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「部活の顧問、断れますか」
ネットで調べると、断り方の記事がいくつも出てきます。ただ、読んでいて引っかかることがあります。本当に断った人が書いているのだろうか、と。
私の経験を正直に書きます。顧問そのものを断ったことは、ありません。
その代わり、顧問になってからの業務の中身は断ってきました。そして実際に効いたのは、こちらです。
この記事では、顧問がどう決まるのか、何なら断れるのか、手当はいくらなのか、そしてそれでも部活には代えがたいものがあるという話まで書きます。断り方だけの記事にはしません。
部活の顧問の希望は基本的に通りません
まず現実からです。希望を出しても、たいてい通りません。

部活の顧問は経験を加味して割り振られます
顧問がどう決まるかというと、普通の人事です。校務分掌を決めるのと同じように、教員の配置として決まります。
判断材料になるのは、その競技の経験です。やっていた人がいれば、そこに割り振られます。ほかにも、学年配置とのバランス、他の分掌との兼ね合いなど、いろいろな事情が絡みます。
希望は聞かれることもあります。ただ、その希望が通るかというと、基本的には通りません。学校全体で人を配置する以上、一人の希望だけで決まらないのは当然でもあります。
不人気の部活なら希望は通ります
例外がひとつあります。不人気の部なら、希望は通ります。
やりたい人が少ない部は、当然ながら埋めるのが大変です。そこに「やります」と言えば、まず通ります。部を選べる可能性があるのは、この方向だけです。
これは戦略として使えます。どうしても避けたい部があるなら、先に別の部へ手を挙げておくという手があります。決まってから断るより、決まる前に埋めておくほうが現実的です。
私が断ったのは顧問ではなく業務の中身です
ここが、この記事でいちばん正直に書きたいところです。
顧問そのものを断ったことはありません
繰り返しますが、私は顧問を断ったことがありません。だから「断れます」とは書けません。
ただ、断ったものはあります。顧問になってからの、個別の業務です。
この大会には出ない。この日は指導に入れない。この事務作業は引き受けられない。そういう単位でなら、断ってきました。そして、これは通ります。
業務の中身を断っても職員室での扱いは変わりません
気になるのは、断ったあとの空気だと思います。私の実感では、扱いは変わりません。
顧問そのものを断った経験がないので、そちらは分かりません。ただ、業務の中身を断った範囲では、何かを言われたことも、態度が変わったこともありません。
理由を考えると、断る単位が具体的だからだと思います。「顧問は無理です」は相手も困りますが、「この日は入れません」なら調整の話になります。交渉できる大きさに切って渡す。これが実際に効いた方法です。
そのうえで、削るための言い方をひとつ。「この日は私が出ます。だから、この日はお願いします」をセットで言えるかです。
ただ「休ませてください」だけでは、なかなか通りません。出る日を先に差し出して、任せる日を作る。顧問の割り当ては、分掌と同じで、いろいろな事情を考えたうえで上が決めているものです。決定そのものと戦うのではなく、中身の配分を交渉する。ここが、早く帰れる顧問と潰れていく顧問の分かれ目だと思っています。
どうしても部活の顧問を断りたいなら覚悟が要ります
とはいえ、どうしても無理な場合もあると思います。そのときの話も書いておきます。
若手が顧問を断るのは簡単ではありません
現実として、若手ほど顧問は回ってきます。理由は単純で、断る力が弱いからです。
経験のある人は、過去の経緯や他の業務を理由に交渉できます。着任したばかりの人には、その材料がありません。結果として、断れない人のところに集まります。
これは不公平ですが、実際に起きていることです。だから若手は、最初から諦めるか、覚悟を持って交渉するかの二択になります。
断るには相応の覚悟が必要になります
正直に書きます。どうしてもやりたくなければ、駄々をこねるしかありません。
「できません」と言い続ける。他の業務を引き受けると提案する。それでも動かないなら、自分にとってこれが働き続けられるかどうかの問題だ、というところまで踏み込むしかありません。
ここまでする必要があるのか、と思われるかもしれません。それくらいしないと動かない、というのが実態です。だからこそ、軽い気持ちで勧められる方法ではありません。
まずは業務の中身を切って交渉する。それでも耐えられないなら、最後にこの手段がある。順番はこちらです。心身に影響が出ているなら、我慢の問題ではありません。管理職や相談窓口に早めにつないでください。
経験のない競技の顧問を任されたら
未経験の部を任されるのは、よくあることです。戦い方があります。
技術指導ができなくても顧問はできます
まず前提を変えてください。顧問の仕事は、技術指導だけではありません。
やるべきことは2つです。生徒をしっかり観察すること。そして事務作業を丁寧にやること。
観察は、経験がなくてもできます。誰がしんどそうか、誰が伸びているか、人間関係がどうなっているか。むしろ競技経験がないほうが、そこがよく見えることもあります。
事務を丁寧にやると信頼されます
