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インデックス投資を始めようとして、多くの先生が最初に迷うのがここです。オルカンにするか、S&P500にするか。
調べれば調べるほど、どちらにもいい意見があります。そして、どちらにするか決められないまま、何か月もたってしまう。
私の答えは決まっています。迷ったら、オルカンにしておけばいい。
正直に言うと、どちらを選んでも大きな差はありません。でも、「どっちでもいい」と言うと、かえって迷ってしまいます。だから私は、聞かれたらいつも「オルカン」と答えています。この記事では、その理由を書きます。
オルカンとは
オルカンは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託の呼び名です。三菱UFJアセットマネジメントが運用しています。
一言でいえば、世界中の株を少しずつ集めた「パック」です。これ1本を買えば、アメリカ、日本、ヨーロッパ、新興国まで、世界中の会社に少しずつ投資したことになります。
世界全体の株価の動きに合わせて動く
オルカンは、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」という指数に合わせて動くように作られています。日本を含む先進国と新興国の株を、会社の大きさに応じてまとめた指数です。
世界全体の株価が上がれば上がり、下がれば下がる。それだけの仕組みです。どの会社を買うかを誰かが選んでいるわけではないので、手数料も安く抑えられています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
| 合わせて動く指数 | MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
| 手数料(信託報酬) | 年率0.05775%(税込)以内 |
| 集まっているお金(純資産総額) | 約13.9兆円 |
出典:三菱UFJアセットマネジメント「月次レポート」(2026年8月31日現在)
手数料の0.05775%というのは、100万円を1年間預けて、かかるのが約580円ということです。世界中の株を持つ手間を考えれば、ほとんどタダのような金額です。
オルカンの中身は、6割以上がアメリカ
「全世界」と聞くと、世界中の国に均等に投資しているように思えます。でも、実際の中身はこうなっています。
| 国・地域 | 割合 |
|---|---|
| アメリカ | 62.8% |
| 日本 | 5.0% |
| 台湾 | 3.2% |
| イギリス | 3.1% |
| カナダ | 3.0% |
| 韓国 | 2.4% |
| フランス | 2.0% |
| スイス | 2.0% |
| ドイツ | 1.9% |
| オーストラリア | 1.4% |
出典:三菱UFJアセットマネジメント「月次レポート」(2026年8月31日現在)。組み入れ上位10か国・地域。
全体の6割以上が、アメリカの株です。世界の株の中で、アメリカの会社がそれだけ大きな割合を占めているからです。

「全世界」なのに、アメリカばかりなんですか?

はい、6割以上がアメリカです。世界の株の中で、アメリカの会社が大きいからです。
S&P500と迷ったら、オルカンにしておけばいい
S&P500は、アメリカの代表的な大きな会社500社をまとめた指数です。オルカンと並んで、インデックス投資でよく選ばれます。
では、どちらを選ぶか。私がオルカンを勧める理由は3つあります。
理由1:成績は、あまり変わらない
まず知っておいてほしいのは、オルカンとS&P500の成績は、それほど変わらないということです。
同じ三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と比べてみます。
| 期間 | オルカン | S&P500 |
|---|---|---|
| 過去1年 | 33.1% | 30.4% |
| 過去3年 | 92.0% | 93.1% |
出典:三菱UFJアセットマネジメント「月次レポート」(2026年8月31日現在、分配金再投資)。過去の実績であり、将来を約束するものではありません。
過去1年ではオルカンが上、過去3年ではS&P500がわずかに上。どちらが勝つかは、時期によって入れ替わります。そして差は、大きくありません。

