教員の共済のすべて。4つの共済の違いと、使い倒し方

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教員の共済のすべて。4つの共済の違いと、使い倒し方

「教員共済」で調べると、公立学校共済組合、私学共済、教職員共済、全教共済と、似た名前がぞろぞろ出てきます。

正直、最初は私も区別がついていませんでした。知恵袋にも「違いが全く分かりません」という質問が並んでいます。

先に結論を言うと、この4つは2種類に分かれます。給料から強制的に引かれている社会保険としての共済と、自分の意思で入る保険商品としての共済です。

この記事では、まずその整理をしてから、組合員として何を使えば得なのかを最後まで書きます。

私は私立教員で、共済の付加給付で実際にお金が戻ってきた経験があります。制度の数字はすべて公式サイトで確認したものを載せました。

教員の共済は4種類ある。まずこれを整理する

混乱の原因は、「共済」という言葉がまったく違う2つの意味で使われていることです。

図解:教員の「共済」は4種類ある

社会保険としての共済は2つだけ

まず、あなたが選んだわけではないのに、すでに加入しているものが2つあります。

公立学校共済組合は公立学校の教職員が、私学共済は私立学校の教職員が加入します。どちらも法律で「加入する」と決まっていて、掛金は毎月の給料から自動的に引かれています。

会社員でいう健康保険と厚生年金にあたるもの、と考えてください。医療も年金も、ここに入っています。

保険商品としての共済も2つある

一方、教職員共済全教共済は、まったく別のものです。

教職員共済は正式には「教職員共済生活協同組合」といい、生協法にもとづいて厚生労働省の認可を受けた生協です。全教共済は、教職員組合の全国組織が運営する自主共済です。

どちらも任意で入る保険商品を売っています。自動車共済、火災共済、医療共済、年金共済といった具合です。

この2種類を混ぜてはいけません

なぜ区別が大事なのか。同じものを二重に買ってしまうからです。

社会保険としての共済には、あとで説明する強力な医療保障がついています。それを知らないまま、保険商品としての共済で医療保障をもう一枚買うと、掛金が無駄になります。

見分け方は簡単です。給料から自動で引かれているものが社会保険、自分で申し込んで掛金を払っているものが保険商品です。

教員の共済にいくら払っているかは給与明細で分かる

制度の話をする前に、いちばん手っ取り早い確認方法を書いておきます。給与明細を出してください。

控除欄に、共済の掛金が並んでいます。呼び方は勤務先によりますが、医療の分と、年金の分と、福祉事業の分に分かれているはずです。毎月そこから引かれている額が、あなたが共済に払っている保険料です。

しかもこの掛金は、勤務先と半分ずつ出しています。明細に載っている額と同じだけ、学校側も払っています。実際の保障は、引かれている額の倍の掛金で成り立っているということです。

ここを見ないまま、民間の保険をすすめられて入ってしまう人が多いのです。控除欄を見れば、すでに手厚い保険に入っていることが分かります。民間を検討するのは、そのあとで構いません。

教員の共済組合は三本柱でできている

ここからは、社会保険としての共済組合の話です。中身は三本柱になっています。

  • 短期給付——病気・けが・出産・休業のときにお金が出る
  • 長期給付——年金
  • 福祉事業——貯金、貸付、宿泊施設、人間ドックの補助など

多くの先生が知っているのは、せいぜい保険証の部分だけです。でも実際には、掛金の中にこれだけのものが含まれています。

そして、掛金はもう払っています。使わないほうが損なのです。

順番に、何がもらえるのかを見ていきましょう。

教員の共済の医療費は実質月2万5000円まで

三本柱の一本目、短期給付です。ここがいちばん大きい。

高額療養費の上に、共済独自の払い戻しがある

日本には全国民が使える高額療養費制度があり、医療費の自己負担には月ごとの上限があります。

教員の共済には、その上にもう一段の上乗せがあります。付加給付(正式には一部負担金払戻金)と呼ばれるものです。

私学共済の場合、同じ月・同じ病院での自己負担が2万5000円を超えた分は、後から戻ってきます。公立学校共済組合も自己負担限度額は2万5000円です(標準報酬月額53万円以上の方は5万円)。

