教員にiDeCoはいりません。私がNISAだけにしている理由

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教員にiDeCoはいりません。私がNISAだけにしている理由

老後のためにiDeCoをやったほうがいい。そう聞いたことのある先生は多いと思います。掛金が全額所得控除になる、税金が安くなる、やらないと損だ、と。

私はやっていません。これからもやらないつもりです。

理由はひとつです。60歳まで下ろせないから。そして教員の場合、税金の面でも思ったほど得をしません。2026年の制度変更で、その傾向はさらに強まりました。

この記事では、私がNISAだけにしている理由と、その代わりに何をしているかを書きます。制度の内容は公的機関の資料で確認したものを載せますが、最終的な判断はご自身でお願いします

教員にiDeCoが向かないのは、60歳まで下ろせないから

先に結論を書きます。iDeCoの最大の弱点は、税制上の扱いではありません。お金が動かせないことです。教員にとって、これは想像以上に重い制約になります。

40歳で辞めたくなったとき、動かせないお金は助けにならない

教員を続けていると、どこかで一度は「このまま定年まで働くのか」と考える瞬間が来ます。私にもありました。

そのときに効くのは、手元で動かせるお金です。半年生活できるお金があれば、次を落ち着いて探せます。逆に、お金が全部どこかに縛られていると、辞めるという選択肢そのものが消えます。

iDeCoに積んだお金は、原則として60歳になるまで引き出せません。40歳のときに転職を考えても、そこにあるお金は1円も使えないということです。

老後の備えとしては正しくても、人生の途中で選択肢を減らす仕組みでもあります。私は、そこが引っかかりました。

辞めるかどうかを迷っている段階の考え方は、教員を辞めたいと思ったときの判断のしかたにまとめています。

NISAは動かせる。それが心の安定につながる

NISAで積み立てたお金は、必要になれば売って現金にできます。手続きも難しくありません。

この「いざとなれば動かせる」という状態が、私にとっては何より大きいものでした。増えていく数字を眺めながら、それが自分の逃げ道にもなっていると分かっているからです。

お金の置き場所を考えるとき、私は増える速さより先に、必要なときに取り出せるかを見ます。教員は転勤も転職も病気も起こりうる仕事です。予定どおりに60歳まで進む保証は、誰にもありません。

60歳から使えるお金より、40代や50代で動かせるお金のほうが、いまの私には価値があります。あまり見ないお金を持っていても、日々の判断は何も変わりません。

2026年の改正で、教員のiDeCoはさらに不利になった

ここからは制度の話です。教員は退職手当が大きいという事情が、iDeCoと相性の悪さを生みます。そして2026年、その相性の悪さが一段と強くなりました。

退職所得控除の重複を避ける期間が9年に広がった

退職金には、退職所得控除という大きな非課税の枠があります。iDeCoを一時金で受け取るときも、同じ枠を使います。

問題は、両方を近い時期に受け取ると、この枠を二重には使わせてもらえないという点です。勤続期間と加入期間の重なる部分が調整されます。

これまでは、iDeCoの一時金を受け取った年の「前年以前4年内」の退職金が調整の対象でした。それが2026年1月1日以後は、前年以前9年内まで広がりました。国税庁の資料に明記されています。

つまり、退職手当を受け取る時期とiDeCoを受け取る時期を、これまで以上に離さなければ、控除の枠を有効に使えなくなったということです。

教員は退職手当が大きいぶん、枠を食い合いやすい

一般企業に勤める人でも同じ話ではありますが、教員の場合は事情が違います。長く勤める人が多く、退職手当がまとまった額になるからです。

退職所得控除の枠は、勤続年数で決まります。長く勤めた教員は枠も大きくなりますが、その枠は退職手当だけでほぼ埋まってしまうことが起こります。

そこにiDeCoの一時金が加わると、枠に収まりきらない部分に税金がかかります。掛金を払っていたときに得をしたぶんを、受け取るときに返すような形になりかねません。

具体的にいくらになるかは、勤続年数、退職手当の額、受け取る順番と時期で変わります。ここは断定できません。ご自身の退職手当の見込み額を、勤務先の規程や共済のしおりで確認してから判断してください。

