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先に、私の労働時間の話をします。
えぐいことになっています。
授業プリントは、1枚作るのに2〜3時間かかっていました。いまは30分です。朝、メールを開いて今日やることを整理していた10〜15分は、まるごと消えました。「あの資料どこいったっけ」の探し物は、ゼロになりました。
保護者面談の希望票を40枚読み取って、割り振って、案内票を1人1枚作るところまで。転記の作業がありません。
これは、私が急に優秀になったからではありません。道具を変えただけです。
そして、ここがこの記事の本題です。世間が何年も「AI、AI」と騒いでいたものと、最近出てきたものは、別の道具です。名前が同じAIなので、ひとくくりにされています。でも、中身は違います。
前者をチャット型、後者をエージェント型と呼びます。
教員の労働時間を減らすのは、エージェント型のほうです。 チャット型では、ほとんど減りません。
この記事では、何がどう違うのかを、惜しみなく書きます。
[図解を入れる][ここに画像]チャット型とエージェント型の違いを左右に並べた比較図。チャット型は「文章が返ってくる→自分でコピペ→自分で体裁を整える」、エージェント型は「ファイルができる→保存される→開かれる」という流れを矢印で示した図
世間が「AI」と呼んでいたのは、チャット型です
まず、多くの先生が触ったことのあるほうから整理します。
チャット型とは、画面に質問を打ち込むと、文章が返ってくるタイプです。ブラウザで開いて、聞いて、答えが表示される。ChatGPTの無料版を触ったことがあるなら、あの画面です。
これは、たしかに賢いです。指導案の骨子も出してくれるし、所見の言い回しも整えてくれます。私も、所見や指導案をこの形で作る方法を書いてきました。あれはあれで、確実に効きます。
ただ、チャット型には、構造的な上限があります。
AIは、文章を返すところで止まります。 そこから先は、全部あなたの仕事です。
違いは1つだけです。「手が動くかどうか」

エージェント型が何かというと、ひとことで言えばこうです。
自分のパソコンの中で、手が動くAIです。
フォルダを見に行く。ファイルを開く。Wordを作る。Excelを作る。指定した場所に保存する。できあがったファイルを開いて見せる。この一連を、AIが自分でやります。
並べると、こうなります。
| チャット型 | エージェント型 | |
|---|---|---|
| 返ってくるもの | 文章 | ファイル |
| 資料の渡し方 | 毎回アップロードする | フォルダを見に行く |
| 過去の仕事 | 覚えていない | 全部参照できる |
| 保存 | 自分でやる | AIがやる |
| 体裁を整える | 自分でやる | 形式を指定すれば、その形で出る |
大事なのは、性能の差ではないということです。頭のよさの話ではありません。手があるかないかの話です。
チャット型で時短にならない理由は、コピペです
なぜ「文章が返ってくるだけ」だと時短にならないのか。ここを具体的に書きます。
チャット型で学級通信を作るとします。流れはこうです。
- 聞く
- 文章が返る
- コピーする
- Wordに貼る
- レイアウトを直す
- 直したいところが出る
- また聞きに行く
- またコピーして貼る
AIが担当しているのは、8つのうち2つだけです。残りの6つは、これまでどおり自分でやっています。だから、時間はそこまで減りません。
しかも、貼るたびに書式が崩れます。あの直しが地味に効いて、結局30分かかる。心当たりのある先生は多いはずです。
エージェント型だと、この流れがこうなります。
- 言う
- Wordができている
以上です。2段組でも、A3横でもA4縦でも、指定すればその形で出てきます。コピペが発生しません。
時短の正体は、AIの賢さではなく、コピペの消滅です。
エージェント型は、去年の自分を使えます
もう1つ、チャット型には難しいことがあります。
エージェント型は、パソコンに置いてあるフォルダを、そのまま参照できます。毎回アップロードする必要がありません。だから、こういう言い方ができます。
生徒部のフォルダにある、昨年度の「体育館の使用許可書」を参照して、今年の使用許可書を作ってください。
去年の自分の仕事が、そのまま今年の下書きになります。
授業プリントでも同じです。先に「私の過去のプリントを読んで、私のスタイル(構成・問いの立て方・レイアウト)を覚えてください」と言っておくと、新しいテーマでも自分の型のプリントが出てきます。誰のものでもない、自分の型のままです。
私のプリントが2〜3時間から30分になったのは、ここが理由です。ゼロから作らせていないからです。
だから、エージェント型を使い始めるときに最初にやることは、過去の仕事をフォルダに入れることです。分掌なら分掌の名前、部活なら部活の名前、教科なら教科ごと。ファイル名が適当でも大丈夫です。蓄積が多いほど、AIは強くなります。
ファイルの整理そのものも任せられます。命名規則がバラバラのまま入れてしまっても、AIに統一案を作らせて、そこから揃えていけます(2026年8月時点)。先に片づけてから入れる必要はありません。
「開発者向けでしょう」と思った方へ
ここまで読んで、こう思った先生がいるはずです。
「エージェント型って、プログラミングができる人の道具でしょう。」
私も最初はそう思っていました。理由もはっきりしています。黒い画面(ターミナル)を触るイメージがあるからです。
