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「教員免許って、どうやって取るんだろう」
調べ始めると、単位の話、実習の話、更新の話が一度に出てきて、結局どこから手をつければいいのかが分からなくなります。
先に結論を書きます。教員免許を取るルートは3つしかありません。そして、そのうちどれを選ぶかは、あなたが「いま大学生か、そうでないか」でほぼ決まります。悩む余地はほとんどありません。
私は国公立大学の教育学部を出て、中学と高校の免許を取りました。この記事では、実際に取った人間として、何単位くらい増えるのか、介護等体験で何をするのか、申請は誰がやるのかまで書きます。制度の数字は文部科学省の資料で確認したものを載せます。
最後に、免許を取ろうか迷っている大学1年生に、私が何と言うかも書きます。そこだけは、あまり親切な答えではありません。

教員免許の取り方は3つのルートに分かれます
順番に見ていきます。
大学の教職課程がいちばん多いルートです
いちばん多いのがこれです。教職課程のある大学に入り、卒業に必要な単位とは別に、免許用の科目を取っていく方法です。
高校生や大学1年生が「教師になりたい」と思ったとき、最初にやることはこれ一択です。教職課程のある大学に行くこと。ここが決まらないと、あとの話は全部始まりません。
教育学部に行くべきか、一般学部で教職課程を取るべきかは、よく聞かれます。私は教育学部でしたが、どちらでもいいというのが正直な答えです。
教育学部は、教職の話が通じる人が周りにいて、附属校との連携もしやすい環境です。一方で一般学部なら、教育学部では学ばないことを学べます。生徒の前に立ったとき、効いてくるのはむしろ後者かもしれません。どちらに行っても、必要な単位は取れます。
通信制大学は社会人が取り直すルートです
働きながら、あるいは一度社会に出てから免許を取りたい人は、通信制大学になります。
現実的に、これ以外の方法はほぼありません。仕事を辞めて大学に入り直す人もいますが、多くの人にとっては選択肢に入らないはずです。
社会人経験を積んでから教員になる人は、実際にいます。私は、そういう人は立派だと思っています。ただし、下でも書きますが、年齢によって順応のしやすさは変わります。
教員資格認定試験は小学校だけの例外ルートです
大学に通わずに免許を取る方法として、教員資格認定試験があります。ただし対象は小学校で、合格率も高くありません。中学・高校を目指す人にとっては、実質的に選択肢になりません。
「大学に行かずに教員になれる裏道」を探している人がたどり着く制度ですが、裏道としては期待しないほうがいいです。
教員免許に必要な単位は59単位です
制度の数字を先に置きます。文部科学省の資料によると、教科及び教職に関する科目の最低修得単位数は次のとおりです。
| 免許状 | 教科 | 教職 | 教科又は教職 | 合計 | |—|—|—|—|—| | 小学校一種 | 8 | 41 | 10 | 59単位 | | 中学校一種 | 20 | 31 | 8 | 59単位 | | 高等学校一種 | 20 | 23 | 16 | 59単位 |
出典は文部科学省の資料です。
数字だけ見ると重そうですが、実感は少し違います。
私が卒業までに取った単位は、一般的な130単位ほどです。そのうち免許のために余分に入れた授業は、12単位くらいでした。教職の科目と、卒業に必要な科目は、かなりの部分が重なるからです。
つまり、教職課程を取ると大学生活が丸ごと潰れる、ということはありません。空きコマが少し埋まる、という程度に考えておけば大きく外しません。
しんどかったものを一つ挙げるなら、その教科独自の、いわゆる厳しい科目です。教職の科目そのものより、専門の科目で苦しみます。
教員免許の介護等体験は小学校と中学校だけです
ここは、多くの人が知らないまま調べています。
介護等体験が必要なのは、小学校と中学校の教諭の普通免許状だけです。文部科学省のページにも、幼稚園・高等学校・特別支援学校の免許状には介護等体験が要らないと明記されています。
日数は7日間。特別支援学校や、老人福祉施設・障害者支援施設などの社会福祉施設で行います。

介護等体験で実際にやることは施設で変わります
私が行ったのは介護施設でした。やったことは、食事の介助、シーツの交換、洗濯です。
ただ、ここは正直に書いておきます。中身は配属先によってまったく違います。実際に命に関わりそうな場面や、重篤な患者さんに触れる人もいれば、最後まで触れない人もいます。
行く前に身構えすぎる必要はありません。ただし、どこに当たっても文句を言わないという前提だけは持っていってください。
教員免許の申請は大学と自分で分担します
免許の申請手続きは、大学がやってくれる分と、自分でやらなければいけない分に分かれます。
全部やってくれると思い込んでいると、卒業間際に慌てます。逆に、全部自分でやると思い込む必要もありません。大学の教務課が出す案内を、その都度読む。これだけで足ります。
