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インデックス投資をやったほうがいいのは、なんとなく分かっている。でも、暴落が怖くて一歩が出ない。
そういう先生は、とても多いと思います。そして、その「怖い」の中身を聞いてみると、人によって少しずつ違います。始めた直後に下がったらどうしよう。定年の直前に下がったらどうしよう。現金のままのほうが安全なのでは。
この記事では、暴落についてよく聞く10の心配に、一つずつ答えていきます。
先に全部の答えをまとめると、こうなります。暴落は読めない。だから、読まなくていいやり方を選ぶ。それがインデックス投資です。
Q1. 始めた直後に暴落したらどうしよう
やることは同じです。何もしないで、積立を続けてください。
むしろ、始めた直後の暴落は得をしていると思ったほうがいいです。これから毎月買っていく人にとって、値段が下がるのは「同じお金でたくさん買える期間」が来たということだからです。
困るのは、たくさん買い終わったあとに下がることです。始めたばかりで、まだ少ししか持っていないなら、下がって困るものはほとんどありません。

始めた途端に下がったら、立ち直れません…

始めたばかりなら、困るものはほとんどありません。むしろ、たくさん買える期間です。
実際、2025年1月、オルカンがいちばん高いときに買ってしまった人がいたとします。その直後の4月には、約21%下がりました。それでも、持ち続けていれば2026年9月には約1.34倍になっています。
Q2. 今は値段が高すぎる気がする。暴落してから始めたほうが得では
高すぎるのか、低すぎるのかは、誰にも判断できません。判断できないから、インデックス投資をしているのです。
「今は高すぎる」と言われたあとに、さらに上がったことは何度もあります。そして、15年後から振り返ると、今の値段は結局安かったということがほとんどです。
暴落を待つと、光りながら上がる瞬間を逃す
暴落してから始めよう、という考え方には、2つの問題があります。
1つ目は、暴落がいつ来るかは読めないことです。待っているあいだに、値段がどんどん上がっていくかもしれません。
2つ目は、大きく上がる日を逃すことです。株の値段は、ゆっくり上がるのではなく、ある日いきなりピカッと光るように跳ね上がることがあります。
オルカンが始まった2018年10月から2026年9月までで、値上がりが大きかった10日間を見ると、10日のうち7日はコロナ・ショックと関税ショックのさなかでした。みんなが怖がっている真っ最中に、前触れなく来ています。外で様子を見ている人は、その日を取れません。
待つより、今日から少しずつ買い始める。それが、暴落を気にしなくていいやり方です。
Q3. まとまったお金を一気に入れるのは危ない?
計算の上では有利ですが、気持ちの面で危ないと思います。
株の値段は長い目で見れば上がっていくので、早く入れたほうが増える時間は長くなります。お金の損得だけで考えれば、一気に入れるのは悪くありません。
ただ、投資を続けられるかどうかは、損得より気持ちで決まります。
最初は、5万円が3万円になる体験から
いきなりまとまったお金を入れて、それが大きく減っていくのを見るのは、本当にきついです。100万円入れた翌月に暴落が来たら、多くの人は耐えられずに売ってしまいます。
それよりも、5万円が3万円になる、くらいの体験から始めたほうがいいと思います。少ない金額で「下がるとはこういうことか」「放っておいたら戻ってきた」を一度経験しておく。それから金額を増やしていけば、大きな額でも落ち着いていられます。
私も、月3万3千円の積立から始めました。一度下げを経験して、増え方の感覚がつかめてから、金額を増やしています。

まとまったお金は、一気に入れたほうが得ですか?

