私立教員の採用はコネで決まるのか。採用の流れと受かる人の条件

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私立教員の採用はコネで決まるのか。採用の流れと受かる人の条件

「私立の教員採用は、結局コネでしょう」

そう言われます。私立で教員をしている私の答えを先に書きます。コネで決まる学校は、確かにあります。ただし全部ではありません。コネが効くかどうかには、はっきりした条件があります

その条件を知らないまま「どうせコネだから」と応募をやめてしまうのは、いちばんもったいない負け方です。

この記事では、私立教員の採用試験が実際にどう進むのか、面接で何を聞かれるのか、そして受かる人と落ちる人が何で分かれているのかを書きます。公立の採用試験とは、問われるものが正反対だという話もします。

きれいごとは書きません。私が見てきたままを書きます。

私立教員の採用は筆記と模擬授業と面接で決まります

私立教員の採用試験は、学校ごとに内容が違います。ただ、大きな流れはおおむね共通しています。筆記試験を受け、面接を受け、模擬授業をして、もう一度面接をする。そして内定が出ます。

図解:私立教員の採用試験の流れ。配点がいちばん重いのは模擬授業

私立教員の採用試験は筆記から始まります

まず筆記試験があります。専門教科の内容と、教職教養が問われるのが一般的です。ここは公立の採用試験と大きくは変わりません。

ただし私立の場合、学校ごとに難易度の幅がとても大きいという特徴があります。進学校であれば、その学校の入試問題に近い水準の専門知識を求められることもあります。逆に、筆記をほとんど形式的にしか見ない学校もあります。

つまり、対策の立てようが学校によって変わります。過去に出た形式が公開されていることは少ないので、応募先の募集要項を読み込むことが唯一の確実な準備になります。募集要項に「専門教科」としか書いていなければ、その学校の入試問題を解いてみるのが一番近道です。

私立教員の採用は模擬授業で実力が見られます

私立教員の採用で、いちばん配点が重いと感じるのが模擬授業です。ここで「この人に生徒を任せられるか」が判断されます。

模擬授業では、時間内に授業が成立するかを見られます。板書の量、話す速さ、生徒役への問いかけ方。そのすべてが評価対象です。緊張して早口になり、予定の半分で終わってしまう人がよくいます。

大事なのは、授業の中身より、その授業に目的があるかどうかです。この15分で生徒に何ができるようになってほしいのか。それが伝わる授業は、多少手際が悪くても評価されます。逆に、教科書をなぞるだけの授業は、どれだけ滑らかでも印象に残りません。

模擬授業の組み立て方に不安がある方は、学習指導案の書き方を記入例つきで解説した記事を先に読んでおくと、目的から逆算する型が身につきます。

私立教員の採用ルートは直接応募と私学協会の名簿です

私立教員になる道は、ひとつではありません。学校法人へ直接応募する道と、都道府県の私学協会に登録する道があります。この二本立てを知らずに、求人サイトだけを見ている人がとても多いです。

私立教員の採用は学校への直接応募が基本です

もっとも多いのが、学校法人が出す募集に直接応募する形です。学校のホームページ、求人サイト、大学のキャリアセンターなどに募集が出ます。

この形の利点は、その学校を狙い撃ちできることです。私が私立を選んだ最大の理由も、そこにあります。公立は、受かってからどこに配属されるかが分かりません。私立は、働く学校を先に決めてから応募できます。

学校の雰囲気、生徒の層、通勤時間。それらを納得したうえで入れるのは、想像以上に大きな差になります。配属が運任せにならないという一点だけでも、私立を選ぶ理由になります。

私立教員の採用には私学教員適性検査という道もあります

もうひとつが、都道府県の私学協会が実施する私学教員適性検査です。年に一度実施され、専門教科と教職教養が問われます。

この検査を受けると、受検者名簿に登録されます。その名簿が私立学校の校長宛に配られ、学校側から個別に試験の案内が来ることがあります。自分から応募しなくても、学校側から声がかかる可能性があるのがこの制度の特徴です。