触りません。
2026年8月時点では、デスクトップアプリの、普通のチャット画面で使えます。見た目は、みなさんが知っているAIの画面とほとんど同じです。違うのは、返事の代わりにファイルができることだけです。
最初のインストールが1つだけ必要ですが、そこを越えれば、あとは日本語で話しかけるだけです。プログラムは1行も書きません。
いま選ぶなら、この2つです(2026年8月時点)

「エージェント型」を名乗るものは、いくつも出てきています。ただ、教員が学校の仕事に使うなら、いまのところ現実的な選択肢は2つです。
① Claude Code(Claudeのもの)
私が使っているのはこちらです。このブログに書いてきたこと、note に書いたことは、全部これでやっています。日本語の扱いが素直で、WordやExcelの書類を作らせるのが得意です。
② Codex(ChatGPTのもの)
ChatGPTを出している会社のものです。画面も操作も、Claude Codeとよく似ています。やれることも、教員の仕事の範囲ならほぼ同じと考えて構いません。
[図解を入れる][ここに画像]Claude CodeとCodexを左右に並べた図。どちらも「エージェント型」で、上に「まず、すでに課金しているほうから」という結論の帯を置いた図
どちらを選べばいいか。
答えは簡単です。すでに課金しているほうから始めてください。
ChatGPTを契約しているならCodex。Claudeを契約しているならClaude Code。両方に課金する必要はありません。 どちらも月2〜3千円の世界なので、2つ払うのはもったいないです。
どちらも契約していないなら、私はClaude Codeをすすめます。理由は、私が実際に毎日使っていて、つまずく場所を全部知っているからです。それだけです。
⚠️ ひとつだけ、はっきり書いておきます。どちらも、無料の範囲ではこの使い方はできません(2026年8月時点)。有料プランが要ります。逆に言えば、月2〜3千円で、この記事に書いた時短が全部手に入ります。
なお、AIは動きが速いので、名前や画面は変わっている可能性があります。この記事は2026年8月時点のものです。
「まとめ役のAI」も、いらなくなりました
もう1つ、知っておくと得な話をします。
自分専用のAIを作る機能(GPTsやGem)や、資料を読ませて答えさせるツール(NotebookLM)を使っている先生がいると思います。
エージェント型を使うと、あれが要らなくなります。
NotebookLMは、資料をいちいち放り込む必要があり、入れられる数にも上限があります。エージェント型は、パソコンに置いたフォルダを、放り込まずにいつでも見に行けます。常に、手元の全資料がある状態です。
さらに、同じ作業を何度かやったあとに「いままでの作業を、スキル化してください」と言えば、次からは呼び出して材料を渡すだけになります。自分専用のAIを、自分の仕事の形のまま作れるということです。
明日やることは、1つだけです
長く書きましたが、明日やることは1つです。
過去の仕事のファイルを、フォルダにまとめて入れてください。
道具を入れるのはそのあとで構いません。順番が逆だと、エージェント型を入れても参照するものがなく、ただのチャット型と同じ使い方になってしまいます。
エージェント型の強さは、AIの頭ではなく、あなたが積み上げてきた仕事の量から出てきます。
そして、忘れないでほしいことがあります。減った時間は、次の仕事に使わないでください。 時短の目的は、量をこなすことではありません。空いた時間を、そのままプライベートに返すことです。
AIに仕事を渡すとき、3つだけ守ってください
最後に、これは必ず守ってください。エージェント型は手が動くぶん、チャット型より影響が大きいです。
1. 生徒の個人情報を入力しない
名前が要る場面では「Aさん」や出席番号に置き換えます。名簿、所見の素材、面談の希望票。名前が入ったまま渡さないでください。ここは絶対です。
2. 出てきたものは、必ず自分で確認する
所見も、議事録も、保護者向けの文書も、最終的な責任は書いた人にあります。AIの出力をそのまま出さないでください。判断だけは、渡してはいけない仕事です。
3. 勤務先のルールを確認する
AIの利用について、学校や自治体で取り決めがある場合があります。使い始める前に、必ず確認してください。文部科学省のガイドラインとの折り合いも、最終的には勤務先の方針とご自身の判断になります。
まとめ
- 世間が「AI」と呼んでいたのはチャット型。返ってくるのは文章
- 最近出てきたエージェント型は別の道具。返ってくるのはファイル
- 違いは性能ではなく、手が動くかどうか
- チャット型で時短にならない理由は、コピペと体裁直しが残るから
- エージェント型は過去のフォルダを参照できるので、去年の自分が今年の下書きになる
- 黒い画面は触らない。普通のチャット画面で使えます(2026年8月時点)
- 明日やることは、過去の仕事をフォルダに入れること
私の労働時間がえぐいことになったのは、才能ではなく、道具の種類を変えたからです。
同じ「AI」という言葉でひとくくりにして、チャット型だけを触って「思ったより減らないな」と感じている先生に、いちばん読んでほしい記事です。
ここまでの内容を、学校の仕事ぜんぶに広げたものをnoteにまとめました。
実際に私が現場で使っている手順と、そのまま使えるプロンプトが入っています。
エージェント型に、実際に何を渡しているのか