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研修から戻ってきて、こう思ったことはないでしょうか。
「で、明日から何をすればいいんだろう」
私は何度もあります。そして、はっきり書きます。いまの教員研修は、ほとんどいらないと思っています。
誤解のないように先に書いておくと、研修そのものを否定したいわけではありません。出てよかったと思える研修も、確かにありました。ただ、その数が少なすぎるのです。
理由は単純です。研鑽すべきことは、人によってまったく違うから。それなのに、全員に同じ研修をしている。だから噛み合いません。
この記事では、研修が実際にどれくらいあるのか、なぜ噛み合わないのか、そしてどういう研修なら意味を持つのかを書きます。
教員の研修はどれくらいあるのか
まず実態からです。思っているより多くはありません。ただし、若いうちは別です。
新任のうちは週に1回ほど研修があります
新任の場合、週に1回、1時間程度のOJTのようなものがあるのが一般的です。先輩について学ぶ形もあれば、集まって話を聞く形もあります。
年次が上がると、この頻度は下がります。ただし公立の場合、初任者研修や中堅教諭等資質向上研修は法律で定められた研修なので、年次によって受けるものが決まっています。お勤め先の年間計画で確認してください。私が書いているのは私立での実感なので、公立とは制度の枠組みが違います。
夏休み中の研修や出張は、7月に2日、8月に3日程度、あるかないかというのが私の実感です。思ったより少ない、と感じる方もいると思います。
教員の研修のテーマは決まっています
扱われるテーマは、だいたい決まっています。
IT。AI。探究。生徒指導。保護者対応。人権。このあたりが繰り返し出てきます。どれも大事なテーマですし、扱うこと自体は間違っていません。
問題は中身ではなく、誰に向けて話しているのかが決まっていないことです。次の章で書きます。
教員の研修が噛み合わないのは全員に同じことをするからです
ここが核心です。研鑽すべきことは、人によってまったく違います。

できている人に基礎の研修が届いてしまいます
実際に起きているのは、こういうことです。
ITができている人に、ITの基礎研修。探究に力を入れている人に、探究の入門研修。保護者対応が上手な人に、保護者対応の初歩の研修。
こうなると、その人にとっては何も残りません。すでに知っていることを聞いて、1時間が過ぎます。時間を使ったのに、何も増えていない。
逆のことも起きます。まだ基礎ができていない人に、応用の話が届く。ついていけないまま終わります。どちらの人にも届いていないのです。
全員に同じ研修をする設計に無理があります
これは、研修を作る人の努力不足という話ではありません。設計そのものに無理があります。
同じ学校の中でも、経験年数も得意分野も違います。10年目のベテランと、着任したばかりの人が、同じ話を聞いて同じだけ得るというのは、そもそも成り立ちません。
全員に同じものを届けようとすると、誰にも刺さらないものになります。これは学校の研修に限らず、どんな研修にも共通する話です。
教員の研修に出ている間、現場は止まります
もうひとつ、見落とされがちなコストがあります。その時間、授業と仕事が止まることです。
研修に出るには授業を動かす必要があります
研修に出ている間、担当していた授業はどうなるか。方法は3つあります。
授業を入れ替える。自習にする。あるいはそもそも研修がある前提で時間割を組んでおく。
どれを選んでも、誰かに負担が出ます。入れ替えれば他の先生の予定が動きます。自習にすれば、その1時間の授業が失われます。研修のコストは、時間だけではありません。
得たものが現場に戻る保証はありません
そして、ここが問題です。そのコストを払って得たものが、現場に戻る保証がありません。
抽象的な話を聞いて、自分の授業に翻訳して、実際に使ってみる。この工程は、想像以上に負荷が高いものです。忙しい現場では、そこまで手が回りません。
これは、教員の能力の問題ではありません。翻訳する時間が用意されていないという、時間の問題です。研修は与えられても、それを自分の授業に落とし込む時間は与えられません。
それでも出てよかった教員の研修はあります
