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あの仕事もこの仕事も終わってない・・・。
教員室の時計を見たら、思ったよりも時間が過ぎている時の絶望感といえば、何度味わっても慣れることのない痛みですよね。
多分、教員の慣れない痛みランキングがあれば、ベスト8には入るでしょう。
そんな人には、「教員の仕事は1回の100点よりも、毎回の70点の方が大事」という考えをおすすめします。
現在、仕事を早く終え、割りと帰る時間をコントロールできるようになった今も強く賛同する考えです。
この記事では、教員の仕事は70点を目指した方が良い!という理由を論理的に説明したいと思います。
この記事を読むメリット
- 明日からの働き方が変わる
- 明日から気楽に働ける
- 仕事の本質をつかめるようになる
70点で働くとはどういうことか?

まずは、「70点で働く」とはどういうことかを解説します。
「70点で働く」とは、100点や90点を目指さない、という働き方です。
- いつも授業にプリントやスライドがあり
- いつも授業はおもしろくしようと思っており
- いつも生徒と真摯に向き合い
- いつも保護者と正面から対応している
こういう完璧を目指す働き方ではなく、
- プリントやスライドは、作れたら作る
- おもしろい授業は5回に1回くらい
- 生徒とは余裕があるときに向き合う
- 保護者とは一線をひいて話し合う
など、完璧を目指してはいないんだけども、仕事はしているといえる状態を70点で働くと言います。
なぜ70点を目指すのがいいのか?

なぜ働くうえで70点を目指した方がいいのか解説します。
- 完璧を目指さなくても良くなる
- 心理的ハードルが下がる
- いろんな分野の仕事ができる
理由1:仕事の本質がわかるようになる
70点で働くと思うと、仕事の本質がわかるようになります。
例えば、
「学校の授業において重要なのは何か?」と問われれば、1番本質的な仕事は「全員いるか見守っている」が正解です。
- 生徒の成績を上げるのも
- 授業の質を上げるのも
- わかりやすい授業・おもしろい授業にするのも
全部、プラスαの仕事であり、1番本質的な仕事ではありません。50分の授業内で「生徒の身体的・心理的安全を見守る」というのが、学校教員の仕事の本質です。
あとのプラスαのことは
- できればする
- いつかはする
- たまにはする
と、思っておけばいいんです。70点で働くことを意識できると、効率よく仕事ができるようになります。
理由2:心理的ハードルが下がる
70点を目指す働き方は心理的ハードルを下げるのに役立ちます。モチベーションが上がりやすいからです。
例えば、17:00に次の2つの仕事が残っているとします。
- 完璧に近い90点を目指して取り掛かる
- 70点でいいんだと思って、仕事に取り掛かる
当然、70点を目指す方がハードルが低いため、取り掛かりやすいです。
とりあえず、「重要なところは押さえる!」という働き方になれば、取り組みやすさも変わってきます。70点を目指せば良いという考えは、モチベーションのアップにもつながります。

子どもも大人も、目指すゴールが近いとやる気が出るのは変わりません!
理由3:いろんな分野の仕事ができる
70点を目指す働き方は、いろんな分野の仕事ができるというメリットがあります。
教員の仕事は多種多様に分かれすぎなんです。授業だけでも以下の観点があります。
- おもしろい授業をする
- ついていけない人のために授業する
- 観点別に生徒を観察する
- 基礎が学べるような授業にする
- 応用できるような授業にする
- わかりやすいプリントを作る
など、授業だけでも1つのビジネスになります。にもかかわらず、他にも
- 一緒にご飯を食べる
- 怪我をしないように見張っている
- 行事を盛り上げる
- 不登校生徒の支援をする
などの仕事があり、これほど多種多様の分野が共存する仕事も珍しいです。
1つの仕事で90点を目指すと、他の仕事に影響が出ます。70点を目指すと、他の仕事もまんべんなく、できるようになります!
70点を目指す具体的な方法

ここからは具体的な場面で70点をとる方法を解説します。
- 授業のとき
- 生徒対応のとき
- 保護者対応のとき
- 資料づくり
あくまで具体例を示すので、自分にあった場面で応用していきましょう!
授業で70点をとる
授業の本質は、授業時間中に生徒が教室にいるかどうかを見守ることです。
力を抜きたいときは、「自習」にすればいいし、課題を課すだけのときもいいでしょう。
良い授業ができるかどうかは、あなたが余裕のあるときにすればいいんです!
生徒対応で70点をとる
生徒対応で大事なのは「話を聞くこと」です。特に放ったらかしにしなかったことが重要です。
今後、その生徒をどのように指導していくかは、学校で決めていくことであって、とりあえずのあなたの仕事は、生徒に
- どんな嫌なことがあったのか
- あなたを見捨ててないよ!
と、話を聞くことです。
保護者対応で70点をとる
保護者対応で大事なのは「話を聞くこと」です。生徒と同じです。
今後、その保護者とどのように接していくかは、学校で決めることでです。自分の仕事は、保護者と話ができる関係を築いていくくらいです。
できれば、「保護者の不安を解消する」まで、行けたらベストです。
資料作りで70点をとる
教員は様々なところで資料を作ることが求められます。
- 顛末書
- 起案
- 要項
これら教員側に通達する文書を作成しているときに、1番重要なのは「伝わること」です。文章の綺麗さやレイアウトの美しさではありません。
わかりやすく要点だけを書いていれば、あとはどうだっていいんです。

ガミガミ言ってくる人もいるので、「はい!」と聞いてすぐに修正して終わりです。
教員の仕事の100点はどこにある?


