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生命保険に入るとき、多くの人が最初にやることがあります。
保険会社の窓口に行くことです。
順番が違います。先に調べるのは、自分が死んだときに公的にいくら入るかです。 そこが分からないまま保険を選ぶと、すでに保障されている分にもう一度お金を払うことになります。
順番はこの3つだけです。
- 遺族年金で、いくら入るかを調べる
- 住宅ローンの団信に入っているかを確認する
- 足りない分だけ、掛け捨ての生命保険で埋める
きれいな流れとは言いませんが、普通に考えるとこうなります。
※この記事の年金額は2026年8月時点、令和8年4月分からの金額です。

① 遺族年金は、いくら入るのか
まず、公的にいくら入るかです。教員も厚生年金の枠組みなので、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2階建てで考えます。
遺族基礎年金(子どもがいる場合だけ)
令和8年4月分から、年847,300円です(昭和31年4月2日以後生まれの場合)。ここに子どもの数で加算がつきます。
| 子どもの人数 | 加算額(1人あたり・年) |
|---|---|
| 1人目・2人目 | 各243,800円 |
| 3人目以降 | 各81,300円 |
★大事な条件が2つあります。
- 子どもがいないと、遺族基礎年金は出ません
- 子どもとは、18歳になった年度の3月31日までの子です(障害等級1級・2級の場合は20歳未満)
つまり、子どもが高校を出た時点で、この年金は止まります。
遺族厚生年金
こちらは老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
若くして亡くなった場合の救済もあります。加入期間が300月(25年)に満たなくても、300月とみなして計算されます。
実際にいくらになるか(概算)
平均標準報酬額を35万円と仮定した場合の、ざっくりした金額です。
| 状況 | 年額(概算) | 月あたり |
|---|---|---|
| 配偶者+子ども2人 | 約133万円+約43万円=約176万円 | 約14.7万円 |
| 配偶者+子ども1人 | 約109万円+約43万円=約152万円 | 約12.7万円 |
| 子どもがいない配偶者 | 約43万円 | 約3.6万円 |
⚠️ 実際の額は、報酬や加入期間で変わります。 必ずご自身の共済組合で確認してください。共済には独自の上乗せ給付がある場合もあります。
この表から分かること
子どもがいる家庭には、基礎的な生活費くらいは入ります。
そして、子どもがいない配偶者には、ほとんど入りません。 ここが、いちばん見落とされているところです。
さらに、大学の費用までは、まかなえません。 そこは別に考える必要があります。
★もうひとつ、注意があります。「年に176万円入る」と分かったら、それを月に割ってください。 月14.7万円で生活できるのかを見る。まとまった額が入ると錯覚すると、判断を間違えます。
⚠️ 配偶者が受け取れる条件は、夫か妻か、年齢がいくつかで変わる部分があります。ここは制度が細かいので、必ず共済組合の窓口で確認してください。
② 団信に入っていますか
次に確認するのは、住宅ローンです。
住宅ローンを組むとき、多くの場合は団体信用生命保険(団信)に入っています。 これは、契約者が亡くなるとローンの残りが消える保険です。
つまり、団信に入っていれば、住居費が要らなくなります。
そうなると、残された家族に必要なのは何か。
食費と、衣服代くらいです。
さきほどの遺族年金の額と、この必要額を並べてみてください。足りているなら、生命保険は要りません。
団信に入っていないなら、そこも踏まえて③に進みます。
③ 足りない分を、掛け捨てで埋める
ここまで来て、はじめて生命保険の出番です。
そして、掛け捨てです。
払いすぎの判定ラインを書きます
生命保険に月3,000円以上払っていたら、けっこうグレーです。
理由は単純で、月2,000円くらいでも、数千万円の保障がつくからです。
50代・60代なら話は別です。ただしその年代なら、退職金や資産があります。 それも計算に入れてください。
★貯蓄型は買わないでください
はっきり書きます。
生命保険でもあり、投資にもなっている商品。ああいう、意味の分からない商品は買わないでください。
保険と投資は、混ぜると両方の性能が落ちます。 分けて持つほうが、安く、分かりやすくなります。
配偶者が働いているかどうかで、必要額は変わります
もう1つ、判断に入れてほしいものがあります。
配偶者が働いているかどうかです。
働いているなら、生命保険が必要になるのは「2人ともいなくなったとき」です。確率としては、かなり低くなります。
ただ、ゼロではありません。2人で旅行しているときに事故が起きることもあります。 そういうときのために、父と母それぞれに月1,000円くらいの保障があってもいいと思います。
子どもへの保険は、年々下げていくものです
見落とされがちですが、大事な考え方です。
子どもがゼロ歳のときにかける保険は、18年分の養育費を用意するものです。
でも、その子が5歳になったら、残りは13年分です。必要額は毎年減っていきます。
だから、同じ保険を18年間かけ続けるのは、払いすぎになります。
そして、NISAでの積み立ても、そのまま子どもに残せるものになります。保険だけで考える必要はありません。
どこまで残すかの線
★ここは、私の考えを書きます。
遊興費まで与えてやろうと思うと、それはやりすぎです。
月3,000円や5,000円を上乗せしたい気持ちがあるなら、それは構いません。ただ——
お金がめちゃくちゃあれば子どもがしっかり生きていける、という話ではありません。
基礎的な生活費だけは確保しておいたうえで、「親がいない」という逆境は、それなりに乗り越えてもらう。 そのほうが大事なんじゃないかな、と思っています。
親のために入る生命保険は、要りません
これも書いておきます。
自分が死んだら親にお金が入る、という入り方があります。私の周りでも、いちばん多い入り方です。
でも、親の人生は、親が生きていくものです。
親には親の人生があって、それは親が自分で決めて、自分の資金で払うものです。
親のために入る生命保険は、基本的にありません。
「60歳を超えたら子どもが生活を支える」と両方が納得しているなら、それは別です。そうでないなら、親は自分で自分の人生を生きていってください、という話です。
「生命保険料控除があるから」は、理由になりません
最後に、よくある質問に答えます。
生命保険料控除が使えるから、入っておいたほうが得なのでは。
なりません。
生命保険料控除は、払いすぎた分に対する税金の控除です。感覚としては、10万円払って1万円返ってくる、そのレベルです。
1万円払って2,000円返ってくるくらいなら、その1万円を払わないほうが得です。
控除は、必要な保険に入った結果として受けるものです。控除のために保険に入るのは、順番が逆です。
まとめ:順番を守るだけです
- 順番は①遺族年金 → ②団信 → ③掛け捨て
- 遺族基礎年金は年847,300円+子の加算。ただし子どもがいないと出ない
- 遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3。300月未満でも300月で計算される
- 子どもがいる家庭には基礎生活費は入る。大学費用は入らない
- 団信に入っていれば、住居費は消える
- ★生命保険に月3,000円以上は、けっこうグレー
- 貯蓄型は買わない。保険と投資は分ける
- 子どもへの保険は、年々下げていくもの
- 親のために入る保険は、基本的に要らない
- 控除のために入るのは、順番が逆
医療保険については教員に医療保険はいらないに、職員室で勧められる保険については、別の記事に書いています。共済で何が保障されているかは教員の共済組合へ。
参考:遺族基礎年金(日本年金機構)/遺族厚生年金(日本年金機構)