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「仮想通貨って、やったほうがいいんですか?」
投資の話をしていると、ときどき聞かれます。ニュースでビットコインの値上がりを見て、気になっている先生も多いと思います。
私は、ビットコインを持っています。資産の1割くらいです。
ただ、人に勧めるときには、条件をつけます。暴落への考え方と、家計の体制ができた人だけ。資産の10分の1まで。買うならビットコインだけ。そして、タイミングを読まずに積み立てる。
この4つの条件を守れないなら、仮想通貨はやらないほうがいいと思っています。この記事では、その理由を書きます。
先に結論:条件は4つ
- 暴落への考え方と、家計の体制ができてから
- 資産の10分の1まで
- よく分からないコインには触らない。買うならビットコインだけ
- タイミングを読まず、積み立てる
順番に説明します。
条件1:暴落への考え方と、家計の体制ができてから
仮想通貨は、株よりずっと大きく下がる
仮想通貨の値動きは、株とは比べものにならないほど大きいです。
たとえばビットコインは、2021年11月から2022年11月までの1年ほどで、約77%下がりました。100万円が、23万円くらいになった計算です。
出典:米セントルイス連銀のデータベース(FRED)に載っているコインベースのビットコイン価格(米ドル建て・日次)から計算。2021年11月8日の67,510.06ドルから、2022年11月21日の15,755.75ドルまで。
リーマン・ショックで全世界の株が下がったのが、約58%でした。ビットコインは、それよりも大きく下がることがあるのです。

ビットコインって、そんなに下がるんですか?

2021年から2022年の1年ほどで、約77%下がりました。株よりずっと大きいです。
金融庁・消費者庁・警察庁も、暗号資産は国が価値を保証している「法定通貨」ではなく、価格が急落して損をする可能性があると注意をうながしています。
だから、インデックス投資で暴落を経験してから
私がビットコインを始めたのは、2025年ごろです。インデックス投資を始めた2023年から、2年ほどたってからでした。
その間に、2024年8月と2025年4月の下げを経験しました。資産が2割ほど減っても、何もせずに持ち続けられた。暴落が来ても売らない、という考え方が、自分の中でできていました。
そして、生活のためのお金は口座に置いてあり、インデックス投資が土台として積み上がっている。家計の体制もできていました。
始めたのは、上がり幅を無視できなかったから
では、なぜビットコインを始めたのか。値動きの大きさは、下がるときだけではないと思ったからです。
ビットコインは、大きく下がることがある一方で、上がるときも大きく上がります。私の感覚では、1年で50%ほど上がる年もある。その上がり幅は、無視できないと思いました。
ただ、上がり幅が大きいということは、下がり幅も大きいということです。両方を引き受ける覚悟ができたから、始めた。順番を逆にしてはいけないと思っています。
仮想通貨は、この土台ができてから考えるものだと思います。インデックス投資で2割の下げに耐えられなかった人が、7割以上下がることもある仮想通貨に耐えられるはずがありません。

投資を始めたばかりでも、やっていいですか?

まずはインデックス投資で暴落を経験してから。私も始めて2年ほどたってからでした。
条件2:資産の10分の1まで
10分の1までなら、半分になっても生活は変わらない
仮想通貨に入れるのは、資産の10分の1くらいまでにしています。
10分の1なら、仮に半分になっても、資産全体で見れば5%の減少です。生活は何も変わりません。大きく下がっても、放っておける量にとどめておくことが大事です。
私の場合、10分の1を超えることはない
私は今、ビットコインを毎月10万円くらい積み立てています。
「値上がりして、10分の1を超えてしまったらどうするのか」と思う人もいるかもしれません。でも、私の場合はそうならないと思っています。働いて稼ぐ金額のほうが多いので、インデックス投資や現金も同じように増えていくからです。
条件3:よく分からないコインには触らない
市場で認められているのは、ビットコイン
仮想通貨には、ビットコインのほかにも、たくさんの種類があります。「アルトコイン」や「草コイン」と呼ばれるものです。
私は、それらには全部触りません。買うのはビットコインだけです。