アメリカだけのほうが増えるって聞きますが…

どちらが勝つかは、時期によって入れ替わります。差は大きくありません。
手数料も、ほとんど同じです。オルカンは年率0.05775%以内、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は年率0.08140%以内です(どちらも税込、2026年8月末時点の月次レポート)。100万円を1年預けて、約580円か約810円かの違いです。
理由2:オルカンも、ほとんどアメリカ
成績が似ている理由は、さきほどの表にあります。オルカンの中身の6割以上が、アメリカの株だからです。
S&P500を選べば、アメリカに100%。オルカンを選べば、アメリカに6割とその他の国に4割。どちらを選んでも、アメリカの大きな会社が中心であることに変わりはありません。
アメリカの株が伸びれば、オルカンも伸びます。S&P500にしなかったからアメリカの成長を逃した、ということにはなりません。
理由3:どの国が伸びても、入っている
では、S&P500ではなくオルカンにする決め手は何か。アメリカ以外の国が伸びたときにも、取りこぼさないことです。
S&P500だけにしていると、日本の株が伸びたとき、インドや中国などの新興国が伸びたときに、「そっちに入れていなかった」という気持ちが出てきます。
オルカンなら、アメリカが伸びても、日本が伸びても、インドが伸びても、中国が伸びても、その中に入っています。オルカンの中には、新興国の株も1割ほど含まれています。
これから20年、30年、どの国が伸びるのかは誰にも分かりません。分からないなら、全部持っておけばいい。それがオルカンです。
私も、最初はS&P500を買っていた
実は私も、最初に買っていたのはS&P500でした。アメリカの会社が世界を引っぱっているのだから、アメリカだけで十分だろうと考えていたのです。
オルカンに切り替えたのは、日本の株が盛り上がり始めた頃です。インドや中国の話題も増えていました。アメリカ以外が伸びる場面を見て、「これはもう、オルカンでいいや」と思いました。どこが伸びるかを考えるのが、面倒になったのです。
切り替えたといっても、持っていたS&P500は売っていません。今もそのまま持っています。新しく買う分を、オルカンにしただけです。売って買い直す必要はないと考えたからです。NISAの外で持っている分なら、売れば利益に税金がかかります。NISAの中で持っている分でも、売った分の枠が戻ってくるのは翌年以降です(金融庁「NISAを知る」)。わざわざ売って損をしに行く理由がありません。すでにS&P500を買っている人も、慌てて売る必要はないと思います。

今持っているものは、売って買い直すべきですか?

私は売っていません。新しく買う分を変えただけです。慌てて売る必要はないと思います。
S&P500からオルカンに変えて、困ったことは一度もありません。アメリカが伸びればオルカンも伸びるし、ほかの国が伸びてもオルカンに入っている。考えることが一つ減りました。
気持ちと付き合いやすい値動き
もう一つ、私がオルカンを選んでいる理由があります。値動きの幅が、いちばん気持ちと付き合いやすいからです。
ナスダック(アメリカのIT企業が多い指数)のように、特定の分野に偏った投資先は、上がるときは大きく上がりますが、下がるときも大きく下がります。
かといって、国債や金のように値動きが小さいものは、そのぶん増え方も小さくなります。
オルカンは、その間にあります。大きく増える可能性を持ちながら、値動きで気持ちが削られにくい。インデックス投資は15年、20年と続けてこそ効くものなので、続けられる値動きかどうかは、成績と同じくらい大事です。
「どっちでもいい」と言うと、迷うから
ここまで読んで、「結局どちらでもいいのでは」と思った人もいるかもしれません。
そのとおりです。本当に、どっちでもいいです。オルカンでもS&P500でも、長く持てば大きな差にはならないと思っています。

結局、どっちでもいいんですか?