ここで手を抜いて免許が下りなかった、という話は聞いたことがありません。普通にやれば普通に取れます。
教員免許は中学と高校の両方を取っておくと採用で効きます
私は中学と高校の両方を取りました。取る意味はありました。
理由は一つで、中高一貫校の採用確率が上がるからです。私立を受けるなら、この差は実際に出ます。
中学だけ、高校だけで出願できる学校もありますが、両方持っているほうが応募できる求人が増えます。免許は、持っている数ではなく「どの範囲まで応募できるか」で効いてきます。
他教科の教員免許を取っても役に立ちません
一方で、「他教科の免許も取っておけ」というアドバイスがあります。これについては、あまり役に立たないというのが私の答えです。
理由は単純です。実際に授業ができるのは1つの免許だからです。二つ目の教科で授業を持つ機会は、そうそう回ってきません。
取るための単位は確実に増えます。増えた分だけ、大学生活の時間は減ります。その時間を、教員とは関係のない経験に使ったほうが、あとで効きます。
教員免許の更新はもう必要ありません
ここは、古い情報が今もたくさん残っている部分です。
教員免許更新制は、2022年7月1日に廃止されました。文部科学省の資料によれば、施行日の時点で有効だった免許状は、休眠状態のものも含めて、手続きなしで有効期限のない免許状になっています。
つまり、免許を持っているけれど教員をしていない人は、何もしなくても免許が生きています。更新講習を受け直す必要はありません。
現場の感想も書いておきます。楽になりました。研修に行かなくてよくなったからです。
更新講習を喜んでいた人は、私の周りにはほとんどいませんでした。唯一、担当が面白い大学の先生だったときだけは喜んでいた記憶があります。それ以外は、時間が消えていくだけの時間でした。
社会人が教員免許を取るなら通信制大学です
社会人から免許を取りたい人に、現実的なルートを一つだけ挙げるなら、通信制大学です。
そのうえで、年齢の話をします。
早い段階で教員に来るなら、社会人経験はプラスに働きます。ただし、35歳、40歳、45歳と上がっていくと、話が変わってきます。学校には学校の文化があり、そこに順応するのに時間がかかるからです。
これは能力の話ではありません。どの職場にもある、単純な適応の問題です。年齢が上がるほど、それまでのやり方が体に入っているので、切り替えに時間がかかります。
なお、教員として働き始めたあとの待遇が気になる人は、教員の年収は割に合うのかに手取りの実額まで書いてあります。免許を取る前に、一度見ておいて損はありません。
教員免許を取るか迷っているなら、取らなくていいです
最後に、大学1年生に向けて書きます。
迷っているなら、取らなくていいと思います。
教職課程はしんどいです。教育実習もしんどいです。迷いながら取る人にとっては、その時間はただの負担にしかなりません。
そのうえで、こうも思います。やることがないなら、取っておいてもいい。空いている時間を教職課程で埋めるくらいなら、悪い選択ではありません。
ただ、もし時間の使い道が他にあるなら、私はそちらを勧めます。理由を書きます。
22歳を過ぎると、いろんな経験ができなくなります。 働き始めたら、教員以外の経験はほとんどできません。そして、教員以外の経験をしてこなかった人は、生徒に対して新しい視野を広げてあげられません。
だから、大学生のうちにやるべきことは、単位を取ることと、遊ぶことと、どんな教師になりたいかを思い描くことと、いろんな経験をすることです。
教員志望の学生がやりがちな無駄な努力を一つ挙げるなら、「教員のためになる勉強」を先回りしてやることです。教科の知識も専門性も、実践のなかで学べます。先に机で埋めておく必要はありません。
免許は、目的が決まってから取っても間に合います。先に埋めるべきなのは、単位ではなく経験のほうです。
まとめ 教員免許の取り方は目的が決まってから選べばいい
- 教員免許のルートは大学の教職課程・通信制大学・教員資格認定試験の3つ
- 必要なのは59単位。ただし卒業単位と重なるので、余分に入れる授業は12単位ほどの実感
- 介護等体験は小学校と中学校だけ。7日間。高校の免許だけなら不要
- 申請は大学がやる分と自分がやる分に分かれる。案内を読めば足りる
- 中学と高校の両方を取ると、中高一貫校の採用で効く
- 他教科の免許は役に立たない。実際に授業ができるのは1つだけ
- 更新制は2022年7月1日に廃止。休眠している免許も、手続きなしで有効期限がなくなっている
- 社会人が取るなら通信制大学。ただし年齢が上がるほど学校文化への順応に時間がかかる
免許を取ること自体は、正しく手順を踏めば普通に取れます。難しいのは、取ったあとに教員を続けるかどうかです。
その話は教員を辞めたいと思ったら、それが辞めるタイミングですに書きました。免許を取る前に読む記事ではないかもしれませんが、いずれ読むことになります。
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