ほかのコインのほうが、大きく上がりそうですが…

何のためにあるのか、自分では判断できません。買うのはビットコインだけです。
理由は、今、市場で認められていて、アメリカでもすごいと言われているのはビットコインだからです。ほかのコインは、何のためにあるのか、この先も残るのか、自分では判断できません。
アメリカの証券取引委員会が、ビットコインのETFを認めた
ビットコインが「市場で認められている」と言える出来事があります。
2024年1月10日、アメリカの証券取引委員会(SEC)が、ビットコインを持つETF(証券取引所で売買される投資信託)の上場と取引を承認しました。ビットコインが、アメリカの株式市場で、株と同じように売り買いできる投資商品になったのです。
出典:SEC「Statement on the Approval of Spot Bitcoin Exchange-Traded Products」(2024年1月10日)
ただし、公平のために書いておくと、SECの委員長は同じ声明の中で、「ビットコインそのものを承認したり、推奨したりしたわけではない」とも述べています。認められたのは、あくまで「ビットコインを持つ商品を取引所で売買すること」です。
市場の大きさは、200兆円を超える
もう一つは、市場の大きさです。
ビットコインの時価総額(出回っているビットコインをすべて今の値段で合わせた金額)は、2026年9月9日時点で約1.59兆ドルでした。1ドル145円で計算すると、約230兆円です。仮想通貨全体の時価総額(約2.70兆ドル)のうち、約6割をビットコインが占めています。
出典:Toobit「暗号資産デイリー市場まとめ」(2026年9月9日)。円への換算は1ドル=145円とした概算。
これだけの規模の市場になると、一部の人だけが売り買いしている「よく分からないもの」とは言えません。世界中のお金が集まっている、いちばん大きな仮想通貨。それがビットコインを選ぶ理由です。
一方で、ほかのコインは、規模も、使われ方も、ビットコインとはまったく違います。同じ「仮想通貨」でも、ビットコインとそれ以外は別物だと考えています。
お札を刷り続ける国への、リスクヘッジ
私がビットコインを持つ理由は、値上がりだけではありません。お札を刷り続ける国への、リスクヘッジという意味もあります。
国が発行するお金(円やドル)は、国や中央銀行がいくらでも増やせます。世の中に出回るお金が増えれば、1枚あたりの価値は薄まり、物の値段が上がっていきます。置いておくだけでお金の力が減っていくのは、このためです。
昔から、こうしたお金の目減りへの備えとして持たれてきたのが、金(ゴールド)です。金は、誰かが勝手に増やすことができません。量に限りがあるから、価値が保たれやすいのです。
ビットコインも、同じ性質を持っています。発行される量は2,100万枚で終わると決められていて、新しく作られる量も、時間とともに自動的に半分ずつ減っていく仕組みになっています。
出典:Bitcoin.org「よくある質問」
誰かが刷って増やすことができない。だから、ビットコインは「デジタルの金」とも呼ばれます。私は金を買いませんが、同じ役割を、資産の10分の1までビットコインに持たせている、という考え方です。
ブロックチェーンとは:みんなで同じ台帳を持つ仕組み
ビットコインを支えているのが、ブロックチェーンという仕組みです。
ブロックチェーンは、すべての取引の記録を、世界中のたくさんのコンピューターで共有している台帳です。Bitcoin.orgでも、「ブロックチェーン」と呼ばれる公開台帳を共有していて、今までに処理されたすべての取引が含まれている、と説明されています。
仕組みを、かんたんに3つに分けるとこうなります。
- 取引の記録を、ひとまとまり(ブロック)にする
- ブロックを、鎖(チェーン)のように順番につないでいく
- その台帳を、世界中のたくさんのコンピューターが同じものを持つ
学校でたとえると、クラス全員が同じ出席簿のコピーを持っているようなものです。誰か1人が自分の出席簿だけ書き換えても、ほかの全員の出席簿と合わないので、すぐにばれます。1か所を書き換えても、みんなの記録と合わない。だから、書き換えにくい。
銀行のお金は、銀行が記録を管理しています。ビットコインは、特定の誰かではなく、みんなで記録を持ち合うことで信用を作っているのです。
詐欺的なコインの相談も増えている
金融庁も、暗号資産や詐欺的なコインに関する相談が増えているとして、注意をうながしています。「必ずもうかる」「今だけ」と言われて、よく分からないコインを買わされる被害も起きています。
国民生活センターに寄せられた暗号資産の相談は、2025年度で8,132件でした(2026年5月31日現在)。
出典:金融庁「暗号資産の利用者のみなさまへ」、国民生活センター「暗号資産」相談件数
SNSで「このコインが上がる」と流れてきても、見ないことです。よく分からないものには、触らない。これは株でも仮想通貨でも同じです。
条件4:タイミングを読まず、積み立てる
仮想通貨も、インデックス投資と同じように
仮想通貨の値動きは、株以上に読めません。1日で何%も動くことがあります。
