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分掌の主任や、学年主任になると、必ずぶつかります。
お願いした仕事が、期限までに上がってこない。
リマインドすれば動く。でも、リマインドしないと動かない。そして、リマインドするのは自分の仕事ではないはずなのに、結局こちらの負担になっています。
対策として「締め切りを2つ作る」という手はあります。本当の期限の少し前に、もう1つ置く。効きます。
ただ、それは対症療法です。根は、もっと深いところにあります。

何回も声をかけるくらいなら、自分でやったほうが早い気がしてきました

その一回はたしかに早いです。ただ、来年も同じことをしています。順番を変えるほうが、最後は軽くなります。

締め切りを渡す前に、聞くことがある
先に結論を書きます。
その人が、個人として何を成し遂げたいと思っているのか。ここを一緒に話すのが先です。
具体的には、こういうことを聞きます。
- どういう教員になりたいのか
- どういう生活を送りたいのか
- 教職というものを、どれくらいやりたいのか
仕事の話をする前に、この話をします。
教員の「やりたいこと」は、ピンからキリまである
なぜそこから始めるのか。教員の仕事は、目指す形が人によってまったく違うからです。
並べてみると、これだけあります。
- 部活をやりたい
- 授業をやりたい
- 生徒指導をやりたい
- 全部やりたい
- 家庭を大事にしたい
- 趣味を大事にしたい
- 最低限でいい
- 中間くらいでいい
- 人に嫌われたくない
どれも間違っていません。それぞれの人の中に、それぞれの目標とルールがあります。

そこまで聞くのは、踏み込みすぎじゃないでしょうか

面談の場でなくて大丈夫です。並んで歩いているときに一度聞ければ、それで足ります。
そこを知らないまま「この締め切りを守りなさい」と言っても、その人にとってはただの外からの命令です。動くわけがありません。
そのうえで、言質を取る
聞いたあとにやることがあります。
その人が言った「やりたいこと」を組み込んで、「こういう教員になりたい、そのために頑張れます」という形にしてもらう。
これがあると、後の話がまったく変わります。
人は、必ずサボりたくなる
前提として、これは認めておいてください。
誰しも、甘えたくなる場面はあります。 私にもあります。
そのときに効くのは、「締め切りだから」ではありません。こうです。
本当は、目の前の快楽を優先して寝たいんだろうけど。
いまやりたいと言ったのは、こういう人間になりたいと言ったのは、あなたじゃないですか。
この形をいかに作れるか。いかに本人に認識させられるか。 ここがマネジメントの中身です。
泥をかぶっている人を、先にケアする
遅い人の話をしてきましたが、同じ場面には必ずもう一人います。その分を黙ってかぶっている人です。
間に合わなかったぶんを引き取る人。何も言わずに先に出してくれる人。分掌にも学年にも、たいてい一人はいます。
ここを放っておくと、順番がおかしくなります。遅い人は困らないまま、早い人のほうから先に疲れていきます。
なので私は、泥をかぶってくれている人を必ずケアします。優先順位でいうと、遅い人への指導より先です。
やることは難しくありません。何をしてくれたのかを、本人に言葉で返すだけです。「あれ、間に合わないと思っていたので助かりました」で足ります。
これをやっておくと、少し不思議なことが起きます。不公平さを感じている人が、「この状況は、裏でこの人がコントロールしてくれている」と思ってくれる。
同じ不公平でも、放置されている不公平と、分かったうえで回してもらっている不公平は、まったく別ものです。前者は辞めます。後者は続きます。

遅い人より、助けてくれている人を先に見るんですね

先です。辞めていくのは、たいてい助けてくれている側なので。
通じない人もいる。そこは放っておく
ここまで読んで、「そんなにうまくいくか」と思われた方へ。うまくいかない相手も、います。
私の経験では、通じないのは1つのタイプです。
自分の世界に入っている人です。
どうなりたいかを聞いても、こちらの話が入っていきません。自分の中にすでに答えがあって、外からの言葉がそこに届かない状態です。

