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「教員は夏休みがあっていいね」
毎年言われます。答えにくい質問です。長い休みがあるのは事実ですし、そのぶん自由がきくのも本当だからです。
ただ、実態はもう少し複雑です。先に結論を書きます。教員の夏休みは、部活があるかどうかで完全に決まります。
そしてもうひとつ。あまり知られていないことですが、教員がいちばん休めるのは冬休みです。夏休みではありません。
この記事では、実際に何日くらい学校へ行くのか、その日に何をしているのか、そして2学期を楽にするために夏休みにやるべきことを書きます。最後に、本当に休むための交渉のしかたも書きます。
教員の夏休みは部活の有無で決まります
まず全体像です。夏休みの過ごし方は、部活を持っているかどうかで、まったく別のものになります。

部活がある教員はお盆以外ほぼ出勤します
部活を持っている場合、お盆の期間を除いて、ほぼ毎日部活に行くことになります。
もちろん、これは顧問のやる気次第でもあります。強豪と呼ばれる部なら、休みはほとんどありません。ゆるやかに活動している部なら、週に数日で済むこともあります。主顧問がどれだけ真剣にやるかで、その部の夏休みは決まります。
長期休業中の部活の日数も同じです。週6日ある部もあれば、週2日や週3日でゆるやかにやっている部もあります。同じ学校の中でも、部によってまったく違います。
部活がない教員は当番の日だけ出勤します
部活を持っていない場合、話は大きく変わります。学校に当番が決められていて、その当番の日だけ行けばいいからです。
頻度としては週2日から週3日程度です。学校を閉めるわけにはいかないので、誰かが交代で出ます。ただ、それ以外の日に出勤する義務はありません。
私自身は、ほとんど行かない年もあります。行かなくても仕事が回るように組んでおけば、それで問題はありません。もちろん学校によって運用は違うので、ご自身の勤務先の当番の決め方は確認してください。
教員は夏休みに学校で何をしているのか
出勤した日に何をしているのか。ここも意外と知られていません。
教員の夏休みの仕事は2学期の準備が中心です
やっていることは、おおむね次のようなものです。
2学期の授業づくり。1学期の振り返り。教材研究。そして教養を学ぶ時間。授業のない時期にしかできないことに手をつけます。
それから、学校に来ている生徒の相手もあります。補習に来る生徒、質問に来る生徒、居場所として学校を使っている生徒。夏休みでも、学校には生徒がいます。
普段の学期中と違うのは、まとまった時間が取れることです。細切れの時間では進まない仕事を、この時期に片づけます。
夏休み中の研修と出張はそれほど多くありません
研修についても書いておきます。私の実感では、8月に3日、7月に2日程度、あるかないかです。
思ったより少ない、と感じる方もいると思います。ただし、これは自分がどれだけ行きたいかを意思表示するかどうかでも変わります。行きたいと言えば増えますし、言わなければそれなりの数に収まります。
公立の場合、初任者研修などの法定研修があるため、年次によって事情は変わります。お勤め先の年間計画で確認してください。
教員の夏休みは冬休みより休めません
ここが意外に思われるところです。長期休業の中で、いちばん休めるのは冬休みです。

冬休みは短いですが実質的に休めます
冬休みは日数としては短いです。ただ、教員の実態としては、いちばん休めます。
理由は単純で、この時期に大きな行事が少ないからです。部活も、年末年始はさすがに動きが鈍ります。世の中全体が止まるので、学校だけ動くわけにいきません。
日数は短くても、その期間は本当に休める。これが冬休みの特徴です。
春休みは準備と入試で休めません
一方、春休みはほとんど休めません。新年度の準備があるからです。
クラス編成、教材の準備、分掌の引き継ぎ。新学期が始まる前にやることが山積みになります。さらに学校によっては、入試や入試対策が入ります。
日数としては夏休みより短く、しかも中身が詰まっています。春休みは休みではなく、準備期間だと思っておくほうが正確です。
夏休みは、その中間です。日数は長いのですが、部活が本気の学校では本気で潰れます。休めるかどうかは、結局そこで決まります。
夏休みにやると2学期が楽になるのは単元計画です
ここが、この記事でいちばん実用的な部分です。「2学期の授業を全部作っておく」は、実はうまくいきません。
夏休みに2学期の授業を作ろうとすると失敗します
多くの人が、夏休みに2学期の授業を作ろうとします。私もやりました。ところが、これはたいてい失敗します。