だから私は、仮想通貨もインデックス投資と同じように扱っています。タイミングを読まず、毎月決まった額を買う。高いときも安いときも、同じ額を買い続けます。
積み立ては、自分で「取引所」で買う
ひとつ、実際にやってみて分かったことを書いておきます。私は、毎月10万円くらいのビットコインを、自分で手を動かして買っています。
仮想通貨を買う場所には、大きく分けて「販売所」と「取引所」があります。販売所は、交換業者から直接買う場所です。取引所は、利用者どうしで売り買いする場所です。
私が使っているところでは、自動の積み立てサービスを使うと、販売所で買うことになります。販売所は、買う値段と売る値段の差(スプレッド)が大きく、そのぶん実質的なコストが高くなりがちです。なので、手数料を節約するために、自動の積み立ては使わず、毎月自分で取引所で買っています。
少し手間はかかりますが、毎月決まった額を買うことは変わりません。買う場所だけ、取引所にする。仮想通貨を積み立てるなら、ここは知っておいてほしいところです。
下がっても、放置
私も、ビットコインが1割から2割くらい下がったことを経験しています。そのときも、何もしませんでした。放置です。
インデックス投資と同じで、下がったときに売らないこと。見ないこと。取引所のアプリも、スマホには入れていません。
正直に書くと、まったく見ないわけではありません。値上がりが続いて、バブルっぽいと感じたときだけは、市場の過熱ぐあいを示す指標(恐怖指数や建玉など)をのぞくことがあります。これは、下がったときに売るためではなく、あとで書く「売る時期」を考えるためです。仮想通貨で暴落への考え方ができていない人がいちばん困るのは、下がったところで売ってしまうことです。
サイドFIREまでに売る
インデックス投資は、基本的に売る予定がありません。でも、ビットコインは違います。
ビットコインは、サイドFIREするまで持って、サイドFIREするまでには売るつもりです。配当を受け取る投資に切り替えるときの、資金の一部にする考えです。
仮想通貨は、配当も利息も生みません。持っているだけでは、お金は入ってきません。だから、いつか売ることを前提に持っています。そこが、インデックス投資との大きな違いです。
始めるなら、登録された取引所で
仮想通貨を買うなら、金融庁に登録された暗号資産交換業者を使ってください。
国内で暗号資産と円の交換サービスを行うには、暗号資産交換業の登録が必要です。登録業者は、2026年9月1日現在で27業者です。金融庁のホームページに一覧が載っています。登録されていない業者(海外の業者も含む)とのトラブルも起きているので、必ず確かめてください。
私は、SBIの取引所(SBI VCトレード)で買っています。選んだ理由は、証券会社も銀行もSBIのグループを使っていて、まとめておくほうが管理しやすいからです。特別なうまみがあるわけではありません。
投資者保護基金の補償は受けられない
ひとつ知っておいてほしいのは、暗号資産は、日本投資者保護基金の補償の対象外だということです。証券会社で買う株や投資信託とは、守られ方が違います(日本投資者保護基金「投資者保護基金制度とは」)。
この点からも、資産の10分の1までにとどめておくことが大事だと思います。
税金は、しっかり払う
仮想通貨で利益が出たら、税金がかかります。私は、しっかり払うつもりです。
今は「雑所得」で、株とは扱いが違う
今の制度では、仮想通貨の利益は、原則として「雑所得」になります。給料などと合わせて税金を計算する総合課税で、所得税と住民税を合わせて最大55%です(復興特別所得税は含まない)。
株や投資信託の利益(20.315%)とは、扱いがまったく違います。そして、仮想通貨で出た損は、給料など他の所得と差し引きできません。
出典:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」、金融庁「令和8年度税制改正大綱における金融庁関係の主な項目」
会社員・公務員でも、20万円を超えたら確定申告
教員のように給料を1か所から受け取っていて、源泉徴収されている人でも、給料以外の所得が合計20万円を超えたら、確定申告が必要です(国税庁タックスアンサー No.1900)。
売って利益が出たら、忘れずに申告してください。
20%の分離課税への見直しは決まったが、始まる年はまだ
なお、仮想通貨の税金は見直しが決まっています。令和8年度の税制改正で、一定の暗号資産の利益は、20%(所得税15%・住民税5%)の申告分離課税になり、損は翌年以後3年間繰り越せるようになりました(国税庁「令和8年度税制改正のあらまし」)。
ただし、始まるのは、関係する法律の改正が施行された年の翌年の1月1日からです。何年から始まるかは、まだ決まっていません(2026年9月時点)。対象になる暗号資産にも条件があります。
税金の扱いは変わっていくので、売る前に国税庁の最新の情報を確かめてください。私も、サイドFIREまでに売るときには、そのときの制度で、きちんと申告して払うつもりです。
やらなくても、まったく困らない
最後に、いちばん大事なことを書いておきます。
仮想通貨は、やらなくてもまったく困りません。

