書けるはずです。

フォーマットに関しては、配属されている学校のものを使いましょう。

指導案作成の決まった型(理念)

では、指導案を書く際の決まった型とはなんでしょうか。

結論から言えば、「なぜその授業が必要なのか、説明すること」です。

厳密には、以下の通りです。

・誰に
・何を使って
・どのように

それぞれ、指導案に書くことは、

・誰に(生徒観)
・何を使って(教材観)
・どのように(指導観)

となります。
この構造を意識すると、指導案の文言が一貫した内容になり、誰にもケチがつけられないものになります。

順番はこの限りではありません。学校のフォーマットに従いましょう。

それでは、実際に1つ1つ確認していきます。

生徒観|何を課題としている生徒か

生徒観には、「どのような生徒を対象としているのか?」という生徒の実態を書きます。

生徒の実態といっても「やんちゃ」とか「おとなしい」とか、ばかり書くのではありません。

生徒が「何を得意としていて、何を課題としているか」が重要です。特に課題。

授業は生徒の課題をクリアするために存在しています。

よく、「○歳なんだからこのくらいわからないと」と言う教員がいますが、目の前の生徒を無視しています。

どんな時も現状の生徒に「+1」を忘れてはいけません。

例えば、以下のような指導案を考えましょう。

生徒はこれまで意欲的に授業に参加しており、少しずつ読める文章も増えてきた。しかし、歴史を現代と結びつけることを苦手としており、歴史を学ぶ意義については懐疑的な生徒が多い。

この場合、生徒ができていることは「文章を読む」であり、課題・苦手は「現代と結びつけること」です。

したがって、今回の授業では、「現代と結びつけられるようにする!」と記載するときれいですね。

教材観|生徒の課題を解決できる教材は?

生徒の課題はわかりました。次に、課題克服に適した教材を書きましょう。

教材観には、「なぜその生徒の課題解決に、その教材が適しているのか」を書きます。

教材というと、「地球儀」や「iPad」のような”モノ”を思い浮かべてしまいますが、ここでは扱う「内容」まで教材に含めます。

社会科では、「産業革命」などであり、数学などでは「一次方程式」などでしょうか。

生徒の課題を解決するのに、なぜ「産業革命」が適しているのかを記載すればOKです。

具体例を見ていきましょう。

18〜19世紀は世界の結びつきが広まることによって、経済的分業が成立していく。成立した分業関係によって、拡大した格差は現代社会においても、さまざまな国際問題として残っている。

生徒の課題が「歴史を現代と結びつけること」であったために、現代と結びつきやすい教材を選択します。

と言いつつも、最初に教科書の内容が決まっていて、自分で教材を自由に選んだわけではないんですけどね・・・。

指導観|どのようにして課題を解決するのか?

指導観では、生徒の課題解決までの手立てを記載します。

さっきの教材をどのように使用するのか、ですね。

事例から考えましょう。

第1時から3時では、18~19世紀に拡大した思想の中でも「遅刻」「国民」「人権」などの生徒に身近なものから関心を誘う

教材の中から、「現代」に結びつけられるように、生徒の生活で聞いたことがあるものを導入に使用する、という手立てを記載しています。

何をしようとしているのかがわかったところで、具体的に計画を立てていきます。

指導案作成の決まった型(計画)

指導案作成の理念・方向性が決まったところで、実際に計画を立てていきます。

計画を立てる順序は以下の通りです。

・大きな目標を決める
・目標達成の基準を決める
・大きな計画を立てる
・小さな目標
・小さな計画を立てる

それぞれ指導案では、

・大きな目標を決める(単元目標)
・目標達成の基準を決める(評価の観点)
・大きな計画を立てる(単元計画)
・小さな目標(本時の目標)
・小さな計画を立てる(本時の展開)

が割り当てられます。それぞれ簡単に解説します。

単元目標|大きな目標を立てる

これから複数の時間をかけて、何を達成してもらうかを記載します。

新学習指導要領では、高校も3観点で評価することが求められるようになりました。

それぞれの観点は以下の通りに考えましょう。

  • 【知識・技能】:知ること・読み取ること
  • 【思考・判断・表現】:考えること・表現すること
  • 【主体的に学習に取り組む態度】:自らの学びを振り返ること

実際の作り方は以下の通りです。

まずは、1つの目標を決めます。それを3観点に分ければ終わりです。

19世紀の「人の暮らし」「国家」の変化

という風に、流れを決めます。それを3観点に振り分けましょう。

【知識・技能】
19世紀の「人の暮らし」「国家」の変化を資料から読み取り、理解することができる。
【思考・判断・表現】
19世紀の「人の暮らし」「国家」の変化は現代にどのように関連しているか説明できる。
【主体的に学習に取り組む態度】
19世紀の「人の暮らし」「国家の」の変化と現在の自分の生活と照らし合わせ、自身の生き方について振り返ることができる。

コツがつかめれば簡単ですね!

目標達成の基準を決める

目標を決めたら、目標の達成基準を作成する必要があります。

よく評価の観点がない指導案を目にすることがあります。

しかし、それは自分の授業が生徒の役に立ったのかに興味がないと言っているようなものです。

ただ話したいことを話し、させたいことをさせた自己満足の授業になります。

難しく考える必要はありません。

単元の目標から観点別に3段階くらいでABCと分ければできあがります。

【知識・技能】
目標
 19世紀の「人の暮らし」「国家」の変化を資料から読み取り、理解することができる。
A評価
 19世紀の「人の暮らし」「国家」の変化を資料から読み取り、根拠を持って説明することができる。
B評価
 19世紀の「人の暮らし」「国家」の変化を説明することができる。
C評価
 19世紀の「人の暮らし」「国家」の変化を説明することができない。

他にも「人の暮らし」は理解できているけれど、「国家」についてはイマイチである。
という風に評価をズラしてもいいと思います。

単元計画|大きな計画を立てる

単元目標を達成するための計画を立てていきます。

ポイントは、複数の授業で単元目標を達成するように計画を立てることです。

1つの授業で、単元目標を達成する必要はありません。
しかし、てきとうに授業を組み立てると、「知識・理解」だけの授業しかない、ということになる可能性が高いです。

複数の授業で目標を達成できるように考えましょう。

本時の目標|小さな目標を立てる

単元計画をたてる上で、考えたことをそのまま記載しましょう。

本時の展開|小さな計画を立てる

小さな目標を達成するために、最初の15分で何をして、最後の5分で何をするのかなどを計画します。

授業ができていれば、それほど書き方に困ることはないでしょう。

まとめ

この記事では以下のことを解説しました。

指導案の書き方

・早く書くには、型を守ること

・理念の型

・計画の型

面倒ですが、これが一番早い指導案の書き方です。

ただ、指導案の前半の部分に重点を置いていない学校もあります。
そういった学校では、その学校の誰かに借りてコピーしてしまいましょう。
または指導書のものをそのまま転載しましょう。

ただ、良い授業を作るコツは、頭の中で、指導案を書くことです。
それだけ指導案というものはよく考えられています。

1つ丁寧に作ってみるのをおすすめします。