ただし注意点があります。この適性検査を実施していない地域も少なくありません。実施の有無も、名簿の使われ方も地域差があります。お住まいの都道府県の私学協会のページで、実施状況を必ず確認してください。

私立教員の採用がコネで決まるのは募集人数が少ない学校です

ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。「私立はコネ」という話は、正しくもあり、間違ってもいます。分かれ目は、募集人数と応募者数の関係です。

図解:コネが効く学校、効かない学校。私立かどうかではなく、その学校の募集次第

私立教員の採用でコネが効く条件ははっきりしています

コネがものを言うのは、募集人数が少なく、そこに応募が集中する学校です。人気のある私立に、一般公募で何十人、何百人と応募が集まる。その中から一人を選ぶ。そういう状況では、内部で顔が知られている人が圧倒的に有利になります。

逆に、募集人数がある程度たくさんある学校では、コネはほとんど関係ありません。単純に、人が足りていないからです。学校規模が大きいほど、コネではない採用枠も広くなります。

つまり「私立はコネ」という一言は雑すぎます。あなたが受けようとしている学校が、どちらのタイプなのか。見るべきはそこだけです。募集人数が一人だけの人気校と、複数教科で複数名を募集している学校とでは、まったく別の戦いになります。

教員が足りていないという前提を知っておいてください

コネの話をする前に、押さえておきたい事実があります。教員は全国的に足りていません

文部科学省の令和7年度「教師不足」に関する実態調査では、公立学校で3,827人の教師不足が報告されています。小学校1,699人、中学校1,031人、高等学校508人、特別支援学校589人という内訳です。令和3年度の調査では2,065人でしたから、4年で約2倍に増えたことになります。

これは公立の数字であり、私立の需給をそのまま示すものではありません。ただ、教員という職業全体で人手が足りていないという流れは共通しています。買い手市場ではないという前提は、応募する側が持っておいていい情報です。

私立教員の採用で受かる人は実績か学歴か内部評価を持っています

私立教員の採用で受かる人と落ちる人の違いは、外から入るのか、内から上がるのかで変わります。外部から入る人と、内部から正規になる人とでは、見られているものが完全に別です。

外部から私立教員の採用を受けるなら実績か学歴が要ります

外から応募する場合、決め手になるのは分かりやすい強みです。部活動や進学指導での実績が突出しているか、学歴が際立っているか。このどちらかを持っている人が通ります。

冷たく聞こえるかもしれませんが、理由は単純です。学校側はあなたを知りません。短い選考の中で判断するには、外から見て分かる材料に頼るしかない。だから分かりやすい実績が効きます。

ここで言う実績とは、全国大会に導いたというような派手なものだけではありません。担当した分野で数字を動かした経験があれば、それは実績です。検定の合格者を増やした、志望者の少なかった講座に人を集めた。そういう話でかまいません。大事なのは、自分の関与で何が変わったかを言葉にできることです。

内部から私立教員の採用に進む人は必要とされる人材だと示せています

内部から正規採用になる場合、判断材料はまったく違います。その学校の中で、必要とされる人材だといかに示せているか。これに尽きます。

私自身は、講師から始まって順当に正規になりました。特別な流れはありません。目の前の仕事をして、必要だと思ってもらえた。それだけです。

内部評価は、面接の30分では作れません。日々の積み重ねでしか作れないものです。だからこそ内部にいる人は強いのです。この構造を理解しておくと、次の話がまっすぐつながります。

