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教員は、どんな保険に入ればいいのか。
私の答えは、とてもシンプルです。私が入っている民間の保険は、自動車保険と火災保険の2つだけです。 生命保険も、医療保険も、がん保険も入っていません。
それで困らないのは、教員には、国と共済からの保障がすでに手厚く用意されているからです。

保険に何も入っていないと、不安になります……

まず国と共済から何が出るかを知ってください。足りないところだけ民間の保険を考えれば十分です。
保険は、もらえたりもらえなかったりを楽しむゲームではありません。人生の破綻に備えるものです。
この記事では、教員の人生で起こりうることを全部並べて、それぞれ国や共済からいくら出るのかを1つにまとめます。民間の保険は、そこから引き算して、それでも足りない分だけ考えれば十分です。
先に結論:起こること別に、公的保障からいくら出るか
最初に、この記事の答えを1つの表にまとめます(2026年9月時点)。
| 起こること | 国・共済から出るもの | 民間の保険は |
|---|---|---|
| 病気・けがで医療費がかさむ | 高額療養費+共済の付加給付で、自己負担は月2万5,000円まで | いらない |
| 病気・けがで働けない | 傷病手当金(給料の約3分の2〜8割)が最長2年 | いらない |
| 障害が残る | 障害年金 | いらない |
| 亡くなる | 遺族年金(子どもがいる家庭で年150万〜180万円ほど) | 足りない分だけ掛け捨て |
| 出産・育児 | 出産費50万円+附加金5万円、育児休業手当金 | いらない |
| 介護が必要になる | 公的介護保険(自己負担原則1割) | いらない |
| 老後 | 老齢年金 | いらない |
| 車の事故 | 自賠責(最低限だけ) | 自動車保険に入る |
| 部屋の火事・水漏れ | なし | 火災保険に入る |
国や共済の保障がないところ、そして自分では払いきれない額になるところにだけ、民間の保険を使う。 私の家では、それが自動車保険と火災保険でした。
以下、1つずつ見ていきます。
まず、保険のしくみを知る
保険のしくみ自体を知っておくと、何が必要かが見えてきます。
保険は、みんなで少しずつお金を出し合って、困った人に配るしくみです。当然、保険会社の人件費や広告費も、そこから出ています。保険の営業の人の交通費や人件費の原資は、私たちが払っている保険料です。
だから、民間の保険は、平均すると「払った額より受け取る額のほうが少ない」ようにできています。それでも入る意味があるのは、めったに起きないけれど、起きたら自分では払いきれないことに備えるときだけです。
保険のしくみと公的保険の全体像は、保険のしくみと公的保険について知ろうにまとめています。
病気・けがで医療費がかさんだとき
高額療養費で、月の上限がある
医療費には、1か月の自己負担の上限があります。高額療養費制度です。
2026年8月から上限が引き上げられ、平均的な収入の区分(標準報酬月額28万〜53万円未満)では、「85,800円+(総医療費-286,000円)×1%」になりました。100万円の治療でも、支払いは約9万3,000円です。年間の上限(この区分で53万円)も新しくできました。
教員は、共済の付加給付で月2万5,000円まで
さらに教員には、共済の付加給付があります。1か月・1つの病院ごとに、自己負担が2万5,000円を超えた分は、手続きなしで払い戻されます(公立学校共済で標準報酬月額53万円以上の人は5万円)。
高額療養費の上限が上がっても、教員の自己負担は月2万5,000円のまま変わっていません。 ただし、公立学校共済は付加給付の見直しを検討していると案内しています(2026年9月時点)。
月2万5,000円なら、貯金で払えます。だから、医療保険もがん保険も、私は入っていません。くわしくは教員に医療保険はいらないに書きました。
病気・けがで働けなくなったとき
傷病手当金が、最長2年出る
病気やけがで仕事を休み、給料が出なくなったときは、共済から傷病手当金が出ます。

病気で長く休んだら、収入がなくなりませんか?

