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生命保険に入るとき、多くの人が最初にやることがあります。保険会社の窓口に行くことです。
順番が違います。
先に調べるのは、自分が亡くなったときに、国の制度からいくら入るかです。
そこが分からないまま保険を選ぶと、すでに保障されている分にも、もう一度お金を払うことになります。
私の家でも、妻が入っていた貯蓄型の生命保険を解約しました。 毎月2万〜3万円を払っていた保険です。解約すると決めてから、妻と話し合って納得してもらうまでに、3年かかりました。
この記事では、教員が生命保険をいくらにすればいいかを、順番に沿って書きます。遺族年金の制度そのものは別の記事にまとめたので、ここでは「では、保険はいくらにするか」という判断だけを扱います。
先に結論:順番は3つだけ
最初に答えを書いておきます。
- 遺族年金で、いくら入るかを調べる
- 住宅ローンの団信に入っているかを確認する
- 足りない分だけ、掛け捨ての生命保険で埋める
きれいな流れとは言いませんが、普通に考えるとこうなります。そして、この順番で考えると、多くの教員の生命保険は、月3,000円もかからないはずです。
① 遺族年金で、いくら入るかを調べる
まず、国の制度からいくら入るかです。
教員が亡くなると、家族には遺族年金が入ります。遺族基礎年金と遺族厚生年金の2階建てです。くわしいしくみと計算は、遺族年金はいくら?に書きました。
ここでは、結果だけ書きます。平均標準報酬額35万円・加入期間300月として計算した概算です(令和8年度)。
| 家族の形 | 年額(概算) | 月あたり |
|---|---|---|
| 配偶者+子ども2人 | 約177万円 | 約14.7万円 |
| 配偶者+子ども1人 | 約152万円 | 約12.7万円 |
| 子どものいない配偶者 | 約43万円 | 約3.6万円 |
子どもがいる家庭には、基礎的な生活費くらいは入ります。子どもがいない配偶者には、ほとんど入りません。そして、どちらの場合も大学の費用までは入りません。
自分の場合の正確な額は、共済組合に聞けば教えてもらえます。保険会社の窓口より先に、共済組合に聞いてください。
② 団信に入っていますか
次に確認するのは、住宅ローンです。
住宅ローンを組むとき、多くの場合は団体信用生命保険(団信)に入っています。契約者が亡くなると、ローンの残りが消える保険です。
つまり、団信に入っていれば、残された家族の住む場所の費用は、ほぼ要らなくなります。そうなると、残された家族に必要なのは、食費と、衣服代と、日々の生活費くらいです。
さきほどの遺族年金の額と、この必要額を並べてみてください。足りているなら、生命保険はほとんど要りません。
賃貸に住んでいる人や、団信に入っていない人は、家賃も含めて③に進みます。
③ 足りない分を、掛け捨てで埋める
ここまで来て、はじめて生命保険の出番です。

生命保険って、いくらくらい入っておけば安心ですか?