何が起きるか。9月の1週目、2週目の授業を練りに練って、そこで力尽きます。時間があるぶん、最初の数時間に凝ってしまうのです。
そして結局、中途半端なものができあがります。10月以降は手つかずのまま2学期が始まり、いつも通り追われることになる。夏休みを使ったのに、何も変わっていません。
夏休みにやるべきなのは単元計画です
では何をすべきか。単元計画です。
どの授業で何をするのかという大枠を決めておく。それだけです。1時間ごとの中身を作り込む必要はありません。
理由は身も蓋もありません。どうせ授業日が近づけば、その授業を作るのに追われるからです。細かい中身は、そのときに作ることになります。それなら、夏休みにやるべきなのは別のことです。
夏休みにできるのは、遠くを見通すことです。学期全体をどう組むか。どこに山場を置くか。テストをどこに入れるか。この設計は、学期が始まってからでは絶対にできません。準備時間そのものの削り方は教員の授業準備・教材研究で時間を使わない考え方に書きました。
夏休みは資産を仕込む時期にしてください
もうひとつの使い方は、あとで効いてくるものを仕込むことです。
使い回せる教材を作る。過去のプリントを整理する。授業で使える素材を集めておく。その年だけで消えないものに時間を使うと、翌年以降がずっと楽になります。
この考え方は早く帰るために「ストックを貯める」という方法に詳しく書きました。夏休みは、ストックを増やすのにいちばん向いた時期です。
教員が夏休みを本当に休むための交渉
「休みたいのに休めない」という状況には、打つ手があります。立場によってやり方が変わります。
主顧問なら休みを自分で作れます
自分が主顧問なら、話は早いです。休みを作る側に回れます。
真剣に大会を目指している部なら別ですが、そうでない部であれば、どんどん休みを設定してかまいません。生徒にとっても、休みがあることは悪いことではありません。
顧問が決めなければ、練習は惰性で続きます。決められる立場にいるなら、決めてください。
主顧問でないなら交換条件で交渉してください
自分が主顧問ではない場合は、交渉になります。ここにコツがあります。何かをする代わりに休む、という形にすることです。
「この事務作業を私がやるので、この日は休ませてください」。この言い方なら、相手も受け入れやすくなります。ただ休みたいと言うより、はるかに通りやすいです。
大事なのは、休みたいと言ったときに「いいよ、休みな」と言われる状態を作っておくことです。その関係は、普段の働き方で作られます。休みの交渉は、当日だけの勝負ではありません。
「教員は夏休みがあっていいね」への答え
最後に、冒頭の質問に戻ります。
夏休みの実態は人によってまったく違います
正直に答えるなら、こうです。人によります。
部活を持っていなければ、まとまった時間が取れます。それは事実で、恵まれた面だと思います。一方、部活を持っていれば、お盆以外はほぼ学校にいます。同じ職業でも、まったく違う夏を過ごしています。
だから「教員は夏休みがあっていいね」に、ひとつの答えはありません。同じ職員室の中でも、答えが割れます。
それでも自由がきく職業ではあります
そのうえで、私はこう思っています。自由がきく職業であることは間違いありません。
授業のない時期にまとまった時間が取れる仕事は、そう多くありません。使い方を自分で決められる余地も大きい。この点は、率直に恵まれています。
だから聞かれたときは、こう返すことが多いです。「じゃあ、やってみたらいいんじゃないですか」。もちろん半分は冗談ですが、半分は本気です。長い休みだけを見て決められる仕事ではない、という意味も込めています。教員の働き方全体については教員がブラックは本当かにまとめました。
まとめ 教員の夏休みは部活の有無で決まります
大事なところをまとめます。
教員の夏休みは、部活があるかどうかで完全に決まります。部活があればお盆以外はほぼ出勤、なければ当番の週2〜3日だけです。
長期休業の中でいちばん休めるのは冬休みです。春休みは準備と入試で休めません。夏休みは、部活が本気の学校では本気で潰れます。
そして、2学期を楽にしたいなら、授業を作り込むのではなく単元計画を作ってください。どうせ授業日が近づけば作ることになります。夏休みにできるのは、遠くを見通すことです。
休みたいときは、主顧問なら自分で休みを作る。そうでないなら、何かをする代わりに休む、という交換条件で交渉する。ただ休みたいと言うより通ります。
「夏休みがあっていいね」への答えは、人によります。ただ、自由がきく職業であることは確かです。
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