つまり、どれだけ大きな病気をしても、医療費の自己負担は実質月2万5000円程度で頭打ちになります。

しかも申請は要りません

もうひとつ大事なのは、この払い戻しに申請が要らないことです。

私学共済なら受診から3か月以降、公立なら3〜4か月後に、自動的に振り込まれます。私も実際に、手続きらしい手続きをしないまま、忘れた頃に戻ってきた経験があります。

ここを知っているかどうかで、民間の医療保険に対する見方が変わります。詳しくは教員に医療保険はいらない理由に書きました。

働けなくなっても、傷病手当金があります

入院より怖いのは、長く働けなくなることかもしれません。そこにも給付があります。

傷病手当金は、病気やけがで勤務できない間に支給されるお金です。休みはじめて4日目から、最長1年6か月(結核性の病気は3年)。さらに、その後も6か月分の付加給付が続きます。

金額は公立と私立で違います。公立はおよそ給与の3分の2私学共済は80%です。私学のほうが手厚いというのは、あまり知られていません。

出産でもらえるお金は最大55万円です

出産のときは、出産費として50万円が出ます。これに共済独自の付加金5万円が上乗せされ、合計で最大55万円になります。

さらに、産前産後の休業中には出産手当金が出ます。こちらも公立は3分の2、私学は80%です。

育休中の給付とあわせると、教員の「産む・育てる」まわりの保障は、かなり厚い部類に入ります。

教員が育休でもらえるお金は最初の180日が手厚い

出産に続く話として、育児休業中のお金をもう少し詳しく書きます。ここは私自身、実際に助かった部分です。

180日目までは約3分の2、そのあとは半分になります

育休中の給付は、休み始めてから180日目までが休業前のおよそ67%(3分の2)、181日目からは50%です。原則として、子どもが1歳になるまで受け取れます。

公立は共済組合から「育児休業手当金」として出ます(公立学校共済組合)。私立は共済ではなく、雇用保険から「育児休業給付金」として出ます(厚生労働省)。出どころは違いますが、率の考え方は同じです。

注意したいのは、1年まるごと3分の2ではないことです。181日目から半分に落ちます。ここを勘違いしたまま家計を組むと、後半で足りなくなります。

育休でもらえるお金は180日目までが休業前の約67%、181日目から50%になることを示した図

休んでいる間は掛金も止まります

もうひとつ大きいのが、産前産後休業と育児休業の間は、共済の掛金が免除されることです。免除されても、その期間は保険料を納めたものとして扱われます。つまり将来の年金額は減りません

給付が出て、掛金が止まって、年金も減らない。制度としては、かなり手厚い部類です。私も子どもが生まれたときに、この差は大きいと感じました。

逆に言えば、知らなければ受け取り損ねるものがあるということです。出産と育児にかかる給付は、勤務先の事務室に一度まとめて確認しておく価値があります。

教員の共済の年金は二階建てになっている

三本柱の二本目、長期給付です。

共済年金は、もうありません

まず知っておいてほしいのは、「共済年金」という制度は今はないということです。

2015年10月に被用者年金の一元化があり、共済年金は厚生年金に統合されました。いまの公的年金は、国民年金と厚生年金の2つだけです。

教員も、いまは厚生年金の加入者です。公立教員は第3号厚生年金被保険者、私立教員は第4号厚生年金被保険者という区分になっています。

厚生年金の上に、退職等年金給付が乗ります

ただし、教員には厚生年金の上にもう一階あります。退職等年金給付(年金払い退職給付)です。

毎月の給与に付与率1.50%を掛けた額が積み上がっていき、それが将来、年金として支給されます。半分は生涯もらえる終身の年金、半分は原則20年の有期年金という形です。

一時金で受け取ることもできます。この選択は、退職金やiDeCoの受け取り方と絡んで税金が変わるところなので、50代になったら真剣に計算してください。

老後の設計そのものは教員の老後対策の記事にまとめています。

教員の共済の福祉事業は貯金と貸付と宿泊補助

三本柱の三本目、福祉事業です。ここがいちばん「使い忘れられている」部分です。

積立貯金は、私学にはあって公立にはありません

意外に知られていないのですが、公立学校共済組合には貯金事業がありません福祉事業の一覧を見ると、保健・貸付・宿泊・医療・住宅・調査研究だけです。

「公務員の共済貯金は利率が高い」という話をネットで見かけますが、あれは市役所などの共済組合の話です。公立教員の天引き積立は、多くの場合、都道府県ごとの教職員互助会が担っています。

一方、私学共済には積立貯金があります。ただし利率は年0.40%(令和8年4月から・半年複利)。正直、高いとは言えません。

私がこの積立貯金を使っていない理由は、教員の貯金に共済貯金はいらないに書いたとおりです。

貸付は、借りるなら銀行より先に見る場所です

共済には貸付制度があります。利率は民間より低めです。

公立学校共済組合は、医療・結婚・葬祭などの貸付が年1.32%、災害関係が0.99%、高額医療や出産の貸付は無利息です。私学共済は一般・教育・結婚・住宅などが年2.26%となっています(変動するので、借りる前に必ず最新の数字を確認してください)。