もうひとつが事務です。大会の申し込み、保護者への連絡、会計、日程調整。ここを落とさずにやると、それだけで信頼されます。
技術は、外部指導者や生徒同士で補えることがあります。しかし事務を落とすと、そのまま生徒の不利益になります。締め切りに間に合わなければ大会に出られません。
だから、未経験の競技を任されたら、観察と事務に全力を注いでください。それが、その部にとっていちばん役に立つ形です。
部活の手当と潰れる土日の話
お金と時間の話も、正直に書きます。

部活の手当は数千円で赤字になることもあります
手当は数千円です。これは私の場合なので、自治体や学校によって違います。お手元の規程で確認してください。
そして、ここが問題です。交通費や食事代を考えると、赤字になることもあります。
遠征に行けば移動費がかかります。一日いれば食事代もかかります。それを手当が上回るかというと、上回らない日があります。時間を差し出したうえで、お金も出ていく。この構造は知っておいたほうがいいです。
土日がどれくらい潰れるかは主顧問次第です
土日については、強豪校かどうかで大きく変わります。
大会を本気で目指している部なら、土日は普通に潰れます。週によって変わりますし、大会シーズンには連続することもあります。
そして、決めているのは主顧問がどれくらい真剣にやるかです。同じ学校の中でも、部によってまったく違います。制度ではなく、人によって決まっているのが実態です。
自分が主顧問なら、休みを設定する側に回れます。ここは覚えておいてください。逆に主顧問でないなら、「この事務作業を引き受けるので、この日は休ませてください」という交換条件で交渉するのが現実的です。
それでも部活には代えがたいものがあります
ここまで負担の話を書いてきました。ただ、それだけで終わらせたくありません。
生徒の成長を隣で見られるのは部活です
正直に言います。部活は、生徒の成長を隣で見られる場所です。麻薬みたいなものだと思っています。
授業でも成長は見えます。ただ、部活のほうがはっきり見えます。しかも3年間を通して見られます。入ってきたときの姿と、引退するときの姿がまったく違う。あの変化を近くで見られる仕事は、そう多くありません。
生徒が自分で分析し、反省し、また向かっていく。その過程をずっと見ていられる。これは、負担と引き換えにするものとして、決して軽くありません。
部活は生徒が望んでやっているものです
もうひとつ、大きな違いがあります。部活は、生徒が望んでやっていることです。
学校の授業は、生徒にとって嫌で嫌でしょうがないものだったりします。座らされている、という感覚がある。部活は違います。自分で選んで来ています。
生徒の側にもインセンティブがある。だから、顧問がやりたいことと、生徒がやりたいことが一致しやすい。この一致は、授業ではなかなか起きません。
ここが、部活が特別である理由だと思っています。負担は確かに大きい。ただ、得られるものも他では代えられません。
部活の地域移行は進んでいるのか
制度の話にも触れておきます。
地域移行は地域によって差があります
部活動の地域移行は、進んでいるところと進んでいないところがまちまちです。
私の実感では、昔よりは確実に進んでいます。方向としては動いています。ただ、地域によって速度がまったく違うので、「進んでいます」とも「進んでいません」とも言えません。
お住まいの自治体の状況は、教育委員会の発表で確認してください。ここは全国一律の答えがない部分です。
地域移行がうまくいくかは相性次第です
もうひとつ、正直な懸念も書いておきます。地域の指導者と生徒がうまくいくかどうかは、やってみないと分かりません。
教員が見ていたときは、日常の様子も含めて生徒を知っていました。外部の指導者には、その情報がありません。技術指導は上でも、生徒理解の部分が引き継がれるかは別の話です。
制度としては正しい方向だと思います。ただ、現場では相性のギャンブルになる面がある。そこは見ておいたほうがいいです。
まとめ 部活の顧問は断れませんが業務は断れます
大事なところをまとめます。
顧問の希望は基本的に通りません。決まり方は普通の人事で、経験が加味されます。ただし不人気の部なら通ります。
私は顧問そのものを断ったことがありません。断ってきたのは、顧問になってからの業務の中身です。「この日は入れません」という単位なら交渉になりますし、それで職員室の扱いが変わったこともありません。
どうしても顧問を断りたいなら、相応の覚悟が要ります。軽く勧められる方法ではありません。まず業務を切って交渉するのが順番です。
未経験の競技を任されたら、観察と事務に全力を注いでください。技術指導だけが顧問の仕事ではありません。
手当は数千円で、交通費や食事代を考えると赤字になることもあります。土日が潰れるかどうかは、主顧問がどれだけ真剣にやるかで決まります。
そして最後に。部活は、生徒の成長を3年間隣で見られる場所です。しかも生徒は自分で望んで来ています。負担は大きいですが、得られるものは他では代えられません。
これから教員になる方へ、ひとつだけ。安請け合いはしないでください。そのうえで、全体の空気を見ながら頑張ってください。
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