放っておく、というのは少し抵抗があります

分かります。ただ、全員に同じだけ時間を使うと、話が通じる人への手当てが薄くなるんです。
このタイプに何度も時間を使っても、変わりません。育成しても無駄なので、放っておきます。
もう1つ、同じ扱いにしているタイプがあります。何を目指しているのかを聞いても、毎回、自分の得意な話にすり替えてくる人です。「自分はこれが得意なので」で終わり、そこから先に進みません。この形も、話し合いになりません。
冷たい話ではなく、どこに時間を使うかの話
放っておく、と書くと冷たく聞こえるかもしれません。ただ、これは好き嫌いの話ではありません。
こちらの時間が有限だからです。
1人に何度も向き合う時間があるなら、その時間を、話が通じる人に使ったほうが全体は回ります。分掌にも学年にも、話せば動く人のほうが多いです。全員を動かそうとすると、動く人への手当てが薄くなります。
放っておくと決めた相手には、期待値を下げて、仕事の渡し方だけ変えます。任せきりにせず、細かく切って、期限も短く渡す。育てる相手と、回す相手を分ける、ということです。
年上が相手でも、やり方は変えない
「年上の同僚にこれをやるのは、さすがに無理では」と思われるかもしれません。
私は変えません。
やることは同じです。何を目指しているのか、何になりたいのかを、一緒に探っていきます。そのうえで、一緒に達成できるような方法を模索します。
年齢で言い方を変えると、たいてい失敗します。遠慮した言い方は、こちらの本気度まで薄まって伝わるからです。それに、相手はこちらが遠慮していることに気づきます。

年上の方に「どうなりたいか」を聞くのは、失礼になりませんか

上から渡す形なら失礼ですが、横に並んで一緒に探す形なら大丈夫です。聞いていることは同じです。
大事なのは、上から渡すのではなく、横に並んで探す形にすることです。この形なら、年齢は関係ありません。相手が年上でも年下でも、聞いていることは同じです。
自分が遅い側だったこともある
偉そうに書いていますが、私も遅い側だったことがあります。
そのとき何で動いたか。「早くやれ」と言われたからです。
身も蓋もない話ですが、正直にそうでした。だから、締め切りを渡すこと自体を否定する気はありません。効く場面は、あります。

結局、締め切りも要るんですね

要ります。ただ、それだけだと毎回言い続けることになります。順番の話だと思ってください。
ただ、あれで動いたのはその1回だけでした。次も同じように言われないと動かない状態のままです。そこから抜けるには、やはり自分がどうなりたいかを言葉にする必要がありました。
遅れが出たら、謝るのは自分
最後に、実際に遅れてしまったときの話です。
謝ります。遅れた本人ではなく、渡した側の自分が謝ります。
謝る相手は、そのプロジェクトの中にいる人たちです。上に報告を上げることより、まず一緒に動いている人に謝ります。実際に迷惑がかかっているのは、その人たちだからです。