もちろん、借りないで済むならそれが一番です。ただ、どうしても必要になったとき、カードローンに走る前にここを見てください。

人間ドックの補助は、使わないと本当に損です

福祉事業で、いちばん「今すぐ得する」のがこれです。

私学共済では、35歳以上の加入者が人間ドックを受けるとき、費用の半額・上限2万円が補助されます(年度内1回)。公立学校共済組合にも保健事業として人間ドックの補助がありますが、金額や条件は支部ごとに違うので、お勤めの支部のページで確認してください。

宿泊施設の割引もあります。旅行のとき、まず共済のページを見る癖をつけると、地味にお金が浮きます。

教職員共済と全教共済は、共済組合とは別物です

ここで、冒頭の話に戻ります。

根拠になっている法律が、そもそも違います

公立学校共済組合は地方公務員等共済組合法、私学共済は私立学校教職員共済法という法律そのものによって設置されています。法律に「職員は組合員となるものとする」と書いてある、つまり選択の余地がありません。

一方、教職員共済は生協法にもとづく生協で、出資金100円を払って組合員になる形です。全教共済は組合が運営する自主共済です。

同じ「共済」でも、成り立ちがまったく違います。

商品として悪いという話ではありません

誤解のないように書きますが、私は教職員共済や全教共済の商品が悪いと言っているのではありません。自動車共済や火災共済など、内容を比べて納得できるなら選択肢に入ります。

問題は、医療保障の部分です。

社会保険としての共済で、すでに自己負担は月2万5000円まで抑えられています。その上に医療の共済をもう一枚重ねる必要が、どれだけあるでしょうか。

言い切ります。共済組合の付加給付を知ったうえでなお、医療の上乗せを買う理由は、ほとんどの教員にはありません。

判断の順番は保険のしくみと公的保険の記事と同じです。公的保障がいくらあるかを先に計算し、足りない分だけを民間で埋めてください。

教員の共済は公立と私立でどう違うか

ここまでの内容を、公立と私立で並べてみます。この比較表はどこにもないので、保存しておいてください。

図解:共済は公立と私立でどう違うか。違うのは休業補償と積立貯金だけ

医療は同じ、休業補償は私学が手厚い

表のとおり、医療費の自己負担の上限はどちらも月2万5000円で変わりません。

差が出るのは傷病手当金と出産手当金です。公立が給与の3分の2なのに対し、私学は80%。長く休むことになったとき、この差はそれなりに効いてきます。

一方、公立には直営の病院があったり、教職員住宅があったりと、私学にはない福祉事業もあります。単純にどちらが得とは言えません。

辞めるとき・移るときに使える制度もあります

もうひとつ、知っておくと役に立つ制度があります。任意継続です。

退職したあとも、最長2年間、共済に残ることができます。公立は「引き続き1年以上」組合員だった人、私学は「1年と1日以上」加入していた75歳未満の人が対象で、どちらも退職日から20日以内に手続きが必要です。

掛金は全額自己負担になるので、国民健康保険と比べて安いほうを選んでください。私学共済の公式にも「掛金と給付内容を比較して選択してください」と書かれています。

この20日という期限は短いので、辞めることを考えている人は先に頭に入れておいてください。 辞めるかどうかの判断そのものは教員を辞めたいと思ったときに書きました。

まとめ。教員の共済を理解すれば民間保険はほぼ要らない

最後に整理します。

教員の共済は4種類あります。給料から引かれている社会保険としての共済(公立学校共済組合・私学共済)と、任意で入る保険商品としての共済(教職員共済・全教共済)です。

社会保険としての共済は三本柱で、医療費の自己負担は実質月2万5000円まで、働けない間は最長1年6か月の傷病手当金、出産では最大55万円。年金は厚生年金+退職等年金給付の二階建てです。

そして福祉事業には、貸付も宿泊補助も人間ドックの補助もあります。掛金はもう払っているのだから、使わないと損です。

ここまで理解すれば、民間の保険に入っていないことに負い目を感じる必要はなくなります。まず自分がすでに持っている保障を知ること。それが、お金の見直しでいちばん最初にやるべきことです。

なお、保険や資産形成の最終的な判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。制度の数字は変わることがあるので、大きな決断の前には必ず公式サイトで最新の内容を確認していただければと思います。

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