私立教員の採用面接では経営に関する質問が出ます

ここは、公立しか知らない人がいちばん驚くところだと思います。私立教員の採用面接では、授業や生徒指導だけでなく、学校経営に関する質問が出ます

私立教員の採用面接で聞かれるのは進学実績と生徒数です

私が実際に聞かれたのは、どうやって進学実績を上げるのかという質問でした。教育論ではありません。実績をどう動かすつもりかを問われました。

さらに踏み込んで、どうすれば生徒数を増やせるのかという質問もありました。保護者を、学校を支える立場としてどう捉えているか。そういう観点の話も出ました。

面食らう人もいると思います。ただ、これは私立の構造を考えれば当然の質問です。生徒が集まらなければ、学校は続きません。教員は授業をする人であると同時に、その学校を存続させる一員でもある。私立の採用面接は、その前提で行われます。

私立教員の採用面接では入学後の経営関与は限定的だと知っておいてください

面接でこれだけ経営の話をされると、入ってからも経営に振り回されるのではないかと不安になります。ここは正直にお伝えします。現場で経営を感じる場面は、ほとんどありません

日々やることは、授業と生徒対応です。経営会議に呼ばれることもなければ、数字を追いかけさせられることもない。普通に授業をしていれば成り立ちます。

ただし例外はあります。広報部や入試対応の分掌に入れば、当然そこには関わります。学校説明会、パンフレット、塾回り。そうした仕事は私立特有です。校務分掌によって、見える景色が変わると思っておいてください。

公立と私立の教員採用は問われることが正反対です

公立と私立、両方の採用試験を見てきて、はっきり感じている違いがあります。公立は問題を起こさないかを見て、私立はどれだけ貢献できるかを見る。方向が正反対です。

図解:公立と私立、採用で見られる点。公立は減点を避け、私立は加点を取りに行く

公立の教員採用では問題を起こさないかが問われます

公立の採用試験で繰り返し問われるのは、リスクをどう避けるかという観点です。

たとえば、生成AIと生徒の関わりで問題を起こさないためにどうするか。生徒と連絡先を交換すべきかどうか。そうした場面を想定した質問が並びます。

これは公立という組織の性質から来ています。公教育は、全員に等しく提供されるものです。だからこそ事故が起きないこと、公平が保たれることが最優先になる。採用の段階でそこを確認するのは、理にかなっています。

私立の教員採用ではどれだけ貢献できるかが問われます

一方で私立が見ているのは、あなたがこの学校に何をもたらすかです。

進学実績、生徒募集、部活動、特色ある教育。学校が掲げているものに対して、あなたがどう働けるのか。そこが問われます。減点を避ける発想ではなく、加点を取りに行く発想が求められます。

だから、対策の方向も変わります。公立向けに「無難で正しい答え」を練習してきた人が、私立の面接でうまくいかないことがあります。同じ準備では通用しません。応募先がどちらなのかで、話す内容を切り替えてください。

私立教員の採用に近づく一番の方法は講師で内部に入ることです

ここまでの話を踏まえると、道はひとつに絞られます。もし私立を狙う人に、たった一つだけアドバイスするとしたら、これを言います。

私立教員の採用は内部に入ってしまえば近づきます

講師でも何でもいいので、その学校の内部に入ることです。そうすると、受かりやすくなります。

理由は、さきほどの構造の裏返しです。外部からの応募では、分かりやすい実績や学歴でしか判断されません。しかし内部にいれば、日々の仕事そのものが選考材料になります。授業の様子も、同僚との働き方も、全部見られています。

一年かけて信頼を積む。それは面接の30分では絶対にできないことです。遠回りに見えて、実はこれが最短距離です。非常勤でも常勤講師でも、まず中に入る。そこから正規を狙うのが、私立でいちばん確実な道になります。

私立教員の採用を狙うなら横のつながりを作ってください

もうひとつ、効くものがあります。教員同士の横のつながりです。

教員が足りていない学校は、公募を出す前に「誰かいい人いない?」と身近な人に聞きます。そこで名前が挙がる人になっておく。研究会、研修、地域の教科部会。そういう場で顔と実力を知られていると、声がかかることがあります。

