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「教員の年収」で検索すると、平均値の表がずらりと並びます。でも、あなたが知りたいのは平均ではないはずです。自分の給料は妥当なのか。この仕事は割に合っているのか。その答え合わせがしたいのではないでしょうか。実は、上位の記事を全部読んでも答えは出ません。統計の引用ばかりで、実際の手取りを書いた教員本人の記事が見当たらないからです。私は私立教員です。この記事では、私の手取りとボーナスを幅で公開したうえで、「割に合うのか」に現場から答えを出します。初年度に160日連勤をした人間の答えです。机上の統計より、あなたの明細に近い話ができるはずです。
教員の平均年収は約670万円
結論から言うと、教員の平均年収はおおむね670万円前後です。ただ、この数字を眺めても分かることは多くありません。前提として、最低限の統計だけ確認しておきましょう。
公立教員の平均給与は月42万〜44万円
総務省の「地方公務員給与実態調査」(令和7年)によると、公立の小・中学校教育職の平均給与月額は約42万4000円です。高等学校教育職は約44万3000円でした。平均年齢は41〜44歳なので、「40代でこのくらい」という数字になります。ここに期末・勤勉手当、いわゆるボーナスが年4.6か月分ほど乗ります。単純に計算すると、年収はおおむね670万円前後です。これは公式に発表された「平均年収」ではなく、月額からの試算である点はお断りしておきます。それでも、世間の「教員は薄給」という印象よりは高いと感じたのではないでしょうか。なお、この数字はすべて額面です。手取りはここから2割前後引かれると考えてください。
私立教員の平均年収は約666万円
私立はどうか。厚生労働省の職業情報サイトjobtagによると、高等学校教員の平均年収は666.1万円です(令和7年賃金構造基本統計調査に基づく数字)。この統計は公務員を含まないため、ほぼ私立教員の水準とみてよいでしょう。つまり平均だけ見れば、公立と私立はほぼ同水準です。ただし私立は学校法人によって差が大きく、平均の周りに広い幅があります。私の体感でも、同じ私立でも学校によって給与水準はまったく違います。募集要項の初任給だけでなく、賞与の月数や昇給の実績まで見ないと、実際の水準は分かりません。平均値は「私立だから高い・安い」という思い込みを外すための参考程度に使ってください。
教員の平均年収を見ても答え合わせにはならない
ここまで統計を並べておいて言うのもなんですが、平均値はあなたの答え合わせには使えません。平均年収670万円は40代の数字です。20代のあなたの明細と比べて「自分は安い」と落ち込むのは、比べる相手を間違えています。逆に50代の先生が見れば「そんなに低くない」となるでしょう。年齢も地域も雇用形態も混ざった平均は、誰の現実でもない数字です。だから検索上位の統計記事を何本読んでも、モヤモヤが晴れないわけです。必要なのは、年齢と立場がはっきりした実物の数字です。次の章では、統計ではなく私の明細の話をします。
私立教員の年収を公開する。30歳で手取り月30万円
ここからは私の実際の数字です。勤務先が特定されないように幅で書きますが、すべて給与明細を見ながら書いています。
初任は講師で年収400万円弱だった
私のスタートは、私立学校の講師でした。年収はおよそ400万円弱です。初めて明細を見たとき、正直「新卒としては多いな」と思いました。世間では「教員の初任給は安い」とよく言われます。しかし講師という立場でこの水準なら、新卒の給与としては決して低くありません。国税庁の統計でも20代前半の平均年収は300万円に届かない水準ですから、むしろ上位です。「教員は最初から薄給」という常識は、少なくとも私のスタートには当てはまりませんでした。もちろん学校や自治体で差はあります。ただ「教員=安い」と最初から諦める必要はない、というのが実感です。
30歳の手取りは月30万円。ボーナスは100万〜150万円
30歳になった現在、手取りは月30万円前後です。ボーナスは手取りで年100万〜150万円ほど。年収に直すと、500万〜700万円の幅に収まります。幅を持たせているのは、金額をそのまま書くと勤務先の給与規程から学校が特定されかねないためです。ご容赦ください。それでも「30歳・私立教員でこの水準」という座標は示せたはずです。同世代の平均年収が400万円台半ばであることを考えると、悪くない数字だと思っています。ぜひ、ご自身の明細と並べて眺めてみてください。平均との比較より、よほど正確な答え合わせになります。
教員の手当は住居手当くらいしかない
「教員は手当が手厚い」と言われます。私の明細を見る限り、これは幻想です。載っているのは住居手当くらいで、あとは目立つものがありません。部活動の手当は、引率などで出る日と出ない日があります。拘束時間で割れば、時給換算でアルバイトを下回る水準です。休日を丸ごと使って数千円なら、手厚いとは言えないでしょう。世間が想像する「公務員的な手当の山」は、少なくとも私の明細には存在しません。ただし、毎月の手当が薄い代わりに、教員には制度としての厚みがあります。これは次の章で説明します。手当の額面だけ見て損得を判断すると、教員の待遇は読み違えます。
教員の給料以外で大きいのは育休と医療の制度