計算の上では有利です。でも最初は、5万円が3万円になるくらいの体験からがいいです。
Q4. 定年の直前に暴落したらどうするの
定年の直前に暴落しても、15年後には戻っている可能性が高いです。
過去のデータを見ると、アメリカの株を15年持った場合、過去約150年で損をしたのは1回だけでした。暴落しても、15年たてば上がっている。それが15年という長さです。
定年を迎えても、人生はそこで終わりません。60歳で定年なら、15年後はまだ75歳です。定年の時点で全部を使うわけではないので、残りのお金は、そのまま置いておけば戻ってくる時間があります。
ただし、老後に近づいたら何割か現金にしていく
とはいえ、老後に近づくにつれて、少しずつ引き出していくのが基本です。
年齢が上がってくると、「もうこれ以上増やさなくてもいいかな」という金額に近づいてくるはずです。そうなったら、持っている分の何割かを、少しずつ現金に移していきます。
こうしておけば、定年の直前に暴落が来ても、すぐに使うお金はもう現金になっています。投資に残っているのは、15年待てるお金だけです。
Q5. 老後に取り崩している最中に暴落したら?
これも同じです。すぐに使う分は現金にしてあるので、慌てて売る必要はありません。
取り崩すときの目安は、1年に、持っている額の4%くらいです。これは「4%ルール」と呼ばれる考え方で、アメリカのトリニティ大学の研究(1998年)などから生まれました。持っている額の4%ずつ取り崩していけば、資産が長持ちしやすい、という目安です。
4%くらいなら、暴落で値段が下がっていても、取り崩す量はわずかです。残りは置いておけば、また戻ってくる時間があります。
いつ、どう取り崩すかについての私の考えは、投資の出口戦略は要らないにまとめています。
Q6. 暴落の前に売って、下がりきってから買い戻せばいいのでは
それが読めないから、インデックス投資をしているのです。
暴落の前に売って、底で買い戻す。これができれば、誰でもお金持ちになれます。でも、プロの投資家でも、それができる人はほんの一握りです。
プロでも、15年間世界の株に勝てた人はいない
日本の投資信託のなかには、プロが銘柄を選んで運用する「アクティブファンド」があります。値段の上がりそうな会社を選んだり、売り買いのタイミングを計ったりして、指数より多く増やそうとする投資信託です。
世界の株に投資するアクティブファンドのうち、15年間で指数(世界の株全体)に勝てたファンドは、1本もありませんでした。10年で見ても同じです。
出典:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス「SPIVA 日本スコアカード 2025年末」(2025年12月31日現在)。グローバル株式ファンドで、10年・15年の期間にベンチマークを下回ったファンドの割合が100%。
投資を仕事にしているプロが、毎日相場を見て、それでも勝てていません。授業と部活の合間の私たちに、それができるでしょうか。
読めないものを読もうとするのをやめて、世界の株全体をまるごと持つ。それがいちばん確実です。
Q7. リーマン・ショックのときは、戻るまで何年もかかった。それを待てるの?
待てる金額だけを、投資に回してください。
リーマン・ショックでは、全世界の株が58.38%下がりました。アメリカ株(S&P500)で見ると、元の値段に戻るまで約5年半かかっています。
5年半、値段が下がったままでも生活が変わらない。そういうお金だけを投資に回せば、待つのは難しくありません。

何年も戻らなかったら、待てる気がしません…

待てる金額だけを回せば大丈夫です。待てるかどうかは、家計管理で決まります。
だから、投資の前に家計管理がある
逆に言えば、待てるかどうかは、投資を始める前の家計管理で決まります。
毎月いくらで暮らしているのか。削れる固定費は削ったか。急な出費に備えるお金は口座に置いてあるか。ここができていれば、投資に回したお金は、何年でも放っておけます。
できていないまま投資を始めると、暴落のさなかに急な出費が来たとき、下がったところで売るしかなくなります。待てないのは、気持ちが弱いからではありません。待てる形を作っていないからです。
お金の置き場所の分け方は、教員の貯金に共済貯金はいらないに書きました。固定費の見直しは、教員の節約は固定費だけでいいから始めてください。
Q8. 暴落が怖いなら、現金のまま持っておくのがいちばん安全では
安全といえば安全です。でも、現金も、実は一つの投資です。
現金は、額面は減りません。100万円は、10年たっても100万円のままです。
ただ、買えるものの量は減っていきます。お金は毎年新しく発行されるので、世の中に出回るお金が増えるほど、1枚あたりの価値は薄まっていきます。物の値段が上がっていくのは、そのためです。
2020年から2025年で、現金で買えるものは約1割減った
実際の数字で見てみます。総務省の消費者物価指数では、2020年を100としたとき、2025年は111.9でした。2025年の1年だけでも、物の値段は3.2%上がっています。
2020年に100万円で買えたものを、2025年に買おうとすると、約112万円かかるということです。100万円を現金のまま持っていた人は、5年で買えるものが約1割減りました。
出典:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年平均」
現金で持つということは、「物の値段が上がらないほうに賭けている」のと同じです。暴落を避けたつもりで、じわじわと確実に減っていく道を選んでいることになります。

それでも、現金のままが一番安全では?