本人に謝らせないと、本人のためにならない気がします

職員室で立場を失うと、次から余計に動かなくなります。渡し方を決めたのは自分なので、そこは引き受けます。
ここを本人に謝らせると、2つ悪いことが起きます。
- その人が職員室で立場を失います。一度失うと、次から余計に動かなくなります
- 渡した側が「渡して終わり」になります。渡し方が悪かった可能性を、自分で検証しなくなります
渡したのは自分です。誰にいつ渡すかを決めたのも自分です。そこまで含めて、渡す側の仕事だと思っています。
いちばんやってはいけないこと
逆に、やってはいけないことを書きます。
簡単に締め切りを渡すこと。簡単に助けを投げること。
一見、優しく見えます。実際には、そのやり方は、相手が自分で動く力をなくします。
そして、これは自分のためにもなりません。
「自分が命令したらやる」「これだけやっといて」という形は、渡す側が楽をしている状態です。楽なぶん、いつまでも自分が指示を出し続けることになります。
ある程度、主体的に部下が動いてくれないと意味がありません。
「仕事なんだからやりなさい」は、いちばん楽な言い方です。でも、そこで止まると、来年も同じことをしています。
どんな人になりたいのかから逆算して、「だったら、これはしておいたほうがいいよ」「これは先にしておいたほうがいいよ」と入っていく。 手間はかかりますが、こちらのほうが最終的に軽くなります。
毎回、説得する必要はない
「そんな話を毎回するのか」と思われるかもしれません。そんなことはありません。
1回話しておけば、あとは効き続けます。
理由はこうです。
自分の目標を知ってくれている先生。自分のことを考えてくれている上司。 その人から言われることは、受け取り方が変わります。
単純な作業を頼まれたときでも、「これは意味のある作業としてやらないといけないのかな」と考えてもらえる。
そして何より、話を聞いてもらった経験と、これから先を一緒に考えていこうという姿勢を持ってくれている相手には、こう思うようになります。
この人のお願いを聞いて、この人を楽にしてあげよう。
ここまで来ると、締め切りは要らなくなります。
褒めるときは、具体で言う
遅かった人が、一度でも間に合わせてきたとき。ここが分かれ目です。
やりがちなのは、「ありがとう、助かりました」で終わることです。悪くはないのですが、次につながりません。
褒めるなら、具体で言ってください。
たとえば、運動能力が高い生徒に「運動能力高いね」と言っても、本人には何も残りません。本人がいちばん知っていることだからです。
大人も同じです。「早かったですね」ではなく、こう言います。
- 締め切りの3日前に一度見せてくれたので、直す時間があった
- 前回の様式をそのまま使ってくれたので、こちらで直す場所がなかった
- できないところを先に「ここは無理です」と言ってくれた
何がよかったのかが分かると、次も同じことをしてくれます。「ありがとう」は感謝ですが、具体は次への指示になります。
そもそも、渡す量を減らす
ここまでと逆の話も書いておきます。
主任になると、つい全部を学年に配ろうとします。情報も、判断も、作業も。丁寧なつもりでやっています。
ただ、全部を学年に共有していると、仕事は減りません。
共有した瞬間に、確認と調整が生まれるからです。10人に配れば、10人ぶんの「これはどうしますか」が返ってきます。渡したのに、増えています。

共有しないと、あとで「聞いてない」と言われませんか

決まったことを流すのはやめません。減らすのは「意見を聞く」の部分だけです。
なので、渡すものは選びます。
- 決まっていることは、決まった形で流す(意見を聞かない)
- 決めてほしいことだけを、相談として渡す
- 自分で決められることは、自分で決めて事後に伝える
遅い人がいるときほど、ここが効きます。渡す量が減れば、遅れる場所も減ります。
そのうえで、その人にも一つだけ、確実にできる役割は残しておきます。全部から外すと、その人の居場所が職員室から消えます。その人が生きる場所を作るところまでが、渡す側の仕事です。
まとめ:順番を変えるだけ
- 締め切りを2つ作るのは有効。ただし対症療法
- 渡す前に「どういう教員になりたいのか」を聞く
- 教員のやりたいことはピンからキリまである。知らずに命令しても動かない
- 聞いたうえで、「そのために頑張れます」という言質を取る
- 簡単に締め切りを渡す・簡単に助けを投げるのは、相手の主体性をなくす
- 1回話しておけば、自分のことを考えてくれる人の言葉として効き続ける
- 泥をかぶってくれている人のケアは、遅い人への指導より先
- 褒めるときは具体で。「ありがとう」は感謝、具体は次への指示
- 全部を学年に共有すると、仕事は減らない。渡す量そのものを選ぶ
- 通じない人もいる(自分の世界に入っている人)。そこは放っておく。育てる相手と、回す相手を分ける
- 年上が相手でも、やり方は変えない。上から渡さず、横に並んで一緒に探す
- 遅れが出たら謝るのは渡した側。謝る相手は、そのプロジェクトの中にいる人
管理職との関係の作り方は校長と接点を持つと、学校の権限が使えますに、自分の仕事の線の引き方は定時で帰る教員の1日の回し方に書いています。職員室の人間関係そのものは職員室で意地悪な人は、2割もいませんへ。
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