仕事なんだから100点を目指したいんだけど!
やっぱり「働く」となったからには、100点を叩き出したいですよね?しかし、教員の仕事の100点とは、どのような仕事なのでしょうか?
- 「教育」の仕事に満点はない
- そもそも教員の仕事の100点はハードルが高い
「教育」の仕事に満点はない
教育の仕事に満点はありません。子どもの成長や教育に再現はないからです。
例えば、会社の目標だったら「満点」は作りやすいです。
月の売上目標が50万円なら、50万円を達成すれば、それは100点(満点)の仕事といえるでしょう。
しかし、これが教育現場なら、どうでしょう?
- 生徒の点数が100点になったら?
- クラスの全員が登校したら?
- 生徒の安全を確保したら?
判断がかなり難しいです。しかも自分の中で100点を採れたとしても、すぐに200点に目を向けてしまうでしょう。
安全や成長や教育に再現はないからです。

まずは「完璧」など、教育現場にないと理解しましょう!
そもそも教員の仕事の100点はハードルが高い
仮に教員の100点(満点)があるとして、満点の状態とはどのようなものでしょうか?
- 全生徒が主体的な授業を行う
- 全保護者に感謝される
- 担当している部活が最高の成績をおさめる
- 全ての生徒が第一志望に合格する
- 全ての行事で全ての生徒が納得のいくものにする
どうでしょうか?満点など取れないことは明らかです。

教育現場で100点のハードルってめっちゃ高いんです!
なぜ90点ではダメなのか?

なぜ70点を目指すの?90点じゃダメなの?
なぜ働くうえで90点を目指すべきではないのでしょうか?それが、90点を目指すとコストパフォーマンスが悪くなるからです。
50点を70点にするより、70点を90点にする方が難しい

90点を目指すことをオススメしない理由として、「割りに合わない」というのが挙げられます。
- 50点から70点を目指すのは20点アップ
- 70点から90点を目指すのも20点アップ
同じ20点ですが、努力量は同じではありません。
これは経済用語の「限界生産力」が関係しています。
限界生産力とは
限界生産力とは、何かを生産するコストに対する生産量の伸びを指します。
例えば、
- 数学70点
- 国語20点
という生徒がいた場合、国語と数学のどちらを応援するでしょうか?国語の方を勉強しよう!と言うはずです。国語の方が伸びしろがあるからです。
最初のうちは、労力をかけるほど、生産量は上昇しますが、一定ラインを超えると、あまり生産量は上昇しなくなります。
パソコンを持っていない人が、パソコンを持つことで生産性が2倍になったとします。では、2台目のパソコンがあれば、生産性は2倍になるでしょうか?
パソコンを3台にしても4台にしても、生産性は上昇しにくいです。他のキーボードやモニターにお金をかける方が生産性が上がるでしょう。
生産性とは、ある一定ラインを超えると上がりづらくなるというのを覚えておきましょう!

自分で70点かなあ?って思ったら、その仕事は一旦終えて、別の仕事に取り組んだ方が良いでしょう!

教育現場で90点をとるのは、コストパフォーマンスが悪くなりやすいんです!
70点を取る働き方の注意点

70点を取りにいった方がよいことが、骨の髄まで、染み込んで、理解してもらえたところだと思います。
最後に「70点の働き方」には注意点があるので、理解しておいてください。
- 「した方がよい」という思考は捨てる
- いつもしていない仕事はしない
「した方がよい」という思考
全世界の職員室で、使用禁止にするべき言葉、これが「した方がよい」です。
会議において、ある議題が「した方がよいか?」という軸で進んでいるとしましょう。
その議題は、十中八九「する」方向になります!
なぜなら、「しない」よりは「した方がよい」からです。例えば以下のような学校業務ですが、
- 学校内の会議に豪華なスライド資料
- 全員揃っての職員室の朝礼
- 全員が揃った会議での資料の読み上げ
- 逐一の保護者への案内
- 毎日の学級通信の発行
- ちょっとしたことでの家庭訪問
- 特に事件は起こっていないが、授業のない教員の廊下の見回り
いや、しないよりはした方がいい。ただ、支払うコストを考慮したときに本当に「した方がよい」かは微妙なラインのものは学校にたくさんあります。
70点を目指すのであれば、「した方がよい」という基準で物事を考えることは、不適切だと言わざるを得ません。
30点分空いたから、いつもしていない仕事をしてしまう
やっぱり教員というものは、100点をとろうとすることが身に染み付いている生き物です。
せっかく70点で仕事を終えて、早く帰れる状態を作っても、空いた時間で今までしてこなかった仕事に無理に取り組んだりしてしまいます。

70点を目指し、30点分空いたのであれば、遠慮せずに帰りましょう!
そうしないと結局どんどん仕事の沼に入っていってしまいます。
まとめ
この記事では以下のことを解説しました!
- 70点を目指すやり方は働きやすい
- ハードルが低い
- 教員に合っている
- 100点を目指すのは原理的に不可能
- 90点はコストパフォーマンスが悪い
「まとめ」で言うのもなんですが、70点で良いというのは、何より自分の心をホッとさせてくれます。
自分を教育者と考えると、生徒の前では完璧な人間でいなければならないと思いがちです。
一度そう考えてしまうと、どんどん心が苦しくなります。
70点を目指すだけでいいというのは、落ち着いて職業と向き合うことができる基準にもなります。何より、70点でいいんだよ?という姿勢は生徒にも安心を与えることになるのではないでしょうか?
生徒と、何よりあなたの心のために、70点を取るという働き方をぜひ実践してみてください。
そもそも教員という仕事は向いてない、転職考えている人は以下の記事が参考になります。