本当にどっちでもいいです。ただ、迷っている何か月のほうが、ずっともったいないんです。
ただ、「どっちでもいい」と言われると、人は迷います。迷っているあいだに、何か月もたってしまう。その何か月のほうが、オルカンとS&P500の差より、ずっともったいないのです。
だから私は、聞かれたら「オルカンにしとけ」と答えます。迷う時間をなくすための答えです。
ちなみに、オルカン以外で人に勧めてもいいと思うのは、S&P500だけです。S&P500を選んだ人に「やめたほうがいい」とは言いません。ただ、すでにオルカンを選んでいる人が、わざわざS&P500に替える理由にはならない。私の中では、それくらいの位置づけです。
私は、成長投資枠もオルカンにした
私自身の話も書いておきます。
新NISAのつみたて投資枠では、今はオルカンを積み立てています。一方で、成長投資枠では、以前は高配当の株や個別の会社の株を買っていました。
でも今は、成長投資枠もオルカンでいいと考えています。理由は単純で、結局、オルカンのほうがリターンが高かったからです。
会社を選んで、買う時期を考えて、それでも世界の株をまるごと持ったオルカンに届かない。選ぶ手間をかけて成績が下がるなら、選ばないほうがいい。それが、何年かやってみての結論です。
正直に書くと、私の資産はオルカンだけではない
ここまでオルカンを勧めておいて何ですが、正直に書いておきます。私の資産のうち、オルカンは半分くらいです。
残りの半分には、以前買って持ったままのS&P500や、個別の会社の株などが入っています。ナスダックに連動する投資信託も、ほんの少しだけ持っています。以前は、高配当の株を集めたETF(証券取引所で売買される投資信託)も買っていました。
それでも、人には勧めません。理由は3つあります。
- ナスダックは、アメリカのIT企業に偏っています。上がるときは大きいですが、下がるときも大きい。値動きに気持ちが削られやすく、続けられる人を選びます
- 高配当のETFは、今の時期は成績がまったく振るっていません。配当が出るぶん、増え方が遅くなる時期もあります
- ETFそのものが、仕組みの説明が分かりにくいです。普通の投資信託と何が違うのかを理解するところから始めないといけません
どれも、私が自分でやってみて、わざわざ選ぶ理由が見つからなかったものです。やってみたからこそ、「オルカンを買っておいてください」と言えます。
ほかの指数は、選ばなくていい
インデックス投資には、ほかにもいろいろな指数があります。ナスダック、日本の株だけの指数、高配当の株を集めた指数などです。
どれも、悪いものではありません。でも、それぞれ、世界の株の一部だけを切り取ったものです。どこを切り取るかを選ぶということは、どこが伸びるかを予想するということです。
予想が当たれば、オルカンより増えるかもしれません。外れれば、オルカンより増えません。予想しなくていいのが、インデックス投資のいちばんの良さです。わざわざ予想する側に回る必要はないと、私は思っています。
インデックス投資で知っておくべきことは、ほとんどありません。世界の株は、15年という長さで見れば伸びてきた。知っておくのは、それだけで十分です。どの国が伸びるか、どの分野が伸びるかを考えなくていいように、オルカンがあります。
楽天証券でもSBI証券でも買える
オルカンは、楽天証券でもSBI証券でも買えます。どちらの証券会社を選んでも、買うものは同じです。
口座を開いたら、つみたて投資枠でオルカンを選び、毎月の金額を決めて、自動で積み立てる設定をする。やることはそれだけです。あとは見なくて構いません。
口座の開き方は、教員にiDeCoはいらないの「まず証券口座を開く」にまとめています。
まとめ:迷う時間がいちばんもったいない
最後に、この記事の中身をまとめます。
- オルカンは、世界中の株を少しずつ集めたパック。手数料は年0.05775%以内
- 中身の6割以上はアメリカの株
- S&P500と比べて、成績はあまり変わらない(過去1年はオルカン、過去3年はS&P500がわずかに上)
- どの国が伸びても入っているのが、オルカンを選ぶ決め手
- 値動きの幅が、気持ちと付き合いやすい
- 本当はどっちでもいい。でも迷う時間のほうがもったいないので、「オルカンにしとけ」
- 私も最初はS&P500だった。日本やインドが盛り上がるのを見て、オルカンに変えた
- 私は成長投資枠もオルカンにした。選ばないほうが成績がよかった
- ナスダックや高配当のETFもやってみたが、人に勧める理由は見つからなかった
なぜ教員こそインデックス投資に向いているのかは、教員こそ投資をやったほうがいいに書きました。
なお、この記事は特定の商品を勧めるものではなく、指数の選び方についての私の考えです。投資の成果は市場の状況によって変わり、元本が保証されているものではありません。数字は2026年8月末時点のものです。最終的な判断は、ご自身でお願いします。
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記事は私の状況で書いているので、読んだあとに「うちの学校だと、どうなんだろう」で止まってしまうことがあると思います。そこを直接聞ける場所を作りました。
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