やっぱり、やっておかないと損ですか?

やらなくても、まったく困りません。やらないと決めるのも、立派な判断です。
私がビットコインを始めたのは、仮想通貨の値上がりの大きさを無視できないと思ったからです。でも、それはインデックス投資という土台があって、暴落を経験して、家計の体制ができたうえでの判断です。
これから投資を始める人に必要なのは、インデックス投資だけです。仮想通貨は、土台ができてから考えればいい。考えた結果、やらないと決めるのも、立派な判断です。
暴落との付き合い方は、別の記事で詳しく書いています。なぜ教員こそインデックス投資に向いているのかは、教員こそ投資をやったほうがいいにまとめました。
まとめ:土台ができてから、10分の1まで
- 仮想通貨は、株よりずっと大きく下がる。ビットコインは2021〜2022年に約77%下がった
- 条件1:暴落への考え方と、家計の体制ができてから。私はインデックス投資を始めて2年後に始めた
- 条件2:資産の10分の1まで。半分になっても生活が変わらない量
- 条件3:よく分からないコインには触らない。ビットコインだけ。米SECがビットコインのETFを承認し、時価総額は200兆円を超える
- 条件4:タイミングを読まず、積み立てる。下がっても放置。自動積み立ては販売所になるので、自分で取引所で買う
- ビットコインはサイドFIREまでに売るつもり。配当も利息も生まないので、売ることが前提
- 買うなら金融庁に登録された取引所で。投資者保護基金の補償は受けられない
- 今の税金は雑所得・総合課税で最大55%。給料以外の所得が20万円を超えたら確定申告
- やらなくても、まったく困らない
なお、この記事は仮想通貨の購入を勧めるものではなく、私の考え方です。制度や税金の内容は2026年9月時点で確認したものです。仮想通貨は価格が大きく変動し、元本が保証されているものではありません。最終的な判断は、ご自身でお願いします。
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