遺族年金と貯金で足りない分だけです。保険の担当の人の計算に任せず、自分で計算してください。
足りない額の出し方
足りない額は、次の順番で計算します。
- 残された家族が生きていくのに必要な額(住居費・食費・衣服費・日用品。子どもがいるなら最低限の教育費)
- 遺族年金で入る額
- 今ある貯金
- 残された配偶者が稼げる額
「1」から「2・3・4」を引いて、足りない分があれば、それを保険で埋めます。
保険の担当の人やFP(ファイナンシャルプランナー)の計算に任せないでください。 多くの場合、高い保険が必要になるように計算されます。ある程度は、必ず自分で計算します。
配偶者が働いていないなら、「基礎生活費×年数」で考える
配偶者が働いていない家庭は、とくに計算が大事です。
考えるのは、1つだけです。残された人が、基礎的な生活費を月いくら、何年間必要とするか。
たとえば、月の基礎生活費が20万円で、遺族年金が月14.7万円なら、足りないのは月5.3万円です。それが子どもが18歳の年度末まで何年続くかをかければ、保険で用意する額が出ます。
たとえば子どもがいま5歳なら、18歳の年度末までは約13年です。月5.3万円×12か月×13年で、約830万円。これを一度に受け取るのではなく、収入保障保険で「月5.3万円を13年間」受け取る形にすれば、保険料はぐっと安くなります。子どもが大きくなるほど、必要な年数も短くなります。
反対に、配偶者が働いているなら、生命保険が本当に必要になるのは「2人ともいなくなったとき」です。確率としては、かなり低くなります。ただ、ゼロではありません。2人で旅行しているときに事故にあうこともあります。そういうときのために、父と母それぞれに月1,000円くらいの保障があってもいいと思います。
収入保障保険なら、毎月受け取れる
足りない分を埋めるなら、私は収入保障保険をすすめます。亡くなったときに、保険の期間が終わるまで、毎月決まった額が家族に支払われる掛け捨ての保険です。
一度にまとまったお金を受け取るより、毎月受け取るほうが、生活が乱れにくいのがいいところです。人は、使ったことのない大金が一度に入ってくると、使い方を間違えやすいからです。
私がすすめるのは、FWD生命の「FWD収入保障」です。くわしくは公式サイト(FWD収入保障)で確認できます。③で出した足りない額が毎月入るように、保障額を決めてください。
払いすぎの判定ライン
生命保険に月3,000円以上払っていたら、けっこうグレーです。
理由は単純で、掛け捨てなら、若いうちは月2,000円くらいでも、大きな保障がつくからです。
50代・60代なら話は別です。ただしその年代なら、退職金や資産があります。それも計算に入れてください。
貯蓄型は買わない。私の家は3年かけて解約した
はっきり書きます。
生命保険でもあり、貯金や投資にもなっている商品。ああいう、意味の分からない商品は買わないでください。
保険と貯金・投資は、混ぜると両方の性能が落ちます。分けて持つほうが、安く、分かりやすくなります。
妻の貯蓄型の生命保険は、月2万〜3万円だった
我が家にも、貯蓄型の生命保険がありました。妻が入っていたもので、毎月2万〜3万円を払っていました。

貯蓄型なら、お金も貯まるし損しないですよね?