受け取り方の設計まで自分で組める人には、iDeCoにも意味があると思います。ただ、そこまで考える時間が取れる教員が、どれだけいるでしょうか。

図解:退職所得控除の枠を、退職手当が先に埋める

NISAのありがたさは、非課税と、いつでも動かせること

私が使っているのはNISAだけです。理由は単純で、税金がかからないうえに、自由が残るからです。

非課税であること以上の説明はいらない

通常、投資で得た利益にはおよそ2割の税金がかかります。NISAの口座で買ったものは、その税金がかかりません。

これだけです。難しい理屈は必要ありません。同じ商品を同じように買うなら、税金のかからない箱に入れておくほうがいい、という話です。

私は制度の細部を追いかけていません。追いかけなくても、毎月決まった額をNISAで積み立てるだけで、恩恵は受けられます。

枠は大きい。使い切ることを目標にしない

金融庁の資料によると、NISAで生涯にわたって非課税で保有できる金額は1,800万円までです。1年間に投資できる額は、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて最大360万円までとされています。

数字だけ見ると、遠い世界の話に聞こえるかもしれません。私もそう思いました。

大事なのは、枠を使い切ることが目標ではないという点です。枠は上限であって、ノルマではありません。月1万円でも、その人にとっては十分に意味があります。

教員の給料でこの上限まで埋めるのは現実的ではありません。埋まらないことを気にする必要は、まったくないと考えています。

貯金をどこに置くかという話は、教員の貯金に共済貯金はいらないと考える理由で銀行口座の選び方まで書きました。

図解:iDeCoとNISAは、動かせるかどうかが違う

まず証券口座を開く。始めるかどうかは後で決めていい

最後に、いちばん現実的な話をします。何から手を付ければいいかと聞かれたら、私はいつも同じ答えを返します。口座を開いてください、と。

口座がないと、やる気になった日に動けない

投資を始めるかどうかは、後で決めて構いません。ただ、口座だけは先に開いておいたほうがいい。

理由は、口座の開設には日数がかかるからです。書類を出して、審査があって、番号が届いて、と進みます。思い立った日にすぐ買える状態にはなりません。

暴落が来たときも、余裕ができたときも、口座が無ければその日には動けません。「開いてから出直してください」で終わってしまいます。

私が人に教える立場になったときも、同じ壁に当たりました。土日にまとまった時間が取れても、相手の口座が無ければ何も進みません。先に開けておくというのは、それくらい効く準備です。

特定口座を選び、マイナンバーの住所を先に直す

口座を作るときに、つまずきやすい点をふたつ挙げます。ここは競合の記事があまり書いていないところです。

ひとつは口座の種類です。開設の途中で選ぶ場面が出てきますが、特定口座を選んでおいてください。こうしておくと、利益が出たときの計算を証券会社がやってくれるため、原則として確定申告が要りません。

もうひとつは住所です。引っ越したあとにマイナンバーの登録住所を直していないと、書類が届かず手続きが止まります。教員は異動で住まいが変わることがあるので、ここは特に注意が必要です。

先に現住所とマイナンバーの住所を合わせておけば、開設は驚くほどあっさり終わります。

まとめ:教員が守るべきは、途中で動かせる自由

iDeCoは悪い制度ではありません。ただ、教員には向いていないと私は考えています。

60歳まで下ろせないこと。退職手当が大きく、退職所得控除の枠を食い合いやすいこと。そして2026年1月から、その調整の対象期間が前年以前9年内に広がったこと。この3点が理由です。

私はNISAだけを使っています。増える速さより、必要なときに動かせることを選びました。40代で辞める選択肢を残しておきたいからです。

まずは証券口座を開くところから始めてください。特定口座を選び、マイナンバーの住所を合わせておく。それだけで、あとはいつでも動けます。

制度は改正されます。税金の計算はご家庭の状況でも変わります。最終的な判断は、ご自身でお願いします。

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