額面は減りませんが、買えるものは減ります。2020年から5年で約1割減りました。
もちろん、急な出費に備える現金は必要です。全部を投資に回す必要はありません。ただ、「使う予定のないお金まで全部現金」は、安全そうに見えて、実は安全ではないということです。
Q9. アメリカや世界の経済が、本当にダメになったら?
それは、過去の歴史どおりにならなかったら、という話です。
アメリカの株は、データが残っているこの150年ほどのあいだに、戦争も恐慌も病気の流行も乗り越えて、上がってきました。世界の株も、ITバブルやリーマン・ショック、コロナ・ショックのたびに戻ってきました。
世界の経済が本当にダメになるのは、どういうときでしょうか。大きな戦争、隕石が落ちてくる、とてつもない大地震。そういうレベルの話になります。
そのときは、現金でも同じ
そして、そこまでのことが起きたら、現金で持っていても、経済はダメになっています。会社が動かず、物が作れず、お金があっても買うものがない状態です。
世界の経済が終わるときに、自分のお金だけ無事に済む方法はありません。起きるかどうか分からない最悪のために、起きる可能性が高い「物の値段が上がる」を放っておくほうが、ずっと危ないと私は思います。
私たちが備えられるのは、過去に何度も起きてきた暴落までです。そして暴落には、15年という時間と、待てる家計で備えられます。
Q10. 円高になったら、外国の株は目減りするのでは
そのとおりです。でも、気にしなくていいと思っています。
オルカンは、世界中の株をまとめた投資信託です。中身のほとんどは外国の株なので、円高になると、円で見た値段はその分だけ下がります。株の値段が変わらなくても、為替だけで資産が減って見えることがあるのです。
円高のときも円安のときも、毎月淡々と買う
ただ、毎月決まった金額で積み立てていれば、円高のときには、同じお金で多く買えます。円安のときは、少なく買うことになります。高いときも安いときも同じ額を買い続けるので、ならせば極端な時期に偏らずに済みます。この買い方を「ドルコスト平均法」と呼びます。
為替の仕組みを知っておくのは大事です。でも、それは持ち続けるための「握力」になる知識です。知らないと始められない、というものではありません。円高で下がって見えても、やることは同じです。何もしないで、買い続けてください。
まとめ:暴落は読めない。だから読まなくていいやり方を選ぶ
10の心配への答えを、もう一度並べます。
| 心配 | 答え |
|---|---|
| 始めた直後に暴落したら | やることは同じ。むしろ安く買えて得 |
| 今は高すぎるのでは | 誰にも判断できない。待つと大きく上がる日を逃す |
| 一気に入れるのは危ない? | 計算上は有利。でも最初は小さく減る体験から |
| 定年の直前に暴落したら | 15年で戻る。老後に近づいたら何割か現金に |
| 取り崩し中に暴落したら | 年4%くらいずつ。すぐ使う分は現金にしてある |
| 売って買い戻せばいいのでは | プロでも読めない。15年で勝てたファンドはゼロ |
| 何年も戻らなかったら | 待てる金額だけ投資する。だから家計管理が先 |
| 現金がいちばん安全では | 現金も投資の一つ。5年で買えるものが約1割減った |
| 世界経済がダメになったら | そのときは現金でも同じ |
| 円高で目減りしたら | 毎月同じ額を買い続けるので気にしない |
どの答えも、行き着くところは同じです。暴落は読めません。だから、読まなくても困らない形を作っておく。
待てるお金だけを投資に回す。世界の株をまるごと持つ。毎月決まった額を買い続けて、見ない。これだけで、暴落の心配のほとんどは消えます。
教員は、日中に相場を見る時間がありません。その忙しさは、読まない投資にはぴったりです。なぜ教員がインデックス投資に向いているのかは、教員こそ投資をやったほうがいいに書きました。
なお、投資の成果は市場の状況によって変わり、元本が保証されているものではありません。この記事に書いた数字は過去の実績で、将来を約束するものではありません。最終的な判断は、ご自身でお願いします。
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