教員の待遇で本当に大きいのは、毎月の手当ではなく育休と医療の制度です。結論を先に言うと、この「守りの厚さ」は民間と比べてもかなりのものです。私は子どもが生まれたとき、それを実感しました。
育休は1年取れて、給付は手取りの7割近くから始まる
私は子どもが生まれたとき、この制度の大きさを痛感しました。教員は原則として子が1歳になるまで育休を取れます(保育所に入れないなどの事情があれば延長も可能です)。その間の給付は、休業開始から180日までは給与の67%、その後は50%です。さらに2025年4月からは、両親がともに一定期間の育休を取るなどの条件を満たすと、最初の28日間は給付率が80%まで上がる仕組みが加わりました。給付金は非課税で社会保険料も免除されるため、手取りベースでは休業前とほぼ同水準になる期間もあります。「教員は手当が薄い」と書いた直後ですが、ここは素直に手厚いと言えます。
医療費の自己負担は実質月2万5000円まで
もうひとつ大きいのが医療です。教員が加入する共済には「付加給付」という上乗せがあります。高額療養費制度で自己負担が抑えられたうえで、さらに共済が払い戻しをしてくれる仕組みです。私学共済の場合、同じ月・同じ病院の自己負担が2万5000円を超えた分は、申請不要で自動的に戻ってきます。公立学校共済組合にもほぼ同水準の制度があります。つまり、どれだけ大きな病気をしても医療費の自己負担は実質月2万5000円程度で頭打ちになるのです。この事実を知ると、民間の医療保険に毎月数千円払う意味を考え直したくなるはずです。公的保険の手厚さは保険のしくみと公的保険の基本で詳しく書いています。
教員の残業代が出ない給特法はやばい法律なのか
「教員は残業代が出ない。給特法はやばい法律だ」。よく聞く話ですし、私も初めて知ったときは同じ感想でした。ただ、現場からの結論は少し違います。順に説明します。
教職調整額は今年から5%になり、2031年に10%まで上がる
給特法は、公立教員に残業代を支払わない代わりに「教職調整額」を月給に上乗せする法律です。長らく4%でしたが、2025年の法改正で引き上げが決まり、2026年1月から5%になりました。今後は毎年1%ずつ上がり、2031年1月に10%へ到達します。1972年の制定以来、初めての引き上げです。検索上位の記事の多くはまだ「4%」のまま止まっているので、ここは最新の数字で覚えておいてください。なお給特法は公立だけの制度で、私立教員の私には適用されません。私立は労働基準法の世界で、残業代の扱いは各学校の規程によります。制度の外から見ても、月360時間働く人に4%は見合わない。それが正直な感想でした。
その残業は、誰に命令されたものですか
ただし、私の持論はここからです。残業とは本来、管理職に命じられて発生するものです。振り返ってみてください。あなたが校長から明確に命令された仕事は、成績をつけることと点数をつけることくらいではないでしょうか。20時からの会議も、18時半からの打ち合わせも、命令ではないことがほとんどです。私は命令されていない時間外の会議には、基本的に出ません。採点のやり方も、教材研究の深さも、誰にも命じられていません。「やった方がいい」を全部拾うから残業になるのです。給特法を憎む前に、その残業が誰の命令だったかを一度数えてみてください。削れる仕事の見分け方は教員の仕事から不要なものを考えた記事にまとめています。
160日連勤の教員の給料を時給換算したら917円だった
偉そうに書きましたが、私も最初から定時で帰れていたわけではありません。初年度は160日連勤しました。その頃の給料を時給に直すと、衝撃的な数字が出ます。
月360時間労働で、時給は約917円
当時の私は、朝9時から夜9時まで学校にいました。1日12時間、休みなしの30日で、月360時間労働です。年収400万円弱を月額に直すと約33万円。360時間で割ると、時給は約917円になります。現在の最低賃金は全国平均で1121円ですから、最低賃金を下回る計算です。一般的な正社員の月の労働時間は170時間程度なので、倍以上働いて、コンビニのアルバイトより安い時給だったことになります。「教員の給料は高いか安いか」という問いは、額面だけでは答えられません。分母の労働時間しだいで、同じ給料が高くも安くもなる。これが時給換算から見える教員の年収の正体です。
それでも、あの160日連勤は無駄ではなかった
こう書くと「やはり教員は地獄だ」となりそうですが、私の総括は違います。あの1年で、どこに力を入れれば成果が出るのかを体で覚えました。だから今は、成果を出しながら定時に帰れています。あの時間は、今の働き方の授業料だったと思っています。ただし、勘違いしてほしくないことがあります。稼働時間と報酬を交換し続ける働き方は、条件の悪いアルバイトと同じです。大事なのは、時間ではなく成果で信頼を積み、職場での評価と定時退勤を両立させること。そのための考え方は成果を出して残業を減らす方法に書きました。時給917円の生活は、抜け出せます。
教員の給料は安定しているのか
「教員は安定していていいね」と言われたことがあるはずです。結論、これは本当です。年収の絶対額より、この安定こそが教員の給料の本体だと私は思っています。
教員の給料は確実に安定している