共済の傷病手当金が、附加金と合わせて最長2年出ます。給料の3分の2〜8割くらいです。
- 公立学校共済:給料(標準報酬の日額)の3分の2。休んで4日目から、1年6か月。さらに附加金で6か月延びる
- 私学共済:給料(標準報酬の日額)の80%(学校から出る給与は差し引き)。1年6か月+附加金で6か月
合わせて最長2年、給料の3分の2〜8割くらいが出ます。 会社員の健康保険より、手厚いしくみです。
障害が残ったら、障害年金
病気やけがで障害が残った場合は、障害年金があります。令和8年度の障害基礎年金は、1級で年1,059,125円、2級で年847,300円です。これに、障害厚生年金が上乗せされます。
働けなくなったときの備えは、病気や怪我で働けなくなるときはどう備える?にまとめています。
亡くなったとき
教員が亡くなると、家族には遺族年金が入ります。子どもがいる家庭なら、標準的な例で年150万〜180万円ほどです。
ただし、子どもがいない配偶者には大きく減ります。そして、大学の費用までは入りません。ここは、家族の形によって、民間の保険で埋める必要が出てくるところです。
考える順番は、①遺族年金でいくら入るか → ②住宅ローンの団信に入っているか → ③足りない分だけ掛け捨ての生命保険、です。
- 遺族年金の額:遺族年金はいくら?
- 生命保険をいくらにするか:教員の生命保険は、遺族年金を調べてから決める
我が家では、妻が入っていた貯蓄型の生命保険を、3年かけて話し合って解約しました。いまは、遺族年金と貯金で足りると判断して、生命保険には入っていません。
出産・育児のとき
出産や育児にも、共済からの給付があります。
- 出産費:50万円(産科医療補償制度に入っていない施設では48万8,000円)。さらに出産費附加金が5万円
- 出産手当金:産前42日から産後56日まで、給料の3分の2(公立)または80%(私学)
- 育児休業手当金(公立学校共済):休業から180日までは給料の67%、その後は50%。夫婦ともに14日以上の育休を取ると、さらに13%が最大28日上乗せされ、手取りでほぼ10割になる
出産のための民間の保険は、基本的に要りません。共済で何が出るかは、教員の共済のすべてにまとめています。
介護が必要になったとき
自分や家族に介護が必要になったときは、公的介護保険があります。介護サービスの自己負担は、原則1割です(65歳以上は、所得によって2割・3割)。保険料は、40歳から払っています。
家族の介護で仕事を休むときは、公立学校共済なら介護休業手当金(給料の67%、66日まで)もあります。
介護の備えは、介護が必要になるリスクにはどのように備えるべきかに書きました。
老後
老後には、老齢年金があります。令和8年度の老齢基礎年金は、満額で年847,300円(月70,608円)です。教員はこれに老齢厚生年金が上乗せされ、さらに共済の年金払い退職給付もあります。
個人年金保険のような、老後のための保険は要りません。老後の備えは、年金と、自分での貯金・投資で考えます。くわしくは教員の老後対策は何をすべき?に書きました。
車の事故:ここは民間の保険に入る
ここからは、私が民間の保険に入っているところです。

じゃあ、民間の保険はどれも入らなくていいんですか?