ただし正直に書きます。声がかかるのは、いい先生に限られます。つながりを作るだけでは足りません。実力があることを前提にして、そのうえで知られている状態を作る。順番はそこを間違えないでください。

私立教員の求人はどこで探すのが正解か

探し方で悩む必要はありません。特別な裏ルートはないというのが結論です。やることは決まっています。

私立教員の求人は検索と求人サイトで見つかります

まず「私立 採用」で検索してください。それだけで、全国の私立学校の採用窓口や、私学教員向けの求人サービスが出てきます。ここが入口です。

大手の求人サイトに私立学校の募集が出ていることもあります。教員専門ではないサイトでも、学校法人の求人として掲載されている場合があるので、確認する価値はあります。

そのうえで、行きたい学校が決まっているなら、その学校のホームページを直接見に行ってください。募集要項は学校のサイトにしか出ていないこともあります。求人サイトを待つより、志望校を決めて定期的に見るほうが早いです。

私立教員の求人は私学協会の登録も併用してください

先ほど触れた私学教員適性検査への登録も、あわせて使ってください。自分から動く道と、声がかかる道の両方を開けておくという考え方です。

実施の有無や名簿の運用は都道府県で違うため、まずはお住まいの地域の私学協会のページを確認するところから始めてください。

私立教員として働く前に知っておきたい待遇と人間関係

採用の話だけして終わるのは不誠実なので、入ったあとの話も書きます。いいことも、しんどいことも両方あります

私立教員の待遇は学校によって大きく変わります

給与についてよく聞かれるので、実感を書きます。私が働いている私立は、公立より高いです。ただしこれは学校によります。

私立の特徴として、若いうちは公立との差がそれほど大きくない一方、年齢を重ねてからも伸び続けるところがあります。ボーナスが手厚い学校も多いです。

ただし、いい面だけではありません。私立には、給与の未払いが起きうるという弱点があります。安定性という一点では、公立に軍配が上がります。学校法人の経営状況は、応募前に確認しておいて損はありません。教員の給与全体の話は、教員の年収は割に合うのかを検証した記事にまとめています。

私立教員は異動がない分だけ人間関係が固定されます

私立で働いてよかったことを挙げるなら、自由度が利くこと、予算があること、そして働く場所を自分で選べることです。この三つは大きいです。

しんどいことも書きます。私自身は、しんどい思いをしたことがあまりありません。ただ、あえて挙げるなら異動がないことです。

公立なら、合わない人がいても数年で誰かが動きます。私立にはそれがありません。成果を出していないのに大きな顔をしている人が、ずっと居続ける。この状況からは逃げられません。

では、どうするか。私の答えは単純です。回避する能力を高めることです。仕事で必要な場面以外では関わらない。協力しないと進まない場面でも、自分の負担が増えないなら自分でやってしまう。距離の取り方は職員室の人間関係を三段階で改善する立ち回り方で詳しく書いています。

まとめ 私立教員の採用はコネもあるが道は複数あります

私立教員の採用について、大事なところをまとめます。

コネで決まる学校は確かにあります。ただしそれは、募集人数が少なく、応募が集中する学校の話です。募集人数がある程度ある学校では、コネはほとんど関係ありません。「私立はコネだから」と全部を諦めるのは、判断が雑すぎます。

選考は、筆記、面接、模擬授業、面接という流れで進みます。配点がいちばん重いのは模擬授業です。目的のある授業ができるかを見られます。

面接では、進学実績や生徒募集といった経営の質問が出ます。公立が「問題を起こさないか」を見るのに対し、私立は「どれだけ貢献できるか」を見ます。準備の方向を切り替えてください

そして、いちばん確実な道はこれです。講師でもいいので、その学校の内部に入ること。日々の仕事が選考材料になる状態を作るのが、最短距離になります。

私立は、働く学校を自分で選べます。予算があり、自由度もあります。その代わり、合わない人がいても異動という逃げ道はありません。それを分かったうえで選べば、私立はとてもいい選択だと思っています。

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