否定ばかりしていても仕方がないので、よかったものも書きます。実際にありました。
新しいシステムを教われる研修は役に立ちます
まったく新しいシステムやツールを教われるとき、研修は明確に役立ちます。
自分では触ろうと思わなかったもの、名前も知らなかったもの。それを人から教われる機会は貴重です。知らないものは、自分では探せません。
とくに若手のうちは、かなりためになりました。持っている引き出しが少ないので、何を聞いても新しいからです。年次が上がると内容が重なってきますが、それは研修が悪いのではなく、自分の側が変わったからです。
具体的なワークショップは持ち帰れます
もうひとつ、はっきり違うものがあります。抽象的な講義ではなく、具体的なワークショップです。
実際に手を動かす。その場で作ってみる。自分の教科に当てはめてみる。この形式なら、持ち帰れるものが残ります。
そして意外に大きいのが、人脈です。同じ悩みを持つ他校の先生とつながれると、そのあとずっと効いてきます。研修の中身より、そこで会った人のほうが役に立ったということは、実際にあります。
意味を持つ教員の研修は超具体的なものだけです
では、どういう研修なら届くのか。答えははっきりしています。

授業でどう使うかまで落ちていなければ届きません
条件はひとつです。実際に授業でどう使うのか、実際に生徒指導で何と言うのか。そこまで具体的でなければ届きません。
「主体的な学びを実現しましょう」では、何も変わりません。「この単元で、この発問をして、この順番で進めます」まで来て、初めて明日から使えます。
抽象的な話を自分の現場に翻訳する作業は、負荷が高すぎます。忙しい教員に、その工程まで求めるのは無理があります。翻訳した状態で渡すのが、届く研修の条件です。
誰に向けた研修なのかを決めるべきです
もうひとつ加えるなら、対象を絞ることです。
全員に同じものを届けようとするから、誰にも刺さらなくなります。ITが苦手な人向け、と最初から決めてしまえばいいのです。得意な人はその時間を別のことに使えます。
現実には、そこまで細かく設計するのは難しいと思います。だからこそ、自分で学ぶ道を持っておくことが要ります。
教員が自分で学ぶなら何をすべきか
研修を待たずに学ぶなら、何をすればいいのか。フェーズによって答えが変わります。
教材研究がまだの人は参考書を読んでください
まだ授業づくりに手応えがない段階なら、やることは決まっています。参考書を読んで、教材研究をすることです。
外に出るより先に、目の前の授業を良くするほうが効きます。授業に手応えが出ないうちに人脈を作りにいっても、話す中身がありません。
順番があります。まず自分の教科と授業。そこができてから、外に出てください。
授業ができている人は外に出てください
授業が回るようになったら、次の段階です。外にどんどん出ていってください。
人脈を作る。他校の様子を知る。学校以外の仕事のやり方を知る。校内にいるだけでは手に入らないものが、そこにあります。
学校は、外の情報が入りにくい場所です。だからこそ、自分から出ていく人と、出ていかない人で差が開きます。研修が届かないなら、自分で取りに行くしかありません。
まとめ 教員の研修はほとんどいりません
大事なところをまとめます。
教員の研修は、ほとんどいらないと思っています。理由は、研鑽すべきことが人によってまったく違うのに、全員に同じ研修をしているからです。
実際に起きているのは、ITができる人にITの基礎研修、探究に力を入れている人に探究の入門研修という噛み合わなさです。どちらの人にも届いていません。
研修に出ている間は、授業を入れ替えるか、自習にするかになります。コストは時間だけではありません。そして、抽象的な話を自分の授業に翻訳する作業は負荷が高く、忙しい現場では手が回りません。
それでも、出てよかった研修はあります。まったく新しいシステムを教われるとき、具体的なワークショップ、そして人脈が作れたときです。
意味を持つ条件はひとつです。実際に授業でどう使うか、生徒指導で何と言うかまで具体的であること。
そして、待っていても届かないなら自分で学ぶしかありません。授業に手応えが出るまでは教材研究を。出てきたら、外に出てください。
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