車の事故と、部屋の火事・水漏れには入ります。国の保障がなく、自分では払いきれない額になるからです。
車を持っているなら、自動車保険(任意保険)には入ります。
車の事故で人をけがさせたり、亡くならせたりすると、賠償は数千万円から億単位になることがあります。国の制度である自賠責保険だけでは、とても足りません。自分では払いきれない額になる。だから、ここは保険の出番です。
自動車保険の選び方は、教員に必要な自動車保険は?にまとめています。
部屋の火事・水漏れ:ここも民間の保険に入る
賃貸に住んでいるなら、火災保険には入ります。
借りている部屋を火事でだめにしてしまったら、大家さんへの賠償が必要です。水漏れで下の階の部屋を汚せば、その人への賠償も必要です。ここにも、国の制度はありません。
ただし、火災保険は自分で選べることが多いです。私は、不動産屋にすすめられた2年で3万円の保険ではなく、自分で見積もりを取った年5,000円ほどの保険にしました。家財の補償額はいちばん低くして、地震保険は付けていません。
なお、共済には、地震や火事、水害などで家や家財に被害を受けたときの災害見舞金もあります。公立学校共済では、損害の程度に応じて標準報酬月額の0.5〜3か月分です(床上浸水でも、30cm以上なら0.5か月分)。私学共済では、さらに見舞金の60%が付加金として上乗せされます。災害で亡くなった場合には、弔慰金(標準報酬月額の1か月分)も出ます。
家族の形で変わるのは、生命保険だけ
ここまでの表を見ると、家族の形によって答えが変わるのは、ほぼ「亡くなったとき」だけだと分かります。
- 独身の人:亡くなったときに生活を支える家族がいなければ、生命保険はほとんど要りません
- 共働きの夫婦:残された配偶者に収入があるので、必要な額は小さくなります。ただし、教員どうしの夫婦でも、夫が亡くなった場合と妻が亡くなった場合で、遺族年金の額がかなり違うことは知っておいてください
- 配偶者が働いていない家庭、子どもが小さい家庭:遺族年金で足りない分が出やすいので、掛け捨ての生命保険を考えます。子どもが大きくなるほど、必要な額は減っていきます
医療費、働けないとき、出産、介護、老後は、家族の形にかかわらず、国と共済の保障で考えられます。
退職したら、もう一度見直す
1つ、気をつけておきたいことがあります。この記事の手厚い保障の多くは、教員として働いている間のものです。
たとえば、共済の付加給付は、組合員でなくなれば使えなくなります。公立学校共済では、退職後に傷病手当金を受け取る場合、附加金は出ません。
だから、退職や転職が見えてきたら、その時点でもう一度この表を作り直す。 在職中は公的保障に守られ、退職が近づいたら改めて計算する。それで十分です。
自分の公的保障を調べる3ステップ
最後に、自分の場合を調べる方法をまとめます。
- 起こることを並べる:この記事の表の「起こること」をそのまま使えば十分です
- 国と共済から何が出るかを調べる:自分が入っている共済組合(公立学校共済か私学共済か)のサイトを見るか、窓口に聞きます。遺族年金は「自分が亡くなったらいくらか」を具体的に聞くのがおすすめです
- 足りなくて、自分では払いきれないところだけ、民間の保険を考える
保険会社の窓口に行くのは、この3つが終わってからです。 先に窓口に行くと、すでに国や共済が用意している分にまで、保険をすすめられることになります。
入らなくていい保険
逆に、私が入っていない保険をまとめます。
| 保険 | 入らない理由 |
|---|---|
| 医療保険・がん保険 | 高額療養費と付加給付で、自己負担は月2万5,000円まで |
| 就業不能保険 | 傷病手当金が最長2年、その後は障害年金 |
| 貯蓄型の生命保険・学資保険・個人年金保険 | 保険と貯金・投資は分けたほうが、安く分かりやすい |
| 地震保険(賃貸) | 出る額が小さい。家財は貯金で買い直す |
入らなくていい保険については、教員に不要な保険とは?と教員に不要な民間保険は?にくわしく書きました。
職場ですすめられる保険も、同じように考える
学校には、職場を通して入れる団体の保険の案内も来ます。給料から天引きされるので、払っている感覚が薄くなりがちです。
天引きだから払っている感覚がないだけで、毎日2,000円を手渡しで払うとしたら、解約を考えるはずです。 職場の保険も、この記事の表と見比べて、本当に足りないところに当たっているかを確かめてください。くわしくは職員室で勧められる保険は、安さで選ばないに書きました。
まとめ:公的保障から引き算する
教員の保険について、まとめます。
- 医療費は、高額療養費と付加給付で月2万5,000円まで。医療保険は要らない
- 働けなくなったら、傷病手当金が最長2年。その後は障害年金
- 亡くなったら、遺族年金。足りない分だけ掛け捨ての生命保険
- 出産・育児・介護・老後にも、国と共済の保障がある
- 職場ですすめられる保険も、この表と見比べてから決める
- 手厚い保障は在職中のもの。退職や転職が見えたら、表を作り直す
- 民間の保険が必要なのは、公的保障がなく、自分で払いきれない額になるところだけ。車の事故と、部屋の火事・水漏れ
私の家で入っている民間の保険は、自動車保険と火災保険の2つだけです。まず公的保障を知って、そこから引き算する。 それだけで、払わなくていい保険料がはっきり見えてきます。
必要な保険を短くまとめた記事は、教員に必要な保険とは?です。保険以外の固定費の見直しは、教員の固定費の見直し方にまとめています。