妻の保険を解約したら、戻ってきたのは払った額とほぼ同じでした。何年預けても、ほとんど増えていなかったんです。
私は、解約したほうがいいと考えました。保障の部分は、掛け捨てなら月数千円で足ります。残りは、自分で貯金や投資に回したほうが、中身が分かりやすく、やめたいときにもやめやすいからです。
でも、妻にとっては、長く払ってきた保険です。長く続けてきたものをやめることに抵抗があるのは、自然なことだと思います。
納得してもらうまで、3年かかった
解約すると決めてから、妻に納得してもらうまでに、3年かかりました。
入るのは簡単でも、やめるのには時間がかかります。とくに夫婦の保険は、お金の話であると同時に、気持ちの話でもあるからです。
3年のあいだ、私がしていたことは1つです。投資や保険について自分がきちんと調べていること、そして実際にその通りにやって結果が出ていることを、見せ続けました。 口で「解約したほうがいい」と言うだけでは、人は動きません。この人に任せても大丈夫だ、と思ってもらえるまでに、3年かかったということです。
戻ってきたのは、払った額とほぼ同じ
解約して戻ってきたお金(解約返戻金)は、それまでに払った額と、ほぼ同じでした。
大きく損をしなかったのは、よかったと思います。でも、見方を変えると、何年もお金を預けて、ほとんど増えていなかったということです。同じお金を自分で貯金や投資に回していたら、と考えると、貯蓄型の保険の「貯蓄」がどれくらいのものか、よく分かります。
解約したあとは、遺族年金と貯金で足りると判断した
解約したあと、妻の万一の備えは、遺族年金と貯金で足りると判断しました。新しい保険には入っていません。
これも、①〜③の順番で考えた結果です。国から入る額と、手元の貯金を並べて、足りない分がなければ、保険は要りません。
だからこそ、最初から入らないのがいちばん楽です。これから保険を考える人は、貯蓄型をすすめられても、「いらないです」で大丈夫です。私自身、生命保険の勧誘を受けたら、そう答えます。
子どもへの保険は、年々下げていくもの
見落とされがちですが、大事な考え方です。
子どもが0歳のときにかける保険は、18年分の養育費を用意するものです。でも、その子が5歳になったら、残りは13年分です。必要額は、毎年減っていきます。
だから、同じ保険を18年間かけ続けるのは、払いすぎになります。収入保障保険のように、時間がたつほど受け取る総額が減っていく保険は、この考え方に合っています。
そして、NISAでの積み立ても、そのまま子どもに残せるものになります。保険だけで考える必要はありません。
どこまで残すかの線
ここは、私の考えを書きます。
遊ぶお金まで残してやろうと思うと、それはやりすぎです。
月3,000円や5,000円を上乗せしたい気持ちがあるなら、それは構いません。ただ、お金がたくさんあれば子どもがしっかり生きていける、という話ではありません。
与えられすぎると、お金や豊かな生活は「自分で手に入れるもの」ではなく「与えられるもの」だと思ってしまいます。基礎的な生活費と最低限の教育費だけは確保したうえで、「親がいない」という逆境は、それなりに乗り越えてもらう。 そのほうが大事なのではないかと思っています。
病気のときの備えは、生命保険とは別に考える
生命保険と一緒に、医療保険やがん保険をすすめられることもあります。でも、病気やけがで治療を受けるときのお金は、生命保険とはまったく別の話です。
教員の場合、医療費は、高額療養費と共済の付加給付で、1か月・1つの病院ごとに2万5,000円までに抑えられます(2026年9月時点)。亡くなったときの備えと、病気のときの備えを、1つの保険でまとめて考えない。 それぞれ、国と共済から何が出るかを確かめてから考えます。
職場ですすめられる保険も、同じ順番で考える
学校には、職場を通して入れる団体の保険の案内が来ることがあります。保険料が給料から天引きされるので、払っている感覚が薄くなりがちです。
職場の保険も、民間の保険も、考える順番は同じです。 遺族年金で足りない分があるか。あるなら、いくらか。その答えを持ってから、案内を見てください。「安いから」「みんな入っているから」は、入る理由になりません。
職場ですすめられる保険については、職員室で勧められる保険は、安さで選ばないでくださいに書きました。
親のために入る生命保険は、要らない
これも書いておきます。
自分が亡くなったら親にお金が入る、という入り方があります。私の周りでも、よくある入り方です。
でも、親の人生は、親が生きていくものです。 親には親の人生があって、それは親が自分で決めて、自分のお金でまかなうものです。
「60歳を超えたら子どもが生活を支える」と両方が納得しているなら、それは別です。そうでないなら、親のために入る生命保険は、基本的に要りません。
「生命保険料控除があるから」は、理由にならない
最後に、よくある質問に答えます。

保険料控除があるなら、入っておいたほうが得じゃないですか?

控除で戻るのは、払った額のごく一部です。控除のために保険に入るのは、順番が逆です。
「生命保険料控除が使えるから、入っておいたほうが得なのでは」
なりません。
生命保険料控除は、払った保険料の一部を所得から差し引ける制度です。戻ってくる税金は、払った保険料のごく一部です。感覚としては、10万円払って1万円返ってくるくらいのレベルです。
控除は、必要な保険に入った結果として受けるものです。控除のために保険に入るのは、順番が逆です。
まとめ:順番を守るだけ
教員の生命保険について、まとめます。
- 順番は、①遺族年金 → ②団信 → ③足りない分だけ掛け捨て
- 子どもがいる家庭には、遺族年金で基礎的な生活費くらいは入る。大学費用は入らない
- 配偶者が働いていないなら、「基礎生活費×年数」で足りない額を出す
- 足りない分は、毎月受け取れる収入保障保険で
- 生命保険に月3,000円以上は、けっこうグレー
- 貯蓄型は買わない。やめるのは入るよりずっと大変。解約して戻ったのは、払った額とほぼ同じだった
- 病気のときの備えは、生命保険とは別に考える
- 子どもへの保険は年々下げていくもの。親のための保険は要らない
- 控除のために入るのは、順番が逆
保険会社の窓口に行く前に、まず共済組合に遺族年金の額を聞く。 それだけで、払わなくていい保険料がはっきりします。
医療保険については教員に医療保険はいらないに、保険全体の考え方は教員に不要な保険とは何かにまとめています。