教員の給料は、景気や業績でほとんど上下しません。ボーナスも毎年きちんと出ます。民間のように「今年は賞与ゼロ」という事態は、まず起きません。昇給も緩やかですが着実に続きます。私の職場の50代の先輩方を見ていると、月50万〜80万円はもらっている感覚です。若いうちの伸びは地味でも、長く続ければ確実に積み上がる給与カーブだと言えます。「安定しているだけで大して上がらない」と嘆く声もありますが、下がらないことの価値は、不景気になった瞬間に分かります。少なくとも収入の見通しが立つという一点で、教員の給料は強い部類です。
民間と比べても教員の給料は悪くない
民間に行った友人と年収の話をすると、たしかに上には上がいます。伸びる業界の同世代と比べれば、教員は負けます。一方で、労働時間に上限のある業界、たとえば飲食のような現場仕事と比べると、収入のブレと天井の低さで教員の方が分があります。要するに教員の給料は、上位には届かないが下位にも落ちない位置です。この比較を突き詰めると「では転職したら年収はどうなるのか」という話になります。転職した場合の年収や不安への答えは教員からの転職の不安と回答で扱っているので、気になる方はそちらをどうぞ。
結論。教員の年収は割に合っている
結論です。教員の年収は割に合っています。ただし無条件ではありません。働き方の選び方しだいで、割に合う仕事にも合わない仕事にもなります。
「やった方がいい仕事」を全部やれば割に合わない
教員の仕事には「やらなければならない」より「やった方がいい」が圧倒的に多い。通信も掲示物も、行事の凝った演出も、突き詰めればやった方がいい仕事です。これを全部拾えば、時給917円の世界に逆戻りします。全部やれば、確実に割に合いません。断言できます。私がそうだったからです。まず、命令された仕事と自分で選んだ仕事を分けること。そのうえで、自分で選ぶ仕事は成果につながるものに絞ること。この仕分けができるかどうかが、教員の年収の損得を分ける分岐点です。
労働量は定時の中で自分で決められる
見方を変えれば、教員は珍しい仕事です。命令された仕事さえ果たせば、残りの労働量を自分で決められます。授業研究にどこまで踏み込むかも、部活にどこまで付き合うかも、最終的には自分の裁量です。世の中には、裁量なく長時間労働を強いられ、収入も不安定な仕事がいくらでもあります。それを考えれば、自分で労働量を決められて年収500万〜700万円という条件は、割に合う側だと言わざるを得ません。給料が安いのではなく、時間の売り方を間違えている人が多いだけ。これがこの記事の答えです。
教員の報酬はお金だけではない
もうひとつ付け加えます。教員の報酬には、給与明細に載らないものがあります。学校という信頼される場所で働き、子どもたちと毎日話せることです。少子高齢化が進むこの国で、子どもに囲まれて働ける職業はもう多くありません。子どもは大人ほど頑固ではなく、こちらの働きかけで本当に変わります。その手応えは、正直、お金に換算できません。年収の損得を計算した最後に、この報酬を足し忘れないでください。私が160日連勤を経てもこの仕事を選び続けている理由は、ここにあります。
給料が上がらない教員がやるべきお金の対策
年収がすぐに倍になる仕事ではない以上、やるべきことは収入側ではなく支出と資産の側にあります。方針はシンプルです。適度に節約し、適度に投資し、余裕が出たら副業を考える。この順番です。
節約と投資が先。副業は30歳手前からでいい
まずやるべきは、固定費の見直しと積立投資です。保険と通信費を整えるだけで、月1万円は浮きます。浮いた分を積立投資に回せば、給料が上がらなくても資産は増えていきます。副業はその後でいい。私立教員は就業規則しだいで道がありますが、公立の先生は地方公務員法第38条で営利目的の副業が制限されており、許可のない安易な副業は懲戒の対象になり得ます。焦って手を出す必要はありません。まずは家計の把握からです。私はマネーフォワードMEでの家計の自動管理から始めました。口座とカードをつなぐだけで、お金の流れが見えるようになります。
勉強する時間がない先生こそ、このブログを使ってほしい
正直なところ、日々の授業と校務をこなしながら、保険や投資を一から勉強する時間はないと思います。私もその忙しさの中にいたので、よく分かります。だからこのブログでは、教員の制度を前提にした結論だけを書くようにしています。共済の付加給付があるから保険はこう考える。給料が安定しているから投資はこう組む。一般向けのマネー情報を教員向けに翻訳するのが、このサイトの役割です。なお、投資や保険に関する最終判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。この記事が、その判断の土台になれば十分です。
まとめ。教員の年収は割に合うのかの答え
教員の平均年収は約670万円。私の実額は、30歳で手取り月30万円、ボーナス100万〜150万円、年収500万〜700万円の幅です。手当は薄いが、育休と医療の制度は厚い。給特法の調整額は5%に上がり、これから10%まで伸びる。160日連勤の時給は917円だったが、労働量を自分で決めれば話は変わる。結論、教員の年収は「やった方がいい仕事」を仕分けできる人にとって、割に合います。統計の平均値に振り回されず、自分の明細と働き方で答え合わせをしてください。
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